第2話 普通に生きたい
物語は今回で急進展します。
あまり長くありませんので、暇つぶし程度にサァーっと読んでくれても構いません。
主人公の普通じゃない世界をどうぞお楽しみください。
朝…いつもどおりの朝だ。
「なんなんだよ昨日から…」
トントンッと階段を降りると、いつもと変わらぬリビングが…あるはずだった。
目の前に広がるのは昨日から夢に出てくるあの花畑。白い花で満ち溢れている。
「うわ⁉︎なんだ⁈まだ俺寝てんのかな…」
『おにーさん…?なんで夢の世界じゃないのに…⁈』
夢に出てきた少女まで目の前に現れた。
「…おれ、おかしくなったんか…?」
『まさか…ここまで早いなんて』
少女は、独り言のように呟く。
「お前!なんなんだ⁈昨日から!おれは夢を見てるんか⁉︎」
『う…まぁ、現実状態でここまで来れたなら絶対渡さなきゃいけないしな…』
「は?」
『詳しくはまた話すから!とりあえず…』
ゴゴゴゴゴ…ドォン!
地面の中から巨大で黒い、真っ黒な何かが出てきた。そしておれに向かってくる。
「なんじゃありゃぁぁあ‼︎」
おれはその真っ黒な何かに飲み込まれていった。
周りが見えない…真っ暗だ。狭いのか、広いのかも分からない。
「なんだ…ここ…」
声がこだまする。
【お前は誰だ?】
【お前は誰だ】
声が聞こえる。いや、頭の中に直接語りかけてくる…。
「お…おれは夜桜黒だ。」
【ヨ…ザクラ】
【ヨザクラ】
「?」
【ハハハハハッ!ヨザクラ⁈】
「なんだ⁈」
【お前…強くなりたいか?】
「は?いや…強くなんてならなくていい。」
おれは普通に日々を過ごしたい…。
【ふむ、面白いなお前。でもそれじゃ死んでしまうぞ。“フツウ”なんて到底むりだ】
「死…?」
【私はお前を死なすわけにはいかん】
【だから私はお前に力を与えるぞ】
いらないし…夢よさめてくれ…。
【お前は面白いし、気に入った。】
「なんなんだよ…」
【さぁ、そこに刺さっておる槍をとれ】
「いらないよ!さっさと夢からさめてくれよ‼︎」
【とれ。選ぶのはお前ではない。その槍だ】
いらねーって言ってんだろ…。クソクソクソ…俺は…
「普通に生きたいんだよ!」
“カッ”といきなり目の前にあった槍が光った。そして、宙に浮いた。
「…?」
まるで手に取れと言っているように、おれの方によってきた。槍を持つと、どす黒い光を放った。
【槍が…自らやってきおった】
「もうそろそろ行かねーと遅刻する…」
【なんだ…こいつ…】
「もう帰りたいんだけど!」
とりあえず、横に槍を振ってみた。すると見事に黒いところから出れた。
『え!自分で出たんですか⁈』
「帰り方‼︎」
『あ、あぁはい…。今出口を開けますね』
すると、ドアが出てきた。
「ふー…。もうおれの夢に出てくんなよ!おれはふっつーに!過ごしたいんだ!」
『す、すみません…』
少女は最後までぽかーんとした顔をしていた。
気づくといつものリビングだった。
「早く準備して行かねーと!」
ふと、時計に目をやると、6:25 。さっき起きたときの時間とおなじだった。
「あれ?」
スマホを見ると付けた覚えのない槍のイヤホンジャック。
「あれ…?」
【お前の槍…それ、《ロンギヌスの槍》だな】
頭に突然響いた声。
「えぇ⁈」
そしておれの“普通”は壊れていった。
読んでいただきありがとうございます。
暇つぶしくらいにはなったでしょうか。ところで皆さん主人公の普通へのこだわりがはんぱないと感じていませんか?私も感じております。まぁ、これから主人公はどんどん波乱に巻き込まれて行きますので。どうか暖かな目で見守ってあげてください。