ブルー・ファンタジア
次の日、本当に雨が降った。
妖精って本当に何でも分かるんだなぁと窓の外を眺めながらベッドに寝転がる。
僕はもうすぐ王になるのかぁ、父さんみたいに、強くかっこよくなれるんだろうか。
「ミシェル」
窓からアンナの声がしてその方向を見る。すると外は雨が降っていたはずなのにまったく濡れていないアンナがニコニコと不気味な笑顔を張り付けて手を振っていた。
「おはようミシェル。朝に会うのは初めてね」
絹のようなサラサラの髪に耳にかけて首をかしげる彼女の姿はまるで絵画。
肌をよく見ると人の肌と変わらない色をしているように見えて少し青っぽいように見えた。
「あの……今日は」
「そう、今日は渡したいものがあったから来たの。これ。あげる、絶対肌身離さず持っててね」
そういって渡されたものは小さな小瓶だった。深い青が中心で渦巻いている小瓶。
まるでその瓶の中に一つの宇宙がある様。
「きれい……」
「でしょ?私も持ってるの。これをミシェルが持ってる間は私とあなたは一心同体よ」
「いっしん……どうたい?」
難しい言葉はよくわからないけれど、とにかく持ってればいいんだよね?
「まぁいいわ、とにかく、お風呂に入るとき以外はこれを首からさげてて?」
そういうとアンナは僕の首に小瓶のネックレスをつけてくれた。
見えないように服の中に隠しながら。
こくりとうなずくと「いい子」と僕の頭を撫でた。
「ミシェルがこれを持ってくれてれば、昨日みたいにミシェルの首に噛みつかなくていいの。便利でしょ?」
ふふっと笑う彼女はやっぱり絵画みたいにきれいだった。




