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【完結】転生したけどやっぱり底辺ぽいので冒険者をやるしかなかった  作者: よぎそーと
その5 そりゃまあ冒険者だからこういうのも仕事だけど

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レベル86-1 思いつきが上手くいくか調べてみるまで何とも言えません

「じゃ、行くか」

 前回と同じように仲間を引き連れていく。

 武器と防具と何日か過ごすための食料に道具。

 それらを担いで小鬼の集団のいた方向へ。

 だが、今回はトオル達だけではない。

「じゃあ、お願いします」

「ああ、分かってる」

 乗り込んだ荷馬車の御者席に座る村人は、頷くとロバに鞭をくれた。

 トオル達を乗せた馬車が動き出す。

 その後ろに、荷物をのせた馬車が続く。

 成功のおぼつかない作戦は、こうして始まった。



 小鬼達がどう動くか分からないが、村の位置を知ってるのは確実だった。

 家畜を奪っていった者達が向かった先に小鬼達がいた。

 連中が今後、村に襲いかかってくる可能性は高い。

 そうしない理由が見つからない。

 強奪と略奪は、小鬼だけに限らない鬼と呼ばれる者達の特徴だ。

 連中は、奪うだけ奪ってから去っていく。

 襲える場所があるのに立ち去るとは考えにくい。

 いつになるかは分からないが、いずれ襲いかかってくるのは目に見えている。

 そうなる前に、どうにかする必要があった。



 幸か不幸か、小鬼は比較的遭遇する事の多いモンスターではある。

 そのため、ある程度習性というかよくとる行動が知られている。

 基本的に大勢で行動する。

 数匹単位の小集団になる事もあるが、一匹だけという事はまずない。

 その数でもって襲いかかってくる。

 基本的には自分達より少数の相手に向かって。

 それでいて、形勢が不利となればすぐさま逃げ出す。

 イキがってはいるが、基本臆病だと言われている。

 あるいは引き際をわきまえてるととるべきか。

 正解は分からないが、重要なのは小鬼の本性や性質ではない。

『どういった時に、どういう行動をとるか』

 ただそれだけである。

 過去の事例から、状況が不利になれば逃げ出す事は分かっている。

 そのため、全滅をさせる必要がない。

 小鬼の集団を自分達と同数にまで落とし込めば良い。

 あるいは、戦ってる小鬼全員にそれなりの傷を負わせれば良い。

 それだけで、逃げ出してくれる。

 トオルはそこに目をつけた。



(勝てないまでも、だな)

 相手を全滅させられればそれに越したことはない。

 だが、現実的ではない。

 やろうと思ったら、相当な規模の兵力が必要となる。

 効率よく動かすための作戦も。

 それらを用意するのは不可能だ。

 動員できる手持ちの兵力で成果をあげるなら、相手が逃げるような状況を作るしかない。

 少しずつ、確実に。



 目的地である森に到着したのは以外と早かった。

 丈の高い草のおかげで進みは遅かったが、それでも人間の足よりは早い。

 荷馬車から荷物をおろし、その中に入り、適当な所まで入った所で足を止める。

 程よい広さ……とはいかないが、そこそこ広い場所に出る。

「ここにするか」

 他にもっと良い場所があるかもしれないが、探してる時間がない。

「すぐに作ってくれ。

 とりあえず……こっちの方向。

 原っぱに面してる方だけでいい。

 柵を作っておいてくれ」

 一緒に来ていた解体組に指示を出す。

 小鬼対策でトオル達が動いてる間、やることが無かった者達だ。

 なので今回は、森の中に作る陣地作りをしてもらう事にした。

 それから、一緒に来てる兵士にも指示をだす。

「その間の護衛、頼むぞ」

「はい、分かってます」

 モンスター退治を休んで来ていた者達が頷く。

「それじゃ、馬車の方は一度村に。

 残りの道具もお願いします。

 護衛もつけてますけど、気をつけて」

「ああ、すぐに戻ってくる」

 そう言って御者達は森の外へと向かう。

 もう一組の兵士と共に。

「さて、それじゃ」

 残った者達、トオルがいつも一緒にモンスター退治をしてる仲間に最後の指示を出す。

「俺達も行くぞ」



 何をするにしても、事前の情報が必要になる。

 無くてもどうにかなる事もあるだろうが、有った方が効率が上がる事の方が多いだろう。

 どれほど不利な情報であってもだ。

 小鬼達が、今どうしてるのか、実際にどの程度の規模なのか。

 行動してるとすれば、何をどうしてるのか。

 何が手には入るかは分からなかったが、何かしらの情報を得られれば考えの足しにはなる。

 そのため、森の中を進んでいった。

 もし村に向かってるのであれば、それをある程度は阻止したいとも考えていた。

 一定以上の数がいたら、見逃すしかないが。

(さて、何が出るかねえ)

 出来れば物騒な事にはなって欲しくない。

 いるかどうか分からない神に、都合の良い助力や奇跡をするよう胸の中で命じる。

(お願いしても聞いてくれないしなあ)

 だから頼む必要もない……そう思うようになったのはいつだったか。

 以来というわけでもないが、神にすがりたくなる時にはお願いではなく命令するようにしている。

 それで恩恵が得られるわけでもなかったが、特別罰を受ける事も無い。

 どっちにしても、何の変化もない。

(いったい、何のために存在してるんだか)

 この世界にも、一応神という考えはあるし、宗教も存在する。

 前世の神とは幾分違ってはいるが。

 そんな神々も含め、何もしない連中に何のために祈るのかが分からない。

 少なくとも、これだけの困難に遭遇してるのに、救いや助けをもたらしてくれる事も無い。

(まったく……)

 だんだんと腹がたっていった。

今日も14:00に続きを出します。

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