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とある国の子供たちのエチュード  作者: 梁瀬モモ
フェアリー・ファンタジア
22/28

スタート・ファンタジア

「第一部隊を先頭に、全部隊進め」


僕の一声で各部隊の隊長が指揮を取り、敵軍へと攻める。

後ろには何十万の兵士達が連なり、それぞれが叫び声に等しい様な掛け声を上げて続く。


僕は白の一番上の部屋の窓からそれを眺める。

木製のテーブルの上には机いっぱいの大きい地図を広げ、その上にチェスの駒を置く。

コマを兵士に見立てて、僕はその駒を動かす。


僕は絶対に負けることはない。

今までも、これからも。


はじめは僕がまだ五歳に満たない位幼い頃。

早くして両親を病でなくした僕は夜が怖かった。


この日の夜も、メイドに言われ早くにベッドに入ったが、一向に眠れなかった。

夏の初めの時期だった。


夏の初めだというのに、僕の住んでいた城はひんやりと冷たく、夜は寒さに凍えた。


廊下には等間隔にろうそくが立てられ、ゆらゆらと夜中でも火が揺れていた。

今にも廊下の奥から何かが出てきそうだった。


僕はそんな廊下が怖くて、部屋の出窓から夜空を見上げていた。

星の綺麗な夜だった。


紺色の空には雲ひとつなく、まさに「無」だった。

その無の空間に無数にちりばめられていた星と呼ばれる宝石。


赤、緑、青白、黄色、オレンジ…

様々な色に輝く星達は、まだ幼い僕の興味を引くのには十分すぎた。


父から貰った古い本達、難しい言葉や読めない字、異国の地の言語の本もあった。

もちろん、その中には星に関係する本も沢山あった。


周りに子供がいなかった僕は、唯一読めなくても写真で楽しめる星の本が大好きだった。


そして眠れない日は、こうして出窓から星の本片手に星の観察をしていた。


「……なんだろう、あれ」


星を見初めて数十分経った頃。1つのほしが星と星の間を横切るった。

最初は流れ星かと眺めていたが、どうも違った。


「近付いてくる…??」


星だと思い見ていたそれは、天界に住むと教わった≪妖精≫だった。


「君は……??」


一度だけ、父さんが生きていた頃に見せられた本に乗っていた妖精にそっくりだった。

棟句のように白く透き通った肌に大きな目、睫毛は白く、耳はとんがっている。

背中には白の大きな翼が生えていて、まるで羽の生えた人間……。


そして、人を喰う。その為に天界からわざわざ人間界へと降りてくる…、そう父に教わった。


「私は……名前なんて無いわ。…あなたは?なにをしているの?」

「ミシェル…、ミシェル・ヴェルガー」

「年は?」

「5…、誕生日が来たら5だよ」

「おじさんは?あの、髭の生えた」

「おじさん…?」

「そう、前にこの部屋に居た人よ」


前にこの部屋を使っていた人…??僕が生まれるまではこの部屋は空き部屋だってお父さんが行っていたけれど…。


「君が…君が言ってるのは、僕の父さん?」

「そうなの?じゃあ、彼は…?」

「半年前に死んじゃった、病気」

「じゃあ、誰が今王に」

「僕、今度王になる儀式をするんだ、でも僕は嫌なんだ」

「なんで?いいじゃない、若くして王になれるなんて」

「嫌だ。僕は父さんみたいに作戦を立てられない」

「そんなの簡単よ」


妖精がくすくすと笑う。僕が首を傾げると、妖精は僕の部屋の中へと入り、ベッドの上に立つとこう言った。

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[一言] んん? 急に変わった。
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