セイム・ファンタジア
小瓶を持っている間一心同体とはどういうことだろうかと考えている間にアンナはぼくの周りをくるくると回った。
「やっぱりミシェルはパパに似てるのね。くせっけのところとか特にそう!」
くすくすと笑いながら僕の髪を触る彼女はまるで子猫を可愛がる少女のよう。
「ねえアンナ……」
パパの事をほとんど覚えていない僕にとってアンナの言う“パパ”がどんな人物だったのか僕には聞く義務があると思った。
アンナは何でも知っていた。父が生まれた時の事,初めて会った時の事,どんな風に国を治めたか,僕が生まれたこと,僕の母さんがそれで死んでしまった事。
アンナは前の王……僕のパパから僕の事を頼まれていたらしい。
きっと僕が大人になる前に死んでしまうから、そうしたらパパの時と同じように妖精の力を貸してくれという内容だった。
僕が5歳になる前にパパは死んでしまったけれど,アンナは約束を忘れないように実は毎日ここにきていたらしい。
王位継承の儀式が次の週末に行われるとメイドたちが話していたのを聞いたからアンナは僕の前に姿を現したらしい。
「やっぱり、あの人を思い出すわ。初めて会った時もミシェルと同じように貴方のお父さんは驚いた顔をして私を見て,契約をしたのよ」
ふわふわと身軽に部屋と外を舞う彼女はいったい何歳なんだろうか。
見た目は僕と変わらないような見た目をしているが,話をしているうち,ゆうに100歳を超えていることがわかった。
「100年も生きていて楽しい?」
「まぁミシェル、妖精の100年なんて人間の10年と変わらないわよ」
ふーん……と僕は相槌を打つ。彼女はまだ僕の部屋を舞う。




