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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ダンジョン組合

作者: ryuden

 

 XXXX年Y月Z日早朝、それは突如現れた。



 最初は大きな揺れだった。

 少し大きな揺れではあったが日本は地震大国。付近の誰もが、ああ、また地震か。と思っていた。



 次に奇妙な音が聞こえた。

 ギャーギャー、という甲高くて耳障りな音である。この時点で普通ではないと勘付いた者がいたが、それは極少数であり、大半は遠くから変な音がするなぁと思うだけであった。

 音はどんどん大きくなっていき、何かが近づいてきてるようである。好奇心旺盛な者たちは野次馬根性で音の発生源を探った。



 最初にソコに到達したのは3人組の高校生であった。通学途中であるのか学ラン姿で仲良くキョロキョロしていると、ソレを見つけた。

 ソコは空き家となっている家の蔵であった。普段は閉まっている蔵の扉が開いており、中から音がする様なので彼らは面白いものが見付かるかもとワクワクしながら入っていった。

 蔵の中は薄暗く、埃やクモの巣があり人の気配はしない。スマホのライトを頼りに奥へ歩いて驚いた。蔵の床が陥没しており、直径2メートル程の大きな空洞ができていた。音はこの中から聞こえてくる。



 すでにギャーギャー、という音はすぐそこであり、近づいて初めて、この音が何やら生き物の声のように聞こえてきた。3人は喜んだ。これは凄い発見なのではないかと。1人が動画を撮り始め、先に進んでいく。

 幸い傾斜が緩やかにあり、労することなく進めた。不思議なことに中に入り始めると明かりが灯った。



――ごくっ。



 元凶がいた。灯に照らされ姿を表したのは緑色の小人のようであった。耳が尖り歪んだ顔をしたソレはゲームでお馴染みのゴブリンと呼ばれるものによく似ていた。



 ギャ、ギャ、ギャーギャー



 目の前の2体はまるで話でもしているかのように声を上げている。3人は興奮した。ゴブリンじゃん、本物かな、確かめてみようよ......



 コソコソとそんな会話をしていると間に2体が動き出した。手に持っていた棍棒を振り上げ3人に向かって走り出したのだ。彼らは2体が自分たちに向かってきていることに気が付き、慌てた。1人は外で拾っておいた鉄パイプをブンブン振ることで近づけないように必死になり、1人はパニックで動けず、もう1人は動画を撮り続けた。

 ガンッと棍棒が振られ鉄パイプが落ちた。棍棒が鉄パイプにあたった衝撃で落としてしまったのだ。



――グチャッ



 嫌な音が響いた。ドサッと倒れる音が続く。鉄パイプを弾かれ無防備となったところに、もう1体の棍棒があたった。目の前で友人が殺され、2人はショックで動けない。現実を受け入れられない。

 2体は獲物が狩りやすくなったと喜び、先ほどの動きを繰り返す。



――グチャッ



 また1人殺された。友人2人が倒れ、その体から血が噴き出し、ピチャッ、ピチャッと赤い池を作っているのを見て、最後の1人は漸く逃げ出した。殺される殺される、逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ。ひたすら逃げることのみ考えて走り出す。後ろからはギャーギャーと追ってくる声が迫るが振り返らない。とにかく逃げた。



 穴を脱出し、蔵を出て、敷地を出ても走り続ける。走って走って、いつの間にか交番の前にいた。警察官が中からでてきて何事かと尋ねてくる。息を荒げ、まとまらない思考の中、視界に自分のスマホが映った。無我夢中で逃げながらも握りしめて離さなかったスマホを警察官に渡し、意識を手放した。



 後に、この動画がネット上に挙がり一気に話が広がった。実は日本だけでなく世界各地で似たようなことが起こり、その都度ネットにアップされ注目の話題となっていた。ゲーム好きたちはすぐさま行動を起こし、向かっていった。ゲーム知識が豊富な彼らは順調に情報を集め、提供した。



 驚くべきことに、「出現した穴は中に階層があり、側から見た空間以上の広さを持っている。壁は進むにつれて造りがしっかりしてきている。また一本道ではなく分かれているので迷路のようである。進んでいくとゴブリンなどのモンスターと遭遇。何体か倒すと、ベルの音が聞こえ体に力が沸き上がってきた。これはゲームでいうレベルアップであると思われる。さらに進むと宝箱を発見。罠はなく開けると宝石が入っていた。これらのことから、この場所はダンジョンであると考えられる。」と報告した。



 この情報を入手した政府は慌てて行動した。すぐに対策委員会が開かれ、正式にダンジョンと認め人員を派遣した。ダンジョンの入り口には軍人がつき、モンスターが出てこないように見張ることとなった。そして国によるダンジョンの探索、脅威の殲滅、資財の確保を目的とする組織が誕生した。



 ダンジョン組合と名付けられたこの組織が組合員の募集をかけると応募が殺到した。一度に何十万もの応募がきたため、混乱を避けるたにも組合員になるための試験を分けて行うことにした。1日に何千もの人々が試験を通過し、探索者となり一獲千金を夢見てダンジョンに潜っていくのであった。


ダンジョンって何処かに落ちてないかなぁ?

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