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ドラゴンプラネット RE:turn players  作者: 級長
chapter2 インターバル 嵐の前の静けさ
20/23

12.体育祭を乗り越えろ!その2

 チュートリアルにあたるchapter1クリア後以降、度々選択肢が表示されストーリーが分岐します。一つの選択肢で大きく変化することもあれば、影響を及ぼさないこともあるので慎重に選びましょう。

 またしても保健室で煉那の世話になってしまった。まったく不甲斐ない話である。

「しかし、用事が出来たと思って来たら丁度起きてくれるとはな。あんた眠り浅いの?」

 煉那はずっと見てくれていたというより、たまたま訪れた様だ。まぁ彼女にすらそんな献身性を求める様な男ではない。いいタイミングってやつだ。

「いや、それは分からん。で、用事って?」

「これだ。オリ合宿の時にあった、あんたの弟」

 煉那がスマホの画面を見せる。そこには『松永順』と記された連絡先があった。たしか、こいつら俺の弟に会ったとかなんとか……。それがこの松永順というわけか。

「静岡に松永総合病院があって、週末予定が開いているってさ。会いたいんなら会いに行ったらいい」

「そうか、サンクス。教えてくれて」

 わざわざ教えてくれたんだ。せっかくなら行ってみるか。俺の弟か……、血縁はよく知らねえが、興味はある。

「ねぇ、聞いていい?」

「なんだ?」

 煉那は聞きにくそうに俺に尋ねた。やっぱ俺の家族となると、暗い話が付き纏うものだ。

「あんたは弟のこと、どう思ってんの? 自分は捨てられたけど弟は愛されて……とか」

「んー……どうなんだ?」

 煉那的には俺が捨て子で順が普通に育ったという解釈らしいが、正直その推測は正しいか分からない。

「どうして俺が病院にいたのか分からないし、順もどうしていたのか分からんからな。なんとも言えん。ただ、向こうが俺に会いたいというのなら会ってみていいと思う。松永総合病院ってもんなら、俺を利用しようって算段もないだろうし、逆にお前の推測通りのスキャンダルがあれば不利なのは無効だ。その状況で俺に会おうってなら、向こうにもそれなりの要件がある」

 考えれば考えるだけ、こちらに損な理由はない。それこそ非合法にアルビノの標本でも欲しきゃアフリカ辺りで回収すればいい話。日本で、かつ身元のしっかりした俺を狙う意味はない。それにじいちゃん達が引き取ったのも、知らぬ間にお家騒動に関わったらという心配からだ。なんせ、警察一家だ。後ろ盾はバッチリ。俺自身も意図せず交流を広げているから、足取りが途絶えたとしてもすぐ分かる。

 というか、呼び出して始末なんて足しか付かん。例え医者でもな。

「一人で行くのか?」

 煉那はやはり諸々の心配があるのか、誰と行くのか気にしていた。というかそうでなくても静岡なんて遠くに俺一人で行くのは心配か?

「まぁな。どうしてもってんなら、腕っぷしに自身のある奴も知ってるし」

「あんたが言うなら心配はしない。それに、止めても行くだろ? 後悔したくないってさ」

「ああ」

 煉那も俺のことが分かってきた様だ。そうとも、途絶えた血縁を辿るチャンスをますます見逃すまい。

「でも週末は疲れ残ってない? 今日も大変だったし。開いてる日程自体はいくつか教えてくれたし、別の日にしても……」

「いや、なるべく早く行く。日程が開いてても、俺は後回しにしない主義でね」

 さすがに向こうもいくつかこちらの都合に合わせられる日にちを用意してきた。だが、俺はそういうタイプじゃない。早いうちに、運命とは出会っておく。そうやって後回しにしているうちに会えなくなったり、俺が死ぬかもしれん。俺は明日死んでもいい様に生きると決めている。

「……そう言うだろうが、無理はするなよ?」

「つっても向こう病院だろ? 最悪診てもらえるだろ。あ、大病院の初診は紹介状ないとお金かかるんだよなぁ……身内割引してくれるかな……」

 そういう問題ではない気がしてきたが、まぁいいでしょう。

「んじゃ、連絡先やるよ。渡しておけって言われてたんだ」

「そうか。ライ麦だな」

 煉那が交換していたのはコミュニケーションアプリのライ麦のフレンドコード。最近は携帯の番号やメアドを交換する例は少ない。俺はライ麦を開くと、新しいメッセージが届いていることに気づいた。

「あん? ……理架か?」

 送り主は後輩の真田理架。用件は簡潔なものだった。

『直江先輩、お姉さんにも相談しておきたいことがあるんですがいいですか?』

 姉ちゃんは警察官。110番するほどでもないが、少し警察に言いたいことがある時は俺経由で話が来ることもある。それ用の番号ってのもあるんだが、やっぱ直に届くラインってのは重宝されるらしい。

『今姉ちゃん忙しいんだ。伝えるが用件を聞いたら他の解決法が出るかもしれん』

 俺はメッセージを返すと、順のライ麦を交換してもらう。これでよし。しかし理架はよほど気になることなのか、その短い間に返信をしてきた。

『この前児童養護施設にボランティア行ったんですよ』

『その時会った子と手紙のやり取りをしていたんですがある日から返事が途絶えまして』

『筆まめな子なので心配になって施設へ行ったんですけど行方が掴めないんです』

 失踪か? 吸血姫といい、随分この街も物騒になったものだ。俺はとりあえず返信する。

『その分だと、施設は捜索願出してないんだろうな。わかった、姉ちゃんに言っておく』

 俺はいい病院に入院生活だから施設暮らしは経験していないが、まさかミュージカルのアニーみたいな劣悪な環境ということはあるまい。ただ、スタッフも人だ。赤の他人の子供にどれだけ真剣になれるか。両親という、場合によっては我が子の為に社会すら敵に回す存在をバックに持つ生徒さえ教師によってはぞんざいに扱うことを考えると、頼れる者のない彼らの身は心配だ。

「さて……、今週末だが……」

 俺は週末のことに思考を移した。理架の話も気になる。失踪となれば早めの捜索が命に関わるし、俺なら痕跡を辿っておおよその予測を付けられる。だが俺は警察ではない。施設の人に入れてもらえるか、話が聞けるか怪しい。無駄足に終わる危険を考えると警察に話を持っていく方が賢明にも思える。

「あ、起きてたのね。あいつのとこ、行くんだ」

 俺が考えていると、夏恋が入って来る。どうやらさっきの話を聞いていたらしい。

「私は……反対。そもそも超人機関? なんて中二ラノベに出て来そうな組織を信用出来ない」

 超人機関ね……。一体何をそこまで気にしているのやら。

「おい夏恋、お前あの松永順に何か恨みでもあるのか? オリ合宿の時に初めて会ったんだろ」

 煉那は怪訝そうな顔で夏恋を見る。だが、彼女の懸念も理解できる。

「そうだな、俺が血の繋がった家族のことを知らないって言ったばかりの時に弟を名乗る奴が出てきたら信用は出来ないだろう。それが、俺を捨てた一方で弟の方は普通に、いや、それ以上に手間をかけて育てた疑いがあるとなれば尚更な。だから俺は確認する必要がある。血の繋がりを完全に捨てるか、取り戻すべき空白であるのかを」

 信用出来ない材料は確かに多い。だが、それで跳ね除けていては失うものも多い。リスクヘッジはした上で、チャンスは残さず掴んでいきたい。

「でも……」

「悪いな。これは俺のことだ、忠告はありがたいし考慮もするが、最後は俺が決める。もし死んでも、俺はお前を恨まん」

 結局、自分に責任を持てるのは自分なのだ。

「それでもダメ。私はあんなところに行かせるわけにはいかない」

 一方で夏恋の決意も堅い。何がそうさせるのか分からんが、彼女は松永順という個人、超人機関という組織以上に信用できないものがあるのか。

「ていうか、お前なんか紹介状貰ってただろ、お前も一緒に行けばいいじゃねぇか」

「え? そうなの?」

 煉那が助け舟を出す様に重要な情報をくれた。医者に呼ばれてるなんてよっぽどのことだ。それはすぐに行った方がいい。

「おい、だったら一緒に行こう。いや俺が行けなくてもお前だけでも行け。手遅れになる前に」

 こちとら早期発見出来ずに死んでる奴山と見てんだ。流石に冷や汗が出る。

「な、何よ、行かないったら……」

「じゃあ俺行くわ」

 夏恋は行きたがらなかったが、幸いこちらにカードはある。夏恋は俺が順に会いに行くのを止めたい。そして俺は、夏恋に順のとこへ行かせたい。ならば選択肢は一つ。

「ええ? それは……」

「そんなに俺が気になるなら、ついてきて見張ればいい。一人で病院に行けないってなら、俺が一緒にいる。それでどうだ? 俺はお前の静止を振り切ってでも順に会いに行くことが出来る。一緒に住んでるわけじゃないからな。俺と止めるチャンスは、俺に起きる危険を回避するチャンスは、俺といる時だけだぜ」

 これでお互いの目的は達成できる。いくら頑張っても他人の夏恋には俺を止める方法が限られている。夏恋もさすがに突っぱねることは出来なかった様だ。

「逆に俺も夏恋、お前を蔑ろには出来んというわけだ。病院まで引っ張るには俺という餌がいる。ただ、順に会うという用事は一回切りじゃないから往復も可能なんだけどな」

 俺が一方的に夏恋を振り回せる状況だ。夏恋を無視して静岡と愛知を往復横跳びしても彼女はやきもきすることしか出来まい。

「くっ……行かないなら行かないで一人で行くでしょうねあんた……。私に選択肢無いじゃない……」

「決まりだな」

 こうして、俺の行動は決定した。順に会いにいくか、行方不明の子供を探すか。この二択。


 いや、正確には三択だ。もし俺の仮説が正しいなら、あの荒唐無稽な推理が正しいなら、俺は藤井佐奈に聞くべきことがある。そして、早期に吸血姫を止めねばならない。彼女の為にも。さぁ、どうする? どのクエストも急ぐことだ。ここが正念場、ルートの分かれ目だ。残念ながらセーブとロードは出来ないし、リセットも効かないぞ。


 ▷松永順に会いにいく

  失踪した子供を探す

  藤井佐奈に話を聞く

現在のタスク

メイン

・吸血姫事件

 犯人のおおよその目星は付いている。佐奈が鍵を握っている

・プロトタイプ暴走

 黒幕がいる様だ。

・児童失踪

 話を聞こう。まずはそこからだ。


サブ

・氷霧と夏恋の関係

 二人の関係が気になる。あまり深堀りしない方がいいだろうか……

・煉那のこと

 昔に何かあったのか? これも深堀りしない方がよさそうだ。

・騎士団の拠点

 騎士団の拠点を決めよう。いい立地ないかな。

・ストーリー:ネクノミコ編

 ドラゴンプラネットのストーリークエストだ。やってもやらなくてもいいが、せっかくだし。

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