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感じ入ろうと思っても

作者: 白萩アキラ

川のせせらぎに耳すまし

さあ感じ入ろうと思っても

感じることは何も無く

川のせせらぎを聞いている

自身を客観視しているだけだった


青々しい葉叢を擦る風を聴き

さあ感じ入ろうと思っても

感じることは何も無く

葉と葉が触れ合う音の集合体を

一身に受けているはずなのに


情景と心情とが溶け合う様な文を読み

さあ感じ入ろうと思っても

感じることは何も無く

人に評価される文章はこんなものかと

分析を始める僕がいる


感情が爆発する様な映画観て

さあ感じ入ろうと思っても

感じることは何も無く

誰かと共有するための

人に伝えるための感想を考える


大地に根ざす花の香りに

さあ感じ入ろうと思っても

感じることは何も無く

不快とも言い切れぬ独特な匂いに

花を踏まぬように足早に進むだけ


田圃から重なり響く蛙の声に

さあ感じ入ろうと思っても

感じることは何も無く

耳に届く間近さと微かに聞こえる水飛沫

想像すらもしたくはない


美しく乱れぬ歌声聴いて

さあ感じ入ろうと思っても

感じることは何も無く

私には技量も楽譜も分からない

下手くそでも琴線に触れればそれでいい


教科書に載ってる偉大な絵を観ては

さあ感じ入ろうと思っても

感じることは何も無く

無機質な資料として観るそれで

何を伝えようとしたのかも読み取れず


孤独な夜に外には雨が打ち付けて

さあ感じ入ろうと思っても

感じることは何も無く

孤独とは誰かと居る時に感じるもので

一人きりなら気付けば夜明け


愛すべき人と笑い合う幸せなひととき

さあ感じ入ろうと思っても

感じることは何も無く

心の内で問い掛ける暇もないほどに

その瞬間を生きていたいと思うから

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