RP 02
「お孫さんと結婚させてください!」
「『お前のようなまだまだ未熟な男に、孫娘はやれん!』と拒否されます」
「くそっ……! なら、『説得』を試みる!」
「えーと、技能は?」
「……初期値、だな」
「振ってください」
コロコロコロ……。
「よっしゃ! ギリギリ成功!」
「え~……」
「残念そうにしてんじゃねーよ! 成功だよ、成功!」
「ん~……じゃあ、ケンのしつこい説得に諦めたアルフレドは、ケンの申し出を許します」
「何となく引っかかる判定だな……」
「エルフリーデは『やったな、ケン! これで問題はなくなったぞ!』と喜んでいます」
「それを見て、リックは『これはメンバーが増える日も近い、か』とニヤニヤします」
「そんなリックを見て、『やめなさいよ、そういう品のないこと』と釘を差します」
和気あいあいと、ゲームは進行していく。
今遊んでいるシナリオは、織田が『ロール&クエスト』の基本設定とシナリオ案を参考に組んだオリジナルだ。GMとして進行させる中で手応えもあれば、失敗だったなと思った部分もある。それでも、こうして楽しんで遊べていることに織田は感謝する。
TRPGは、こうして多人数で楽しむのが面白い。人数が増えれば増えたで難しい部分もあるが、こうして色々やり取りが出来るのが楽しいのだ。
「一同はアルフレドに別れを告げ、里を後にします。君達の行く手に何が待つのか……まだわかりません。――というところで、今回のシナリオは終了です。お疲れ様でした~」
「「「お疲れ様でした~!」」」
織田の終了の声に、健二、美久、麗華が応える。
「結局、ケンとエルフリーデがくっついたか~……」
「高貴なエルフって、良いよな」
「アンタのその股間にぶら下がってるもの、切り落としてやろうかしら……」
「美久、ちょっと怖い……」
「ケン子ちゃんにしないであげてね、進行が大変だから」
「それもどうかと思うんだけど……」
織田のツッコミに、美久が苦笑する。
「次のシナリオって、用意してるの?」
美久に問われ、織田は「未完成」と答える。
「一応、今回も話に出てきた魔術士を絡めようとは思っているんだけど、上手くいかなくてね」
「個人的に、今殴りたい奴ナンバーワンのアイツか」
「ケン、骨は拾ってやるわ」
「何で負けるの前提なんだよ、勝ってるだろうが」
「こういうのは、『ふはははは、私の真の実力を思い知るが良い!』って、パワーアップするのが定番でしょうが?」
「でしょうが、って言われてもな」
「どうなんです?」
麗華が可愛らしく首を傾げるのを微笑ましい気持ちで眺め、「どうだろうね?」とぼかす。
そうであっても面白そうだし、そうでなくても面白くできそうな気もする。
オリジナルシナリオは作る苦しみはあるけれども、世界観を壊さない限り、自由だ。その自由の中で、いかに楽しめるものを生み出せるか。そこにGMとしての楽しみがあるし、腕の見せ所でもある。
「まあ、次の定例までには完成させておくよ。とりあえず、今日はここまで」
「お、結構時間経ってるな。この後は?」
「私は特に予定なし。麗華は?」
「私も特に」
「それじゃ、お茶でも飲みに行きますかい?」
「俺は珈琲だけどな」
「そういうことを言ってるんじゃないでしょ。馬鹿じゃないの?」
「お前、彼氏によくそういうこと言えるよな……」
「甘やかすのが彼女の役目じゃないのよ。時に厳しく導いてやるのも、彼女の役目なのよ」
「カッコイイ、美久」
「そうでしょ、そうでしょ」
「頑張れ、健二」
「応援する気、サラサラねえだろ? 他人事みたいに言ってるが、俺よりお前の方が大変だろうが……」
「あら、私が、何か?」
「麗華というよりは、ご両親とコイツの問題だけどな」
「両親は、とても気に入ってくださっていますよ? 早く孫の顔が見たいって……」
「うん、照れながら言わなくて良いからね?」
美久がツッコミ、とりあえずその話題は終わる。
「よしよし、ケーキセットまでは奢ってやろう」
「お、太っ腹じゃん?」
「臨時収入、あったからな」
「後ろめたい金じゃ、ねえだろうな?」
「そんな金だったら、話をしねーよ!」
馬鹿みたいな話をしながら、家を出る。
日が傾き始めている。おやつ時は過ぎているが、夕飯という時間でもない。
お茶でもしながら、今日のことを振り返ろう。そして、これからのことを話そう。
近くの喫茶店を目指しながら、織田は仲間達を見る。
こうして巡り会えた偶然に感謝しながら、これからのことに胸を熱くする。
きっと、楽しいことだけじゃないだろう。時に、苦しむこともあるかもしれない。
それでも――。
「どうしたの?」
麗華が、そう言って顔を覗き込んでくる。
「いや……これからどうしようかな、ってね」
「一人で悩むより、皆で考えましょう?」
「そうだね」
笑って、「ありがとう」と伝える。
まだ未完成のシナリオを完成させるために、皆の知恵を借りよう。
自分は、完璧なGMじゃない。でも、そうであることを自覚し、努力すれば良いGMにはなれるかもしれない。
「――頑張ろう」
前を歩く健二と美久、そして隣を歩く麗華を見て、自然と微笑む。
――俺達の『ゲーム』は、これからだ!
~『RQ』 第一部END~
とりあえず、ここまでとします。
お読み頂き、ありがとうございました。




