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RQ〜運命のダイス〜  作者: 織田寿一
エルフと宝玉
7/18

RP 01

「えーと、第……何回、だっけか……まあいいや、第X回TRPG愛好会を始めたいと思いまーす」


 織田の適当な宣言に、集まったメンバーがパラパラと不揃いな拍手をする。


「健二、そのペットボトルは邪魔になるから下ろしてくれ」

「お、わりぃ」


 飲んでいたペットボトルをテーブルから下ろしてもらう。

 TRPGってやつは、わりとスペースを使う。人数がいれば、尚更だ。


「麗華。この前のぶどうジュース、すごく美味かったってお母さんに伝えておいてくれ」

「あら、お口に合って良かったです。ちゃんと伝えておきますね」


 前回の愛好会の集まりの時に「お世話になっているから」と、彼女の母親からぶどうジュースを頂いていた。そこらで買えるものとは雲泥の差の、とても美味いぶどうジュースだった。


「お父さんは、お酒の方が喜ぶんじゃないかって言っていたけれど……」

「酒も好きだけど、ガバガバ飲むほどじゃないからねぇ」

「そのくせ、飲むと強いんだからねぇ……?」


 そう言って笑ったのは、美久だ。このメンバーの中では一番付き合いが長い。……が、男女の中ではない。――所謂、腐れ縁てやつだ。


「んじゃ、今日は新しいシナリオだ。――あ、健二。ケンのステータスは修正するぞ。若干、下方修正」

「え? 別に良いじゃんか~」

「あれは、シナリオ上の特殊演出みたいなもんだ。……でも、元々のステータスよりは上昇した状態にしておくから。それなら、良いだろ?」

「我慢しなよ健二。アンタだけ宝玉の恩恵貰って、贅沢なんだからさ!」


 不満たらたら、といった健二だったが、美久に贅沢だと責められ、渋々従ってくれた。――GMとしては、ちょっと反省。


「今日は、どんなお話なんですか?」


 楽しみだ、と言わんばかりの笑顔で麗華が尋ねてくる。


「――宝玉を回収したものの、まあケンの身体の中に消えていってしまったので、一行はエルフリーデと共にエルフの里を目指す――まあ、そんな感じで」

「改造手術受けるのか?」

「お前の頭を切り開いてみたいよ、健二」


 素っ頓狂なことを言い出した健二に苦笑しつつ、場を整える。それぞれのキャラシート、ダイス等は準備できている。


「個人的には、エルフリーデは不満だなぁ。ケンとくっつくんでしょ?」


 美久の言葉に、思わず苦笑する織田。まあ、気持ちは分からなくもない。


「ま、健二じゃなくてケンだし」

「それは、分かってるけどさ……」


 それでも、といった感じの美久。それを麗華が「まあまあ」と宥める。


「ま、そんな感じでね。This is GAME! ――それじゃ、始めますか!」



==========



 いつからTRPGが好きになったのか? ……どうだろう、自分ではよく覚えていない。でも、本やアニメで触れるファンタジーの世界には、小学生になるまでにハマっていたように思える。


 TRPGという言葉を知ったのは、本屋でライトノベルの棚に並んでいた、『リプレイ』の存在を知った頃だろう――たぶん、小学校低学年の頃だ。それで調べる内に、TRPGリプレイ動画やセッション動画をみるようになった……のだと思う。


 コントローラーを使わないRPGの世界。攻略本もない、人がいないと遊べない。最初はなんて遊びにくいゲームだ、と思ったものだ。――それが今では、友人達とこうして『愛好会』という名のセッションを行っている。


 最初は健二と。それから、「何をやっているんだ?」と美久がやってきて。やがて、美久に誘われて麗華もやってきて。……気がつけば、今では四人だ。

 決して多いとは言えない。でも、最初は一人でどうするんだと思っていた頃を考えれば……最高だろう。


 最初は試行錯誤していたこの愛好会も、最近では自分がGMを務めることが多い。まあ、自分もGMをやるのは嫌いではない。――でもたまには、他の人間が回すセッションを遊んでみたいなとも思う。そんな風に思えるのも、仲間がいるおかげだ。ちょっとした、贅沢なのだろう。


 電源を入れれば遊べるゲームは、それはそれで面白いし、お手軽だ。それでいて『中身』もボリュームたっぷり。――でも、そうじゃない。それはそれ、これはこれ。TRPGは、ただのゲームの代替物ではないのだ。


 TRPGがなくても、死にはしない。でも、ちょっと心の何処かに穴が開いてしまったような……そんな気持ちにはなるだろう。少なくとも、織田にとってのTRPGとは、そんな感じなのだ。



 さあ、今日もダイスを振る。ダイスと、その場の閃きと会話で楽しむ、最高のゲームの開始だ。


 ダイスを振る――その時、その空間は一つの部屋ではなく、広大に広がる別の世界に変わる。今、自分達がいるのは、ファンタジー世界。剣と魔術、冒険の世界だ。


「――では、始めようか」


 GM――ゲームマスターである織田が、参加者の顔を見渡して微笑む。


「さて、貴方は何をしますか?」


 選択は、自由だ――。


 タイトルの『RQ』は『ロール&クエスト』、『運命のダイス』はそのままダイス(サイコロ)を意味していました。という訳で、この作品はTRPGを遊んでいる四人の物語だったのです。


 とはいえ、これは特定作品のリプレイという訳ではなく、あくまでも創作、架空のお話です。筆者の脳内で『RP』の登場人物達がダイスを振って、ロールプレイする。その結果を出力したのが『RQ』という感じですね。


 実は登場人物と演じているキャラで「おや?」という部分がありますが、まだ特に明記はしないでおきます。そのうち。……たぶん。


 今後ものんびり頑張りますので、宜しくお願い致します。

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