まだまだ続くよ
「いや、完じゃね〜よ!」
そもそも俺まだ死んでねぇ〜し!
俺はもう一度エンシェントドラゴンを見た。今度は堂々と。
奴もこちらをじっと見ていた。チビりそうだ。おっと、いかんいかん堂々としていなくては。
エンシェントドラゴンか……長い間生きてるから人の言葉とか理解していないかな…。あ、そうだ!
俺は善は急げ精神で、跪いた。
「私はギルムガンド王国のジーク・コーズラと申します。このような所でエンシェントドラゴン様にお会いできたこと光栄に思います」
おぉ、我ながら素晴らしい挨拶。やっぱりこういうことには慣れとくべきだな。
クランマスターとして、王様への挨拶など数多くのことをしてきた俺にとってはこれくらい朝飯だ。
『……ほう、ただのこそ泥かと思ったが、違うようだな』
「……ッ!」
頭の中に直接声が響いた。これはエンシェントドラゴンの言葉か…
『……して、なんのようだ?』
「エンシェントドラゴン様にお願いがありまして」
『断る』
…………………………………………え?
まだな〜〜んにも言ってないんだけど?
『我の力を欲しているのは分かる。だがこんな見ず知らずの連中に力を貸すわけがない。それに貸したくても絶対に貸せないがな』
エンシェントドラゴンはそう言って、また眠りの態勢に入った。
「………あの、お願い全然違うんだけど」
『…………………え?』
気のない返事が頭に響いた。ドラゴンでもこんな返事するんだな
『あぁ!あーはいはいそっちだっか!強くして欲しいんだろ?だが、農になんのメリットがある。そうしたければ力を示せ』
「いや、別に強くなりたくないし…」
『………じゃあもしかして朕を相棒としたいのか……!?それはできんぞぉ!?』
「いや…えっと、地上に戻りたくて、コアルームの鍵開けてくれないかな〜って」
『………まじかよ、それだけかよ』
「え?」
…………………………まじかよ?いまそう言った?しかもさっきから一人称がころころ変わってるのはなんでなんだ?
『い〜や、何でもない。うむ?我の力は……?』
「あ、全然結構です」
そんなもの一ミリも要らない。ただでさえ面倒でめちゃつよがいるのにこれ以上めちゃつよなんかいらない。
『……うっわ、恥っず。我の力が欲しいのは分かるとか言っちゃったじゃん。ちょ取り消し〜』
あの〜、全部聞こえてるんだけど心の声。てか、コイツ本当にエンシェントドラゴン?言葉遣いがそうじゃないんだけど。何、「取り消し〜」って
『オッホン。えーそなたの願いは分かった。だが、そこはコアルームではない』
「え…違うのか?」
『あぁ、そこはこのダンジョンの終着地だ』
終着地……え……?
「いやいや、ここ最下層じゃないんだからさ」
終着地とはダンジョンを攻略した最後の部屋のことだ。金銀財宝があることや、伝説の装備が置いてあるなんてのもある。とにかくそのために皆は早くにダンジョン攻略を行っているのだ。
しかし、だ。このダンジョンは100階層だと言っていた。そんなに早くに100階層まで降りれるなんてありゃしない。
『何を言ってる。ここは100階層だぞ』
「マジかよ」
つまるところ、俺はこのダンジョンを攻略したということか…全然実感ね〜。まぁボス一つも倒してないんだけどね。
でも困った。終着地ということはコアルームではないため、戻る手段がここの階層の最初の所にあるコアルームへ行かなければならないのだ。
これはマズい。終着地には地上への転移陣のようなものが稀にあるが、本当にまれなのだ。
「あの〜エンシェントドラゴンさんや。そのどうやったら俺は地上に戻れるかな?」
『んーー、確か終着地には地上までの転移陣が引いてあるはずだ』
「お、良かった。ラッキー」
俺は小さくガッツポーズをする。
『ただ、そこに行くのであれば一つお願いがある。そこにはクソ野……神の像があるが、決して触らないでくれ』
「ーー?おう、分かった」
俺の返事と同時に後ろの扉が開いた。
『最後にいいか?このダンジョンはやはり地上に出ているのか?』
「あぁ、そうだけど?」
『そうか…そうか…もう出てしまったのか……分かったそなたもありがとうな』
エンシェントドラゴンはどこか残念そうに呟いていた。
「お、おう。またな」
俺はよく分からないが早く帰りたいのでその場を後にした。
少し歩くとまた広げた場所に出た。
「ここに神様の像があるのか?」
俺は周りを見渡した。が、見つからない。
「まぁ、いいか」
俺は転移陣を探した。
「ん?あ、これか」
転移陣はすぐに見つかった。そして、その先に神様の像らしきものもあった。
一人の美しい女性が、下半身が壁に埋まっている。そして、手は鎖で繋がれている。首には何やらネックレスのような物が掛かっている。しかし、何故かネックレスだけは後から付け足したようなもので石像化されていない。
「何の宝石だ?」
俺は近くでマジマジと見つめるが、クリスタルのようであるが色がくすんでおりお世辞にも良い宝石とは思えない。何でこんな物を身に着けているのだろうか。
「まぁ、いっか」
俺はさっさと戻ろうと立ち上がった時、不注意だった。思いっきり、ネックレスを触ってしまった。
「あ、やべ」
変化はすぐに起こった。さっきまでくすんでいた宝石は触れた途端紅く光り出したのだ。
「や、や、や、やっちゃった…。ど、ど、どうしよ…」
俺は少しの間じっとしておいた。これで何かが起こったら死んで詫びようと思ってだ。
しかし、幸いなことに宝石が光り輝く以外変化は訪れなかった。
俺はホッとして、魔法陣を使ってダンジョンの外に出ーーー
「ーーーん?」
俺は床に描いてある魔法陣を見た。何故か発動しないのだ。
まさか、やっぱりさっき触っちゃったのが原因で…
俺は魔法陣を見た。そして、確かマジックバッグの中に魔法陣の本があったので、取り出して確認する。
「うん、転移魔法陣では合ってるな」
一応魔法陣の基礎的知識はあるのでそれを元に一つ一つ見ていく。一見普通の転移魔法陣であったが、俺は再度細かく確認していくと一つの事実がわかった。
この転移魔法陣は
発動まで4日かかる。
製作者誰だよ!ぶっとばしてぇ!