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第01話【卒業間近の異世界へのクラス召喚】



  後数日で高校を卒業できる。

 

 父親が亡くなり、母親が俺を捨てたのが中学に上がって直ぐの頃だ。俺こと、草加丈(くさか じょう)は親戚の力とアルバイトを掛け持ちして何とか高校を無事に卒業できそうだった。

 

就職先も何とか無事に内定を貰えたが、親戚から借りている学費を返済していく事が決まった苦労人・草加 丈である。

 

 まぁ、親父が死んだ時に母親がそこそこあった遺産を持ち逃げしたのが原因であるのだが仕方ない噺だ。

 

結局この3年間はバイト三昧で卒業間近になってもクラスにも馴染めずにいたが、事情を把握してくれている教員に助けられ卒業までさせてもらえるのだから文句はいえない。このご時世最低でも高卒で無ければ就職も難しい。

 

 そう考えていると、廊下が騒がしく窓を開けて見てみると『三姫』の一人である高城桃華(たかじょう ももか)が告白されたみたいだ。ウチの学年の『三姫』とは美女トップスリーの事だ。

 

今、告白された高城桃華は陸上部だったか水泳部だったか忘れたが、茶髪のポニテが似合う褐色系ギャルで人当たりの良い性格をしている為に男子から人気がある。

 

 「ダメだなぁ~桃華はアタシの女だぜぇ~」

 

 高城の横にいたショートヘアのプリン髪をしたギャルが告白してきた男子にそう告げた。

 

 三姫の一人である本城綾香(ほんじょう あやか)である。実家が何かの道場をやっておりそこら辺の男子よりも腕っぷしが強く女子からの人気もあり本人もそっちの気があるという噂を耳にしたことがある。

 

 そして、三姫の一人である黒髪ロングの糸目美女の九条 梨沙(くじょう りさ)である。見た目は清楚系であるが関西弁で色っぽい仕草をするギャップが良いらしい。

 

 この三姫はこの高校では上級生・下級生問わずに注目の的であった。


まぁ、俺とは根本的に住む世界が違うから接点はなかったし、クラスがたまたま同じってだけのことだ。

 

 実際に同じクラスであっても関わりはないし、関わる気もない。 女よりも自分の生活を安定させなければ意味がないのを理解しているからだ。



  すると、チャイムがなり、クラスメイト達が教室に戻ってくる。余り思い入れはないが残り少ない高校生活を楽しもうとした矢先だった。

 

 突如としていくつもの青いラインと赤いラインで描かれた複数の禍々しい魔法陣が教室の床に描かれ光輝き始めたのだ。突然のことに騒ぎ始めるクラスメイト達だが俺自身も何がどうなっているのかわからない。徐々に輝きが強まると教室は光に包まれてしまった。

 

 ◇◆◇

 

 気が付いた時には教会の様な場所にいた。

 

辺りを見渡すと中奥には自分を含めたクラスメイト28名とそれを取り囲むように鎧を纏い剣や槍を持った兵士と漫画やゲームにいそうなフードを深く被った魔法使いらしい人物が複数名確認できた。武装した相手と揉め事を起こすのは避けたい。

 

 クラスメイト達も異様な雰囲気に騒いでいると目の前いる20代後半ぐらいの男性が声を上げた。

 

「突然の事で混乱しているとは思うが静粛にして貰いたい。オレはこのレイドリス王国騎士団長ダリウスという者だ。そして、こちらにいるお方、レイドリス王国王女・マルシェ様からご説明がある!」

 

ダリウスがそう告げると奥から10代くらいの金髪少女が姿を現してスカートの端を持ち、上品に頭を下げてきた。

 

王女は背筋を伸ばし凛とした通る声で俺たちに話し始める。

 

「まず初めに皆さんに謝まろうと思います。勝手に『召喚』をして申し訳ございませんでした」


 その声はいかにも王族といった感じで荘厳さが滲み出ている。


 王女が出て来るって事は教会の召喚なのか?国が指示を出して召喚したって事か?

 

  頭を深々と下げる王女。というか、一般人相手に王族が頭を下げるものなのか? ウチの店長やバイトリーダーは誠意のない言葉だけだぞ。まず格下の顔色を上級国民は伺わない。

 

 などと思い更けていると、『召喚』と言うキーワードに辺りがざわつき始めた。

 

 すると、マルシェ王女は魔王を倒す為に勇者様の召喚をしてしまった事を謝罪し始めた。

 

 どうにも、国は今魔王の手の者によって攻撃を受けてているそうだ。

 

 この国には魔王に対抗する力はない為に魔王を倒すには『異世界の勇者の力』が必要だったと演説される。

 

身勝手なお願い事だとは理解しているそうで迷惑を承知で力を貸して国を救って欲しいというのだ。そんなマルシェ王女を見てクラス委員長がビシッと背筋を伸ばし手を上げて質問をした。誰だっけ、名前忘れた。


「もし、魔王を倒せたら、私たちを元の世界に戻してもらえますか?」


「…もちろんです。今ここに召喚した方々は必ず全員元の世界に帰します」


 生徒の間から歓声が湧き上がった。おそらくは『嘘』だろう。あの顔は嘘をついてる顔だ。あの時と同じで優しい言葉を掛け期待されるこの感じを俺は知っている。


(ああ、面倒くせぇ事に巻き込まれたな。少なくとも元の世界には戻れねぇって思った方がいいな)


  取りあえずはこのまま様子を見て外に出れそうならそこで情報収集をした方が良いだろうし、魔王がいる世界ならば剣と魔法の世界なのだろう。

 

 弱肉強食の世界なのは間違いない。元の世界に戻る手段を見つけるかこの世界で暮らす術を見つけるかの2択だろう。

 

まぁ、どっちの世界でも金を稼ぐことに変わりはない。



 


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