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とある国の子供たちのエチュード  作者: 梁瀬モモ
イノセント・エレジー
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イノセント・エレジー

夕陽が綺麗な、海に面した街。

僕の幼馴染の彼女は、昔実母から、この世界は“ツクリモノ”だ、と教わったらしい。

本当の所どうなのか分からない、子供である僕ら2人が知る術もない。


横に居る彼女、満、…僕はミツルって呼んでるけど、本当はミチルって読むんだって。


「今日は一日中探したのに居なくて焦ったよ」

「ごめん。ちょっと綺麗な魚がいて」


こんな足場が悪い所、女の子一人で行っちゃ危ないって、きっとお父さんにも言われたはずなのに、やっぱりミツルは集中したら他の事そっちのけなんだな、と見つかった安心感からか、汗が滲む。


「ねぇ…、俺、ミツルが居なくなる夢を見たんだ」


気付いたら引っ越して、ミツルと会えなくなる夢を見た。

あまりにもリアルで、起きて慌てて靴を履いて家を出てきた。

そのすぐ後にミツルが家を出たらしく、今日は昼間一緒に遊べなかった。


海でミツルを見つけた時、正直、僕の幻覚なんじゃないかと思う位に綺麗で儚かった。


「さっきココで見つけた時、正直そのまま海に呑まれちゃうんじゃないかって」


そう言うと、少し笑いながらミツルは立ちあがり、僕に手を差し出す。

うん、と僕は小さく返事をして立ちあがり、2人ではしゃぎながら足場の悪い岩場を歩いていく。


「ねぇ、サホ、私、大人になりたくないの」

「急にどうしたの、ミツル」


今日はやけに家まで遠回りをして帰るんだな、と思いながら、首を傾げる。

その後何も言わなかったミツルの後ろ姿はとても悲しげなモノだった。


「今が、幸せなの」


急にミツルが僕の方を振り返って、笑顔でそう言った。


「…俺もだよ」


それから家に着くまで一言も僕らの間に会話は無かった。


「…明日は一緒に遊ぼうね」


きこえたかな、と思ったら、うん、と微笑みながら言ってくれた。

大事な、僕の幼馴染

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