毒舌漫才「漫才の話」
ボケ「ドチャクソつまらん漫才ってあるやん?」
ツッコミ「初っぱなエグいこと言うねえ? 皆さん頑張って作ってらっしゃるねん、あんま不躾なこと言うもんちゃうよ」
ボケ「そうやって大人ぶってる君は俺に全部任せてるだけの立場なんやけどね。ちょっとはネタ作りに興味持ったら?」
ツッコミ「勉強させてください!」
ボケ「特にダメやと思うのは、インパクト重視なんか初っぱなで意味不明な事をボケに言わすやつやね」
ツッコミ「なんで? 掴みのインパクト重要ちゃう?」
ボケ「冷静に考えてみ? 知らんやつが意味わからんこと言うて、何か笑う要素ある?」
ツッコミ「ああ~、まあ面白いとかそういう話ではないかもね」
ボケ「既に売れてる芸人とか、テレビの音声やカメラワークで賑やかして貰えるテレビ芸人の真似し過ぎやねん。現実でもいつも皆の笑い取ってく奴とかは積み重ねありきや、普段笑かしに来ない奴が同じ事しても疑問が勝つねん」
ツッコミ「序盤でインパクトは必要やないの?」
ボケ「まあ挨拶で変なことするとか程度なら『覚えてもらおう』ってんで次に繋がるしええけど、逆に言うたら挨拶程度に済ませなあかんのよ。出だしはスベって悪印象引きずるリスク負うより、共感重視で力抜いた方がええねん。初対面で意味わからんこといきなり言うやつと、普通に軽い世間話やら軽いジョークから入る奴と、大半がどっちの話聞くか考えてみ」
ツッコミ「共感ねえ、ぺこぱとかみたいに出だしからインパクト強いの流行ってるやん?」
ボケ「M-1準決勝でのぺこぱも、『キャラ芸人になるしかなかった!』って自虐挟む前後で観客の反応かなり違うのよ。冒頭では変なイロモノ芸人感が強かったけど、その自虐によって松陰寺が共感出来るヤツとしてめっちゃウケるようになってん」
ツッコミ「はえ~、ただ新感覚漫才としか思わんかったわ。でもボケは共感され続けてもアカンやん?」
ボケ「せやねん、だからツッコミは共感役としても機能すべきやねん。クソつまらん漫才の特徴その2で、ツッコミが初っぱなからうるさいやつな」
ツッコミ「勢いあった方がええやん、ボケの主張に負けてまうやん」
ボケ「最初の話にもかかわるんやけどな、"意味不明なボケに大袈裟に反応するツッコミ"、これがクソ寒漫才黄金パターンや」
ツッコミ「酷い言い様やね」
ボケ「漫才ってのはコントと違って建前としては"素の姿"やん? 演技じゃなく本人としてのノリを見せる感じになるわけよ。だから"ノリの違う人達"って思われるとアウトやねん。勢い強すぎるツッコミにも観客が引くねん、ボケが変な人である分ツッコミが共感役兼ねなアカンのよ」
ツッコミ「あ~、だから俺いつも落ち着いた感じで喋らされてるん?」
ボケ「せやねん。俺らの漫才は俺が下らんジョークや悪ふざけを言ってるだけのノリだから、そんな事に君がうるさ過ぎたらおかしいねん。それと一緒で、観客としては出だしから意味不明な事をボケがしたんなら、ツッコミには観客と同じく「はぁ?」って冷めた感じに引いてほしいわけや。そしたらあんまスベった感じにはならん、観客と同じノリの人がいてくれるからや」
ツッコミ「は~なるほどねえ。いつになく真面目でビックリするわ。他にダメな漫才の例とかあるん」
ボケ「ボケが全然ボケてない漫才とか」
ツッコミ「これやね。今このネタやん」
ボケ「ツッコミがほぼボケの話聞いてるだけの漫才とか」
ツッコミ「お役に立てず申し訳ない限りやん」
ボケ「そして他者批判に逃げて本分を忘れた人間やッ!」
ツッコミ「もうええわ! ちょっと休ましてもらお??」