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第18話【マリアスの迷宮(前編)】



 マルシェ王女がダリウス騎士団長を見ると好きな扉を選べと声を上げる。それを合図に各パーティーの斥候が扉を調べ始めた。

 

 んなことしても無意味である為に他のパーティーが選ぶのを待っていると高城が声を掛けてきた。


「丈くんは選ばなくていいの? ああいうのって強い魔物がいるとかあるんじゃない?」

 

「内層は全部同じ造りになってるだろうし、どっから入ろうが代わりねぇよ。前にここに入った冒険者から話聞いた時は扉が六つあったそうだ。パーティーの数だけ扉が増えるようになってんじゃねぇかな?」

 

「んじゃ、適当に選んでもどれも同じってことなのか?」

 

  話を聴いていた本城も会話に加わってきた。

 

「内層を調べた冒険者の話じゃ魔物はたいした事はないが気が付いたら外に出ていたって言ってたし、中に秘密があるんだろうな…」

 

「そうなんか?なら、目の前にある扉でエエやろ?中入って攻略すりゃええだけの話やし食糧も買い込んで来てしな…」

 

 今回はリュックの中に保存食を4人分持って挑む。前は食糧無しであったがこれならば食糧の問題もない。

 

 空いている扉に近づくと斥候していた連中が念のために調べさせてくれといってきた。

 

 そういえば肝心な事を聴くことを忘れていた。

 

「すいません。ダリウス騎士団長。このマリアスの迷宮にゴブリンやローパーっていませんよね?」

 

「いや、居たな。それがどうした?」

 

「いえ、アイツらは女を襲って同族を増やす為に『孕み袋』にするのでその辺りは『ちゃんと』対策しているのかと思いまして…」

 

「ふむ。既に王都で流行っている避妊ジェルやクリーンジェルは彼女らに渡してある」

 

 毎度ありがとうございます。ドルダムとコレットにはそれを造ったのが俺であると教えないようにお願いしておいた。

 

 三人にも事情を説明してあったので納得した様子であった。

 

 斥候が一生懸命に調べているが特に問題ないとそれぞれのパーティーに戻って報告をする。


 「隊列はどないするんや?」

 

 「中入って構造見てからのが良いだろうな」

 

 「んじゃ、とっととおっ始めるか!」

 

  「出発だ~!!」

 

 クラスメイト達を気にせずに扉を開けて中に入ると、入り口の扉が閉じてしまった。中は廃教会ダンジョンと同じくらいの広さの通路であった。

 

  前衛を俺と九条。後衛を本城と高城にしてダンジョン攻略を開始した。手始めに左側の壁に鎌で傷を着けて甘い香りがするクリーンジェルを塗った。

 

 本城が勿体ないというが、以前ここに入った冒険者の口振りから推測するとダンジョンが動いているのだろう。

 

 曲がり角付近でモンスターを倒して同じように傷とジェルを塗り攻略を続けた。

 

 ◇◆◇◆

 

 出てくる魔物はスライムやゴブリンといった森で討伐した魔物も居れば蛇に翼の生えたフライ・スネークにイソギンチャクのような触手を伸ばしてくるローパーだけであった。

 

 どうにもダンジョンで倒した魔物はそのままダンジョンに吸収されてしまうようでここではスライムゼリーを回収するのは難しそうだ。

 

 何よりも魔物が弱すぎて俺一人でも充分に倒せてしまうレベルである。

 

 依頼を受けた冒険者もレベルが20後半と強かったし、魔物に苦戦はしなかっただろう。

 

 だが、曲がり角で俺が着けた傷とクリーンジェルの甘い匂いがするのを見つけた。

 

「予想は当たりだな。ダンジョンの構造が変わってやがる…」

 

「確かに左側に傷とクリーンジェルを塗ったのに右側にあるのは変だよな。どうなってやがるんだ?」

 

「分からへんけど、王女様いってた『選ばれた者』しか挑む権利はあらへんって事かもなぁ~」

 

「ええ~本当に私ら何の為に来たの?これなら冒険者ギルドの依頼とかウエイターの仕事のが楽しいよ?」


 高城が頬を膨らませて文句をいうが受けなければ色々と面倒である事と左手首に装備されて外せないブレスレットを指先して説明する。

 

 だが、つまらないモノはつまらないのといい不貞腐ってその場にしゃがみこんでしまった。

 

 高城は基本的に楽しいことは積極的にやるタイプであるが、一度興味を失くして飽きてしまうと別の楽しい事に目が移ってしまう。

 

 本城が宥めるが動く気は無さそうだ。強い魔物でもいれば変身魔法でチアリーダーの姿になって応援できるが…。

 

 ん?待ってよ? 変身魔法でこの謎を解いてもらえばいいんじゃないか?

 

「なぁ、桃華。魔法少女って探偵みたいな事ってできるのか?」

 

「う~ん?尾行とかならあったよ?けど、探偵か~楽しそうだね!」

 

「だろう?どうせ出れないし、試しに新しい変身魔法で探偵をやってみないか?今後のダンジョン探索で役に立つし俺達の役に立つぞ?」

 

「それ面白そう!やってみる!!」

 

 キャッキャと騒ぐ高城を本城に任せて九条と辺りを警戒したが魔物の気配はない。九条に高城の扱い方が上手くなってきてお父さんと娘みたいだとからかわれてしまった。

 

 すると本城が驚いた声を出し、後ろを振り返ると高城の体が光輝き始めていた。

 

 服装が代わり、トレンチコートに帽子をかぶっていた。

 

 マジでできるとは思っていなかったが魔法少女って色々と凄いなと感心してしまった。




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