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ドラゴンプラネット RE:turn players  作者: 級長
chapter1 暴走プロトタイプ
5/23

3.長篠高校1年11組

 生徒会からのメッセージ

 もうすぐオリエンテーション合宿があります。一年生はクラスのみんなと仲良くなるいい機会です。

 存分に楽しんで下さい。

 ドラゴンプラネットオンライン ネクロフィアダークネス 物欲の坩堝たる天突く塔


 暗闇の惑星において、屋内だけは明るく電気も点いていた。このショッピングモールを模したダンジョンもその一つだ。

 服売り場は営業しているかのように整頓もされていた。このダンションは序盤のものだからか、明るいし床も穴が空いてなくて安心だ。ショッピングモール系ダンジョンの中にはガチの廃墟とかもあるらしい。そういうところでは抜ける床に気をつけないといけない。落ちたら下の階に戻されてしまう。

 このダンジョンは地上からアクセス出来るだけ、まだ序盤っぽい優しさに溢れている。この辺りのダンジョンは地上に露出している建物なのに、地上部分の入り口が閉まっていて地下街を通って入らねばならない場所もある。酷い場合だと、地下からも地上からも入れず、他のダンジョンから渡り廊下を使って入るしかない場合さえあるんだとか。

「とぉおおおおっ!」

 俺は寝るのも忘れて、ゲームに熱中していた。こんな面白いゲーム、睡眠時間を削る価値はある。

 ゾンビに向けて剣を振るが、虚しくも虚空を凪ぐ一方だ。マネキンに移った視線をゾンビに直す。

 近くにはさっき買ったビデオカメラが浮遊している。実況動画を撮るためのアイテムらしく、初心者でも買えてしまうくらい安い。今や動画サイトは投稿者が勝手に宣伝してくれる場だ。

「ちぃ!」

 考え事をしながら放った一撃も宙を斬るだけ。

 しかしさっきから攻撃を外し過ぎだ。このままでは数少ない実況『アイワナ』突破者の実力が泣く。難易度高いゲームを失踪せずにやり切った腕、見せねばならない。

「何故当たらんのだ?」

 ぼんやり立っているゾンビに再び剣を振る。今度は直撃して倒せた。この違いは何なんだ?

「うーん、運動は苦手だな」

 このゲームはリアルの運動神経が反映される。健康のためにある程度体を鍛えていても、運動音痴の俺には少々難しい。

「とにかく練習あるのみか」

 俺は先ほど、このダンジョンでドリンクバーを手に入れようとして失敗した。ゾンビのデブに吐瀉物をぶっかけられて、青少年の何かが危なくなったのだ。この可愛いアバターでは仕方あるまい。美少女に汚物を浴びせるとは、落とし前は付けねばなるまい。

「あのデブ、どう接近する? いや、まずは装備を整えるのが先か?」

 ゲームを始めたばかりながら、やれることが意外と多い。まず、俺は手にしている鉄の剣を見る。これが初期装備の『アイアンソード』。地味だがずっしりと掛かる重みは、確かに鉄の剣だと思わさせる。

 武器の威力が強ければ敵に攻撃を当てなければならない回数は減る。すなわち、戦闘時間が短縮される。

 目の前に、衣料品店のマネキンが二体ほどケンケンしながらやってきた。あれも敵だ。俺は剣を構え、敵を見やる。

 今年の流行りを着込んだこのマネキンは、『マネキンシャドウ』。名前からわかる通り、あの雑魚敵『シャドウ』の派生だ。それぞれコーディネートが異なる。雑魚にも差分みたいなグラがあるんだな。1体はフリルの付いた白いブラウスにハイウエストの黒いスカート、いいコーディネートだ。もう1体は小学生向けコーナーからでも抜け出してきたのか、デニムのハーフパンツにビビットカラーのシャツというザ・子供服。

「せいっ!」

 俺はマネキンシャドウに向かって剣を振るう。最初に戦うマネキンはスカートの方。縦に振ったせいか、また外してしまう。いつの間にか視線に収めていた床から、再び目をマネキンに向ける。

マネキンは生意気にも、手からナイフを生やして攻撃を仕掛けてきた。ナイフによる刺突を避けよう。

「チッ!」

 だが、思いの外刺突が早くて左肩にナイフが刺さってしまう。攻撃を認知した瞬間にナイフが刺さっていた。

 いつだったが、有名なボクサー一家が長い棒の先端にグローブ付けて練習していたな。あの棒で突くと、チャンピオンクラスのパンチスピードになるとか言っていた。

 あながち、嘘では無いようだ。突きは受けに回ると、意外と早く感じる。幸い、攻撃頻度は少ない。めげずに攻撃だ。

「オラ!」

 今度は水平に斬る。直撃はしたが、一撃で倒すことは出来ない。マネキンシャドウが怯んだので、その隙に上から剣を振り下ろして叩く。

 これでもマネキンは耐えた。今度は真っ直ぐに突きを放つ。敵が動かないなら、落ち着いて攻撃出来る。

「あれ?」

 だが、突きはマネキンの脇腹をすり抜ける。店の奥へ向いていた視線を戻し、技を使うことにした。その瞬間、マネキンの左腕が少し引かれていることに気づいた。

 来る。心臓が痛いくらい高鳴り、身体が熱くなる。マネキンは左腕から生えたナイフで突きを繰り出してきた。

「うおぉぉっ!」

 全力で後方へ飛び退き、ナイフを回避しようとした。だが、ナイフが少し服をやぶくくらいに届き、冷や汗が吹き出す。

 だが、それ以上はマネキンの腕が届かないのか、回避が成功した。即座に足へ力を込め、再度マネキンへ向かっていく。

「【ライジングスラッシュ】!」

 剣が緑に光り、マネキンを切り裂いた、かに思えた。直撃を貰ったマネキンは、まだ倒れない。体力が高いのか、武器が弱いのか。

 隙を見せないため、俺は無言で左ストレートをマネキンの腹に叩き込む。これでようやくマネキンは青い光りに消えた。

「ふぅ」

 俺は一息付いたが、まだ敵はいる。マネキンがもう一体いるのだ。子供服の方のマネキンだ。暇を持て余して怒ったのか、両手を伸ばしてコマみたいに回転しながら突撃してきた。

「おおっ?」

 それに気づいた時には、頭が止まっていた。想定外の攻撃に思考が間に合わない。ボタン一つで避けられるなら、それを押している場面だ。だが、フルダイブゲームでは自分が動くしかない。ボタンを押すのと違い、このゲームでは回避したかったら方向や距離はおろか、前転なのかバックステップなのか方法まで自分で考えてする必要がある。

「うわぁっ!」

 そうこうしている内にコマが直撃して吹っ飛ばされてしまった。このゲーム何が怖いって、この吹っ飛びだ。

 いつものゲームならFPSでもカメラが固定されているから、吹っ飛んでも視界は一定。故に体勢を立て直した直後の行動を決めやすい。

 だが、自分の目がイコールでカメラだと吹っ飛ばされた時に何がなんだかわからなくなる。

 急いで起き上がると、目の前にマネキンはいなかった。音を聞くと、後ろから迫っているのがわかった。吹っ飛ばされた時に、向きが変わってしまったのだ。

「よっと」

 一度わかれば、後は音を頼りにでもして普通に避けるだけ。俺はコマを避けて、マネキンの回転が止まったところを確認した。

「やっぱ弱点狙わなきゃマズいか」

 俺は、マネキンの背後に回る。マネキンの背中には、黒い物が付着していた。これがマネキンを操っていたシャドウだ。

「そいや!」

 そのシャドウを二回ほど切り裂くと、マネキンは即座に停止した。青い光となって、マネキンは消えた。

 マネキンからウインドウが出ているので、それに触れてアイテムを手に入れておく。手に入れたアイテムは、『フリルブラウス白』と『カンバッチ』というアイテム。ブラウスはさておき、缶バッチは使えそうだ。未だに初期装備の地味なパーカーのままだし。

 さっそく缶バッチをパーカーを取り付ける。左胸じゃ子供っぽいから、下に持っていって裾とかどうだろうか。

 オシャレも済んだし、攻撃についての話に戻すか。

 先ほどの戦闘で俺がマネキンに当てた攻撃は、剣で3発。その間に4回攻撃されている。

 敵を倒すために必要な攻撃回数が減れば、戦闘時間が減る。例えば攻撃頻度が20秒に1回の敵を倒すのに1分掛かれば、倒すまでに3回攻撃を受けることになる。これが20秒でさっくり倒せれば、1回の攻撃のみで済むのだ。

 攻撃を受ける回数が減れば、受けるダメージも減らせるのは分かりきったことだ。これはターン性RPG以外にも当てはまる。相手に行動させずさっさと倒せれば、それだけ生存率も上昇する。

 このゲームは割と自由度が高いから、腕でなんとか出来ないと思ったら武器強化してもいいかもな。あと防具。防御力は大事。

「よーし、やるぞ!」

 始めたばかりのゲームはすべきことが多い。だからこそ、やる気が湧いてくる。今夜は寝ずのゲーム行脚だ!


 翌日 長篠高校教室


「眠い」

 夜更かし明けの授業はキツイものがある。そうだ、俺は体が弱くて徹夜なんて出来ないんだった。

 入学したての、四月中旬にもならないこの時期、授業らしい授業はやっていなかった。それが幸いだ。

 昼前になってくると腹が減るな。今日弁当に詰めたのなんだけっけ? 廊下側の席で、俺は弁当の中身を思い出しながら、授業とも言えないものを聞いていた。

 俺の通う学校は私立長篠高校。なんで矢作川の側にあるのに矢作高校とかじゃないんだ、とずっと気になっていたが、どうやら元々は鉄砲で有名な戦いをした長篠に校舎があったらしい。お引越ししたのか。

「で、クラスごとの行動でどこ行きたいかって話だ」

 担任の男性教師が黒板に文字を書いている。オリエンテーション合宿の中にある、クラスごとの自由行動でどこに行きたいか聞いているようだ。日の差さない場所ならどこでもいいさ。

 私立、とはいえ教室がホワイトボードだったり、べらぼうに綺麗だったりするわけでもない。私立といえば高い学費で儲けて校舎が綺麗な印象があるが、現実は厳しい。掃除だって業者など雇っておらず、自分らがしないといけない。

 あまり学費が高いと学生は来ないし、政府は公立ばかり優遇するし、そのくせ教育の内容に口を出すのは一人前にしやがる。口を出したきゃ金を出す、そんな当たり前のことも出来ないらしい。今の総理大臣、渦海首相は無能だな。

「ナンセンスだな」

 他の私立ならいざ知れず、この長篠高校は俺みたいに事情あって学校に行けない子供の支援をしているのに、この冷遇はないだろう。

 公立がしなきゃいけないのにしないことしてんだよここは。だれのケツ拭いてると思ってるんだ?

 俺がここに入ったのも、体育を見学で済ませてくれたり、今もしているが制服の中にパーカーを着てフード被ったりしてもよかったり、いろいろと融通が利くからだ。公立ではこうもいくまい。学校によっては地毛が少し茶色っぽいだけで人権が無かったりするらしい。怖い。

 席替えでは常に廊下側にしてくれるし、授業中にフード被っていられるし、先生の物分かりはいいし言うこと無いな。夏場なんか室内でも日差しによっては大火傷だ。

 アルビノがみんなここまで極端に日差しに弱いということもあるまいが、俺は弱いんだ。いくら日焼け止めがあっても、動かず日光に当たり続けるのは良くない。

 名簿が離れている夏恋と知り合った切っ掛けの一つに、これを配慮した席順がある。普通、入学したての頃は名簿が近い奴と仲良くなるもんだ。

 うちの高校は名簿が男女混合で、夏恋は『上杉』だから3番目くらいなのだ。入学当初の席順は廊下側から一番、二番と並んでいく、お馴染みの方式。だから夏恋は席が廊下側にある。

 『直江』の俺は本来なら順番通りにすると教室の真ん中くらいに来るだろう。それが特殊な配慮で廊下側に移動したため、夏恋と席が近かったのだ。

 このクラスには一般枠の生徒もいるが、この学校の多くは何らかの事情を抱えている。俺としては詮索する気などないが。

 そこそこ平均的に古い教室で行われているのは、オリエンテーション合宿の準備だ。クラスごとの自由行動で何処に行きたいか、だったな。

 みんなクラスに馴染んでいないのか、中々意見を出す奴がいない。ポーカーで言うなら、相手の出方が分からなくて勝負に乗りも降りもできない状態ってやつか。

 考えているフリをしながら、数人は出方を伺っているのだろう。このクラスでどれほど我を通していいのか、どんな意見なら受け入れられるのか、手応えがわからないと初手が打てない。

 静岡か……この空気で行き先ばかりか合宿の部屋割りとかも決めるのか。これだからクラスの初期ってダルいな。

 膠着状態が続くため、クラスが成立した初期に行われる会議は長引く。これがかったるくて俺は嫌いだ。

 つーか、係とかならまだしも級訓とかいらんもんまでこの空気で決めされるとか文科相は正気か? 級訓なんて決めたって、何の役にも立たない。

 普段なら様子を見つつ切り込むところだか、厄介なことに案が思いつかねぇ。静岡か……。

「じゃあ、富士山登ろうぜ。富士山」

 そんな空気の中、真っ先に発言したのは、日に焼けた運動部員の男子、門田かどただ。教室の真ん中くらいにいる。

 富士山って疑うこと無き富士山だよなぁ? そんなついでで登る山だっけ? 観光名所扱いだが冬になりゃアルプスの登頂訓練にも用いられる過酷な山だぞ?

 俺と同じ思いか、それにツッコミを入れる人もいた。

「富士山って、いきなりハードなの来たな」

 その声の主は、学級長の三好雅。窓際にいるが、声が通るので聞こえやすい。

 一見すると黒髪ショートカットの女子にしか見えないが、列記とした男子だ。この学校は学級役員に男子と女子一人ずつとかにしなくていいという、制限が無いため尚更ややこしい。

 追い討ちをかけるように、この学校は制服すら男女で別れていない。ブレザーは共用だし、男子がスカートでも、女子がスラックスでもいい。融通効き過ぎである。そこがいいのだが。

 他の学校みたいに学級長と副学級長が男女一人ずつなら、辛うじてわかるのにな。うちのクラスは雅が学級長、夏恋が副学級長だ。夏恋は胸あるけど、雅には無いから、そのルールならなんとか判別できる。でもルール無しじゃ推理しようがないぜ。

「うーん、俺静岡っていうと富士山しか思い付かねーんだよな」

 それでも言って見せた門田は偉い。おかげで話が進むではないか。雅はそこから新しい案を引っ張り出した。

「富士山なら関連して三保の松原とかどうだ?」

「んん? そんなのもあんのか」

 否定するばかりでなくフォローも忘れない雅は出来た上司だ。曲者ぞろいのクラスで学級長に選ばれるだけはある。

「三保の松原って世界遺産に含むか最後までもめたやつだっけ?」

「そうよ。結局登録されたみたいね。天の羽衣伝説が有名ね」

 俺が夏恋に話を振ると案外博識な答えが返ってくる。

「ああ、フランスのダンサー、エレーヌ・ジュグラリスは知ってる? 能の研究をしていたんだけどその途中で羽衣伝説を知り、それを題材に作品を作ったの。本人は舞台である三保の松原へ行きたがってたんだけど、病気でついに叶う事無く亡くなったんですって。遺言に従い、夫は髪と衣装を持って来日。このエピソードに共感した地元住民の手で『エリーヌの碑』が作られたの」

「そうなのか。詳しいな」

 やけに物知りだな。行ったことあるんだろうか。

「ま、普通平均寿命からしたら夫の方が早く死ぬから、行きたかった場所があるならこうして妻に頼んでみてもいいかもね。妻がもらえたら、だけど」

「一言多いなぁお前は」

 関心していると、即座に毒舌が飛んでくる。油断も隙もあったもんじゃない。

「あ、そうだ。でっかい砂丘あるんだった」

 不意に、どこからともなく提案が飛んでくる。それを出したのは、文学少女という呼び方が似合いそうな黒髪を後ろで結んだ眼鏡の女子だった。

 夏恋を高嶺の花とするなら、こちらは守ってあげたい系の女の子だ。系統の違う美少女、というわけか。

「砂丘?」

 クラスの注目を一身に浴び、少し彼女は後退した。こいつはたしか藤井佐奈か?

 あまり前に出るタイプじゃないのか、不意に衆目を集めて戸惑っている。こういう時は軽く助け船を出そう。正直、富士山関係以外の案はありがたい。

「静岡にもあるんだ」

「は、はい」

 砂丘といえば刺さってる杭全部がアイテム貰えるポイントになっているせいでポケモンGOブームの際話題になった鳥取のイメージだったが。

 そうか静岡にもあるんだ。

「えっと、中田島砂丘という場所なんですが……。ウミガメさんの卵を……保護しているんです」

 動物にさん付けとは可愛い奴め。なるほど、ウミガメか。

「なるほど、それはいい」

「富士山以外にもあるんだなぁ」

 雅と門田も食いついたか。富士山はクラスの連中も食傷気味だったのか、結構砂丘に人気が集まった。

「あ、んじゃ行先は砂丘に決まりな」

「え? いいんですか?」

 多数決の結果、砂丘行きが決定し雅がその旨を言い渡した。言い出しっぺの佐奈が一番驚いている。

「いいとも。じゃなきゃ多数決で決まらんさ」

 雅はそうフォローする。

「むしろ、富士山以外の案を出してくれて礼が言いたいくらいだ」

 しかし彼が続けた言葉は少々過剰だった。佐奈はすっかり照れて俯いてしまった。

「あぁ、じゃあ次はとりあえずレクリエーション大会のチーム分け決めるか」

 ここに来て影の薄かった担任が議題を切り替える。うちの担任である男性教師はガタイがいいのだがこれで数学教師。

 オリエンテーション合宿中に行われるレクリエーション大会。いくつか競技があって、全員が参加することになる。

 レクリエーション、それを聞いて俺はテンションが下がった。レクリエーションって大体は身体動かすものなんだよ。俺身体動かすの嫌い。

 今から既に、老人ホームに入居して興味も無いレクリエーションを毎日やらされるのを想像してゲンナリするくらいにはな。老人ホームの様子はニュース映像とかで見たことあるけど、歌いながら手を叩いたりとかなんだよアレ。あんな下らないことしてるから余計に頭が老いるんじゃねーか?

「競技は何があるんだ?」

 門田が競技内容を雅に確認した。何があるのかな。楽なの欲しいな。

「クラス対抗の玉入れと、クラスの代表者がするリレーだな」

 雅によると、クラス対抗の種目がある時点で楽はさせてもらえないようだな。ご愁傷様、俺。大縄跳びなら参加しないことで貢献出来るが、玉入れとか人数が欲しい競技だな。

まぁ、でも一人ぐらい理由つけて休んでもいいような気はするが……。

「そうだ、佐奈は参加出来ないからみんな頑張れ」

 俺がサボる口実を考えていると、先生からとんでもない爆弾が投下された。俺は脳内で黒焦げになった。一人休むってことは、余計に人数欲しいじゃん。

「佐奈? マジか?」

 俺は教室の後ろを見やる。そこに申し訳なさそうにしていたのは砂丘を召喚した佐奈だった。

「佐奈ちゃんなら仕方ねぇな、俺が二人分頑張るよ」

 門田は下心丸出しでそう言った。馬鹿な男子の典型だ。俺の分も頑張って。


 運動場


 俺たちはレクリエーション大会の諸々を決める為に、運動場まで出てきた。私立なだけあり、陸上のコースが敷かれた贅沢な運動場である。この陸上コース、ヤスリの様なコルクの様な謎物体が敷かれたものだがタータンというらしい。

 軽く動くだけなので、みんな制服であるブレザーの上着を脱いだだけで集まった。俺も上着とネクタイは教室に置いてきたが、これで日光防ぎ切れっかなぁ。念のため追加で日焼け止め塗ったけど。

 陸上コースの内側に、体育で使う小さなサッカーコートがある。白線を引いただけの簡単なコートだ。

 そのコート中央に円が書かれているが、その中にも円が書かれていて二重丸になっているため、円が某モンスターを入れて持ち歩くボールに見える。

「誰だよサッカーコートをポケモンフィールドにした奴は」

 そんな体育委員会のお遊びはさて置き、クラス対抗リレーのチーム決めだ。数人に分かれて走り、タイムを競う。速い奴が代表、なるほどさっきよりはわかりやすい。俺は最初からお呼びでないとな。

「ん?」

 そのうち、一人の女子が目に留まる。短髪で日に焼けた、活発そうな女子だ。たしか、名前は都煉那だったか? そういえばいつも一人でいるような気がするな。

 次がちょうど、煉那の走る番だ。様子を見てみよう。

「よーし、じゃあ次だな」

 雅がコーチみたいに号令をかける。煉那と数人の女子が並び、クラウチングの体勢になる。煉那は特にクラウチングへ対して慣れた様子も見せない。陸上部ではない、少なくとも短距離走の競技経験が無いのか? 外側のアウトコースを走る彼女を見守ることにした。

「位置について、よーい」

 雅がスタートの合図を出す。この時点でスタートダッシュの体勢に入るのがクラウチングの特徴だ。短距離走で主に使われる方法だな。

「ドン!」

 煉那を筆頭に、女子達が走り出す。先頭は煉那。早くはあるが、どうも走り難そうにしている。フォームが悪いのではない。マラソンの指導員が24時間テレビで走る様な素人同然の遅い選手に伴走するみたいな、無理矢理速度を落とした時の様なスピードだ。

「このフォーム、スプリントじゃなくて長距離か?」

 競技経験が無いのかフォームは綺麗ではない。だが、それでもハッキリわかるほどに、長距離用のフォームで煉那は走ってした。短距離の走り方じゃないのに、このスピードかよ。だれも抜けないまま、最終コーナーだ。その時、安定していた煉那に異変が起きる。

「チッ!」

「あ!」

 煉那が転倒しそうだ。ぐらつく彼女の姿に、とある面影がちらつく。長い黒髪が靡き、地へ崩れる光景。

「渚……!」

 それを見た俺は煉那を受け止めるためか、咄嗟に体が動く。しかしその努力も虚しく、俺が先に転倒してグラウンドに引き込まれた。腹を地面に強く打ち付け、空気が吐き出される。

「なぶっ……!」

 俺は転びながらも煉那の姿を確認する、ここのコースはタータンだ。転んだら傷が残る。地面に伏せる煉那の姿を想像したが、俺の予想は裏切られることになる。

 なんと煉那はコースに手を地面に付いて側転しているところだった。転倒で生じる力を側転で消費し、体勢を立て直す。

 だが、これもタイムロス。二位の女子に抜かれた。しかもそいつ、もうすぐゴールだ。あと十メートルか?

「なんと!」

 しかし俺は転んだまま思わず驚愕した。そのまま持ち直した煉那が、ストレートを駆け抜けて抜いた相手に追いついた。立て直した所と抜いた瞬間の中間が全く記憶にないくらいだ。

 そのまま抜き去りゴール。おいおい。僅か数秒の話だぞ?

 しかし妙に走り難そうだったな。どうしたんだ?

「気になるな」

 煉那が気になる。気になってしまうものは仕方ない。いや、それより立ち上がららねば。

「どうした遊人?」

 門田に地べたを這いつくばる様子を見られる。これは恥ずかしい。

「いや、今煉那が転んだかと思ってな」

「はー、代わりに転んでやったのか」

「そうなるな」

 んなわけないが、そこは門田なりの気遣いだろう。まさか正直に『助けようとして動いたら即転んで、相手は転びませんでした』とか恥ずかし過ぎる。

「っ……」

 気を取り直して立とうとした瞬間、右肩に鋭い痛みが走る。転んだ時に強く打ったのか? 起き上がるのも一苦労だ。

「ん? どっか痛めたか?」

「肩がな……」

「肩? なんでそんなとこを?」

 門田は不思議そうに言うが、鍛えてない奴ってのは変なとこ怪我すんだよ。体が硬いと怪我しやすいし。

「よーい、ドン!」

 俺の単身事故はさておき、リレーは夏恋のいた組が走り出した。夏恋は完全にフォームが崩れ、組の最後尾に付けてゴールした。フォームの崩れ方がわざとらしく感じたが、苦手な奴はそんなもんか。

「大体決まったな」

 夏恋のいた組が走り終わり、雅がリレーのメンバーを決めた。タイムが速い順だろうな。これで終わりか、どさくさに紛れて走るのをサボれてよかった。文字通り怪我の功名だ。

「おーい、遊人。お前まだ走ってないだろ?」

 安心していたら雅に見つかってしまった。うちの級長は目ざといから困る。

「あー、それだがな……さっき転んじゃって」

「え? 走ってないのに?」

 雅は非常に驚いていたが、理解してくれ。本当に運動神経ない奴は平面でも転ぶことが出来るってことを。

「足怪我したのか?」

「いや、右肩を」

「肩? なんでそんなところを?」

 このやり取り何回目だよ。とりあえず怪我してるからサボらせてくれ。

「割とマジな怪我だ。肩が上がらん」

「そうか。仕方ない、保健委員が保健室連れていってやれ」

 俺は保健室にいくこととなった。そういえばうちのクラスの保健委員って誰だっけ?

「私だ。いくぞ」

 煉那が俺の傍までやってきて、そのまますれ違う。来い、ってことか。あれ? 煉那が保健委員だっけ?


   @


 俺は煉那に連れられ、保健室に向かった。うーん、保健委員は違う気がしたんだがなぁ。

「なぁ、保健委員って……」

「私じゃないが?」

 聞いてみると、やっぱり煉那は保健委員じゃなかった。あーそうだ。我がクラスの保健委員は佐奈だった。

 じゃあ、なんで俺を保健室に? だいたいこういう時ってのは『好きな人と二人っきりになりたいから』とかそんな理由だと思うが、煉那の表情を見る限り違うな。

 なんだか、スポーツ少女にしては気だるげな、無気力な表情をいつもしているこいつだが、今の表情もそれだ。声も声量はあるがトーンが低い。

 とりあえずいつもの煉那で安心する。自分で言うのもなんだが、外見はいい方なのでよく女子からは言い寄られるんだ。憎たらしいことにアルビノ込みだ。いっそ黒染めしてやりたいが絶対後で禿げるし。

 外見にコンプレックスあるのに、それ褒められると『嫌味かコノヤロー』って思うよな。贅沢な悩みだというのは承知の上だが……。

「保健室はここだな」

 煉那は俺の安心を知ってか知らずか、保健室へ入っていく。

「先生はいないのか」

「そのようだ。とっとと済ませるぞ」

 煉那は先生の不在を確認しつつ、目立つ場所に置いてあった湿布を取り出す。

「ほら、脱げ」

「み、都さん?」

 いきなりな発言に、俺は顔が熱くなる。保健室で脱げって、ええ……?

「湿布が貼れないでしょ?」

「あ、ああ。その前にここ、日が差さないよなぁ?」

 湿布か。夜更かしでゲームしたせいで思考がゲームってたな。いかがわしいゲームしてたわけじゃないのにそういう方面の思考になってしまう。

「日差しがどうかしたか?」

「ああ、俺、日に焼けるとそれはもう酷いことになるからな」

 煉那は俺の体質についてあまり知らない様だ。ま、クラスの自己紹介でそれには触れてなかったし、座席が廊下側に移っているだけで察することが出来んだろうなこれは。

「んじゃ、カーテン閉めるよ」

 煉那がカーテンを閉めようとすると、何か異変に気づいたようだ。

「このカーテン、閉まらない」

「は?」

「固定されている」

 カーテンが固定されている? 煉那が引っ張ってもカーテンは窓を覆わない。俺がカーテンを確認すると、見事にどれもレールが歪んでしまっている。これのせいでカーテンが滑らず閉められないのか。

「こっちは動くな」

 ベッドを囲う方のカーテンは無事。というかこれのレールだけ妙に新しい。修繕が俺の入学に間に合わなかったのか。

「仕方ない。この中でやるか。湿布貸せよ。一人で出来るし」

 俺は煉那から湿布を受け取ろうと右腕を伸ばす。が、肩に激痛が走って動かせない。

「いてっ……」

「ほら、それじゃ貼るどころか服も脱げないだろ」

 ぐぬぬ……いや、来てくれたのが色気より食気っぽい傾向の強いスポーツ少女の煉那でよかった。夏恋だと互いに気まずかっただろうし。男子が来てくれるのが一番いいが、そういえばうちの保健委員二人共女子だったか? どうだっけ? なら煉那が一番マシか。

「さ、それこそ変な状況にならんうちに終わらせるぞ」

 煉那に促され、俺はベッドに上がる。カーテンを閉めれば日光は入らない。結構真っ暗だ。

「ほら、ボタン外して」

 煉那もベッドに上がっており、催促してくる。俺はワイシャツのボタンを外しながらどうしても気になったことを聞いた。

「なぁ、都さん」

「なんだ?」

「保健委員じゃないならなんで俺を保健室に?」

 暗いから煉那の表情は掴めない。だが、声はいつも通りの低いトーンだ。

「ああ、あんたが転んだの、私が転びそうになったからだろ?」

「え? 俺が転んだの、あんな側転の最中だったろ? 見えてたのか?」

 煉那もその時は俺の方を見ている余裕などなかったはずだ。だが、それでも状況が見えてたのか?

「直に見たわけじゃない。周りの空気とか見ればわかる」

「すげーな」

「チームスポーツじゃ必須だ」

 煉那はそんな曖昧なもんで状況を把握していたのか。チームスポーツか。スポーツゲームとかすると大体複数の選手を見下ろして操作するんだが、あん中に実際いたらと思うと……。うん、無理。

「どこにパス出せばいいか、上がるか下がるか、誰がいつパスを飛ばしてくるか、そういうのは周りの空気から読めないといけない」

 語る煉那のトーンは少し上がっていた。おそらくスポーツは心から好きなんだろうな。

「一応借りだ。転んだとこ助けようとしてくれたんだろ? 失敗したけど」

「そうか」

 煉那は借りを返すために俺を保健室に連れてきてくれた様だ。

「慣れてきた。……少し細くないか?」

 暗さに慣れてきた煉那は俺のワイシャツを脱がせる。背後からとかでなく正面切ってだ。なかなか大胆というか気にしてないというか。

 こう、服を脱がしてもらっていると煉那とも近いし何だか恥ずかしいな。つい顔を反らしてしまう。

 俺も自分で脱ごうとはしているが、時々煉那の手に触れてしまい動きが止まる。スポーツをしていたとはいえ、彼女の指は女の子のそれらしく柔らかい。誰かに看護されるのは慣れているとはいえ、入院時代の相手はプロかつ親ほど歳の離れた看護師だったし。

 ワイシャツの下にはガッツリとTシャツを着てきてしまった。肩に湿布を貼るため、大きな障壁が現れた!

「ほら、左腕上げな。つーかホント細いな」

「まぁな」

 だが煉那は臆することなくシャツの裾をまくり上げてくる。首と左腕を先に抜いて脱ぐ作戦か。負傷との付き合い方がこなれている。

 体の細さに言及されるが、そこは自覚しているつもりだ。筋肉も脂肪も足りない。料理は意外と筋力が要るのでその分はあるが、全体的に見れば痩せ形だ。

 上半身の服を脱がされることで、それは余計に目立つ。

「しかし、適当に男子に押し付けてもよかったんだぞ? よかったのか?」

「ん? どういうことだ?」

 俺はつい、居た堪れなくなってそんなことを言ってしまう。こう、何というか男を脱がすのに抵抗とか無いんだろうか。

「いや、なんでもない」

 ただ、煉那のこの反応を見ると特に気にしてないのか? ま、湿布貼るって目的もあるし、特に恋愛感情も無いし、俺の反応が童貞臭いだけか。

「細いな。やっぱりスポーツはしない方か」

 煉那に聞かれたが、そういえばしない。つーか体力が無さ過ぎて出来ないってのが正解だ。

「ああ。全然からっきしだ」

「そうか」

 煉那はいつものトーンで返しながら湿布を貼っていく。

「都さんは好きだろ? スポーツ」

 俺は煉那が当然スポーツ好きだと思っていた。

「好き、だったな」

 だが返答は含みのあるものだった。そういえば長篠って特別運動部が強い学校でもないような? じゃあなんで煉那は長篠に?

「ふーん。中学では何してたんだ?」

「サッカー」

「それでか」

 さっきのパス云々の話はサッカーのことか。

「ん?」

「いや、さっきのパスがどーたらって話さ。俺、ゲームだとサッカーするんだけどそこだと一チームを全部自分で操作できるからな」

「サッカーのゲームなんてあるんだ」

「え? ウイイレとかイナイレとかご存じない?」

 煉那はサッカーゲームのことをよく知らない様だ。サッカー関係なら実在選手が使えるウイイレくらい知ってると思ったが。

「そういえば一応長篠って女子サッカー無くね?」

「知ってる」

 そこで俺は重大なことに気づく。女子サッカー部って滅多にないから、煉那ならそういう高校を狙って入試受けるだろうし、それか推薦で強豪行くだろう。

 おそらく並々ならぬ事情があるんだろう。そこには触れないでおこう。

「スポーツかー。俺には全くボールを蹴ったり、時速100キロを超えるちっこい球をほっそい棒で打ったりできる理由がわからんな」

 俺は話題を変えるため、スポーツ選手全般に抱いていた疑問を口にする。あれはマジで意味が分からん。

「それ、あんた球見てないだろ? 目標さえ見てりゃ体はそっちへ動いてくれる」

「そうなのか?」

 煉那の答えはシンプルだった。ここまで単純な回答だと、彼女はかなり才能があると見える。出来る奴ってのはそれがなんで可能なのかって理屈が理解できない。『出来るから可能』なのだ。

「逆に目線が狙いに向いてないと明後日の方向へ行く、らしい」

「そうか、じゃあ剣も同じなのかな?」

 俺はふと、昨夜の戦闘を思い出す。初級の敵にも当たらぬ攻撃。まさに他ならぬ俺が墨炎であるがために起きる現象だ。

「剣? 剣道でもしてるのか? ……っと、ほら、終わったよ」

「おーサンクス」

 話しているうちに、湿布を貼り終えた様だ。痛みが幾分か引いていく。

「んじゃ、もう昼休みだろうし行こうか」

 俺はベッドから降りるため動こうととした。だが、悲しいことに運動神経が無い故か後ろに倒れそうになってしまう。

「っと……」

「直江っ!」

 煉那は咄嗟に俺の腕を掴んで引き上げようとするが、座り姿勢というのといくら痩せていても人ひとりを引くのは無理なのか一緒に倒れ込んでしまう。

「うおっ!」

「きゃっ……」

 煉那は先程までの低いトーンが嘘みたいに可愛い悲鳴を上げた。

「うぼっ!」

 俺の上に煉那がのしかかり、あばらを越えて内臓に重い一撃が加わる。紙耐久の俺にはこれでも深刻なダメージだ。

「だ、大丈夫か?」

「目の前が真っ暗になった……」

 煉那に心配されたが、強がることも出来ない。速度の出ない紙装甲とかゲームなら修正待ったなしの性能だ。

 とはいえダメージもしばらくすると回復して、自分の状況が見えるようになってくる。

 そう、煉那が自分の上に乗っているという現実がありありとな。

「……」

「……」

 気まずさがマックスになる。上半身裸の俺はともかく煉那も軽く運動するためにブレザーの上着は脱いでいる。二人の体温を遮るものは殆ど無い。

 煉那は少し暖かい。贅肉も腹筋も無い腹になにか柔らかいものが当たる。

「ご、ごめん!」

 流石と言うべきか我に返ってからは超反応で煉那はすぐに起き上がり、ベッドの上で俺に背を向け縮こまる。たぶん、素の彼女はこんな感じなんだろう。なにかが理由で無気力っぽく振舞っているってところか?

「い、いや……怪我ないか?」

「無いけど……」

 俺はそそくさとワイシャツを着込み、カーテンを開けてベッドから降りる。昼の日差しがなんだか久しぶりの日光に思えた。

「よし、誰もいないな」

 そうそう、こんなところ見られたら大変だ。保健室に相変わらず誰もいないことは確認する。んじゃ、昼休みだし教室戻って飯にするか。

「……直江、もう動けるか?」

「ん? ああ、歩く分には元々問題ねぇが」

「そうか、んじゃ」

 煉那は俺の容体だけ聞くと、さっさとどこかへ行ってしまう。しかし気になるのはあれだ、上に乗られた時、腹にあった感触からして結構胸ある。

 違うそうじゃない。何気なく出た『目標さえ見てりゃ体はそっちへ向かう』って話、もしやドラゴンプラネットで使えるか?

 俺は彼女のアドバイスを刻み、決意を新たにした。

 次回予告


 え? 今週から次回予告アドリブ? トップバッターは私?

 どうも、上杉夏恋よ。最近物騒よね。道行く人を怪我させてそれも自分に付いた返り血を舐めるんですって。え? 何凹んでんの遊人は。昨日、疲れて寝落ちしたらゲーム出来なかったの?

 ちょっと待って? 佐奈が通り魔に襲われた? それって……。

 次回、ドラゴンプラネットRE:birtht、第4話『吸血姫』。

 ううん、なんでもない。友達が怪我すりゃ、顔色くらい悪くなるわよ。

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