プロローグ 俺の部下は王族です……
初めての方ははじめましてりるくと申します!
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「ちなみに学生ということは秘密なのだった(←明言している)」
俺がいる国「オルガント」では不思議な法律がある。
『王国法律第129条王族は一度軍に入り、訓練を終えてから王の爵位を受け継ぐ。
これは分家も例外ではない。また、大公爵、公爵も場合によっては軍に所属して
訓練をしなければならない。これは12歳から18歳、までである。』
ひどい法律だと俺は最初見たときに思った。
しかしこの法律が俺の人生を深く狂わせていくことになるとは……
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『お疲れ様ですッッ!!!!中将!!!!』
「応!訓練お疲れ!さて……みんな!今日の訓練はこれで終わりだ。みな各自休むといい。」
『了解です!お疲れさまでした!!!!』
はぁ……全くもって……なぜ俺が中将なんだ……
この俺、「アルベルト・ハルジール」は国の軍隊を実質的に仕切っている中将だ。
本来は大将がいるのだが、この役割は戦争のときのみ国王様が成される。
戦争があまり起きないこの国では俺が最高指揮官なのだ。
「ふぅ……」
「お、お疲れ様です!中将!」
「ああ、お前……おっとここは公共の目がある場所だったな……」
俺は小柄な軍服を着た少年に跪く。
「お疲れ様です、王太子様。」
「そ、そんなにかしこまらないでください!」
「いえいえ、私なんかと比べ物にならに程のお方にご謙遜されると……私も委縮してしまいます。」
「そ、それは……」
「あなた様は身分が高いのですから、もっと堂々としてもよいと思いますよ?
そうでないと、下の身分の者に示しが尽きませんら。」
「そうでした——じゃなくて、そうだったな。いつもの働き、我が王国の民たちを鍛え上げてくれて感謝するぞ。」
「ありがたき幸せ。」
そう、この小柄な少年。この少年はこの国の王太子。つまり国王様のご子息である。
ではなぜ王太子様が軍隊に所属して訓練をしているのか?それはこの国の法律と歴史が関係している。
この国は昔、帝国という連邦国家に敗戦してしまったのだ。
今では帝国は滅んでしまったが、また敗戦してしまう可能性は高い。
その可能性を考慮した当時の国王様はある法律を作った。
『緊急時に王族が軍隊を仕切れば、民たちの士気は上がる』
そう考えた国王様は「王族に軍隊での訓練をさせる」という法律を作ったのだ。
12歳から18歳まで軍兵の生活を強いるわけではないが、教訓は叩き込ませる。
初めて見たときは残酷だと思ったさ。
しかし必要なことだと同時に感じた。
「やはり、あなた様はその雰囲気はまだ似合いませんね……ふふ」
「あ!!!笑ったな!?いくら軍にいる時は上官だからって!王族のことを馬鹿にしすぎじゃないか!?」
「ははッすいません」
俺は中将。王族に物を言える国家でも重要な位置に立っているのだ。
「では、私は家に帰ります。」
「はい!では僕も帰宅させてもらいます……はぁ……家庭教師か~」
「おっと……ここは公共の場ですよ?」
「あっ……」
「まぁ今回は目をつぶってあげましょう。気を付けて下さいね?」
「……ああ……」
少し落ち込んだ様子の王太子はとぼとぼと王城に帰っていった。
「さて……」
俺は訓練場にいるある一人の彼女に目を向ける。
「また居残りしてるのか……」
俺は訓練場に向かう。
「せいッ!はッ!せいッ!はッ!」
素振りを一生懸命にしている俺より少し小さい彼女はこちらに気づく。
その瞬間目を吊り上げてこちらにかけて来て、いきなり剣を振りかざした。
「てりゃぁぁッッ!!!!」
『キィンンンンンン』
彼女は真剣を振りかざす。
しかし俺は持っていた短刀で対抗する。
「おい!いきなり切りかかってくるとは!!!」
「フンッッッ!」
彼女は剣でさらに俺の腹を突こうとする。
しかし俺はその剣をはじき返し、彼女の首元に短刀を当てる。
「くッ!?」
「全く……俺以外にそれをやってないだろうな?」
言葉に怒気を強めながら彼女に聞く。
「ッ……さすがにしないわよ。あなたなら受け止めてくれるでしょ?」
「ッ!……だからと言って……」
「仕方ないでしょ!?私と張り合える人があなたと少将だけなんですよ!!!」
「だからって切りかかるな!!!あなたはこれでも王族でしょ!?」
「その肩書は嫌いだわ!」
そう、王族から厄介払いのように入れられた王族。
分家の血筋に当たる彼女は高い剣術の実力を持つ。
だが、血気盛んな性格のせいで厄介払いされたのだが……
「中将としての命令だ。寮に戻れ!」
「イヤだ!!」
「子供みたいなことを言うな。休むのも訓練のうちだ——」
「中将もそんなこと言うの!?」
「まぁ、無理強いはしないが……6時までには寮に入れよ?食事もあるんだから。」
「はいはい、分かったよ……」
「はぁ……」
現在の時刻は5時半。
そろそろ軍の寮で食事が出る時間だ。
「私はまだ特訓してるけど?」
「俺はもう帰るよ。」
「あっそ。じゃあね」
そう言うと彼女は訓練場の端っこに行ってしまった。
「はぁ……あいつも大変なんだろう……」
俺は自分の家に帰ることにした。
訓練場は王城の裏にあり、俺の家は王城の一角にある部屋だ。
俺が中将だからということもあり、王城に住まわせてもらっている。
まぁ……主にこいつのわがままだが……
「よう。王様?」
「来たか……中将」
玉座の上に座っている髭の生えている貫禄がある男性がこの国、「オルガント」
の国王の「ガルファ・ウェル・オルガント」だ。
昔俺の下で訓練していた名残で「ガル」という愛称で呼んでいる。
正式な場では言わないが、二人の時は砕けた会話ができるとガルも喜んでいる。
「で?今日はなんだ?」
「いつも俺の息子の相手をしてくれているそうじゃないか?今日もタリアが言っていたぞ。」
タリアというのはあの王太子の少年の名前だ。
みんな「王太子様」と呼ぶせいで名前が忘れられがちなのだ。
「そんで?この俺になにか用かよ?国王様?」
「ああ……これはまだ誰にも言ってないんだが……」
まて……武人としての勘が言っている。まずいと。関わったら最後……みたいな雰囲気が……
「あの~俺まだ部屋の掃除が残ってるんで先に失礼——」
「衛兵。門を絶対に開けるなよ」
「御意!」「御意!!」
「……おい……また厄介ごとを抱えてきたんじゃないだろうな??」
「実はな……俺の息子に婚約依頼が来ているのだ。お前には王国の参謀として
その方を調査してもらいたい。」
こんな中将でも国では「参謀」という立ち位置なのだ。
まぁそのせいで厄介ごとを押し付けられるのだが……
「……で……誰だって?」
「ナスカ皇国の王女様だ」
「……まじで……?」
この物語は王族とこの俺中将の奇妙な関係を描いたお話である。
これからよろしくお願いします<(_ _)>