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【完結】転生したけどやっぱり底辺ぽいので冒険者をやるしかなかった  作者: よぎそーと
その4 上に立つ者になっちゃったかもしれない気がする日々
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レベル67 専門技術を身につけるには時間も金も手間もかかります

 紹介されて赴いた神社では、神主がすぐに会ってくれた。

「話は聞いてる」

 存外気さくな感じで接してくれる。

 一般的な神職はともかく、まがりなりにも社をあずかる立場とは思えなかった。

 トオルのような若輩かつ冒険者は、とかく低く見られがちである。

 だが、この神主にはそういう所が見られなかった。

 そういう所を見せてないだけかもしれないが。

 何せ領主からの紹介である。

 それなりの態度をとらねば、と思っているのかもしれない。

 良くも悪くも大人の分別というものを用いてるだけかもしれなかった。

 それならそれでかまわなかったが。

(態度を使い分けるくらいの分別があるならいいか)

 それすらも無い輩も世の中にはいる。

 ならば、理由付だろうと礼儀正しい対応をしてくれる者のほうがよい。

 内心で相手を見下してたり軽蔑してても、それを表に出さないでいるなら助かる。

 結果が思わしく無くても、気分まで悪くならずに済む。

 それか、ある程度地位が固まってるから、下手に格式張ったり偉そうな素振りを見せなくてもいいのかもしれない。

 確固たる地位が決まると、むしろ身分に左右されないと聞いた事がある。

 もちろん、この神主が本当に他人を尊重できる人格者なのかもしれない。

 出来ればそうであってもらいたかった。

(まあ、話し聞いてもらえばいいけど)

 最低限、それだけしてくれるなら文句はない。

 門前払いでないだけでも御の字である。



「それで、早速なんですが。

 魔術の修行についてお願いを」

 前置きを省いて用件を切り出した。

 それ以外にここに来た理由もない。

 相手がどう出るかは分からなかったが、だから最初に切り出した。

 断られたらそれまで、と覚悟して。

 しかし神主は、

「分かってる」

と受け入れる。

「ただ、基礎を身につけるのに半年はかかる。

 それは覚悟してくれ。

 それと、生活に必要なものもそちらで用意してもらいたい」

「あ、はい。

 それはもちろん」

 あっさりと認められた事が意外だった。

「でも、いいんですか?

 魔術って、秘密とか色々あるんじゃ……」

「まあ、全く無いとは言えない。

 しかし、使い手が増えて困る事も無い」

「はあ……」

「意外そうだな。

 しかし、使い手が少ないから出来る事が限られてる。

 そのせいで、どうしても色々後手に回っていてね。

 身につけてくれる者がいるなら、それにこした事はない」

「そんなに、人手不足なんですか?」

「結構ね。

 村の周りにモンスター除けの結界も張らなければならんのだが。

 他にも雑務が色々とあるのでね。

 肩代わりしてくれる者が増えるならありがたい」

「そうなるかは分からないですけど」

「なに、モンスター退治のついでに幾らかの仕事をこなしくてれればいい。

 それだけでも助かる」

「なるべく手伝えるようがんばってはみます。

 こっちにも余裕があればですけど」

 そこはどうなるか分からなかった。

 出来る範囲で手伝うのはやぶさかではないが。

 ただ、そもそもの問題として魔術を身につけようという者がいるかどうか。

 神社の方に受け入れの意志があるかを確認しない事には、有志を募る事もできない。

(帰って聞いておかないと)

 一人二人くらいはいてくれれば、と願った。



 帰って希望者を募ってみたら、結構多かった。

 五人ほどが身につけてみたいと言いだし、人数の調整をはかる必要が出てきた。

 サツキが用いてるのを直に見ているのも大きいのだろう。

 同じような力を身につけたいと自然と考えていってもおかしくない。

 出来るなら、全員の希望を叶えてやりたい所だった。

 戦力の増強にもつながる。

 しかし、人数が減る事による戦力の低下を考えるとそうはいかない。

 おまけに、修行中の生活費などはトオル達が出さねばならない。

 半年ほどの修行期間を考えると、おいそれと人を出すわけにはいかなかった。



 最後に残った村からの、モンスター退治希望者の受け入れもある。

 頭数だけはこれで補えるが、新人達に教えていかねばならない手間もある。

 それを考えると、一気に全員を送り出すわけにはいかなかった。

 サトシ達もレベルが上がってるし、新人達でも最初に入った者達はかなり慣れている。

 新人達は登録証がないのでレベルの確認は出来ないが、やり方自体はおぼえているはずだった。

 なので、新人が入ってきてもそれほど負担になる事はないはずだった。

 それでも不安は出て来る。

 今回は、単に新人が入ってくるだけではない。

 一時的とはいえ、抜けた人間の分の負担も背負う事になる。

 その分を稼いでいけるかどうか。



(今度の新人は俺の村から来るからなあ……)

 それも不安要素の一つだった。

 なまじ顔なじみである事が問題である。

 変に狎れあってきたらどうするか。

 以前、新人達が家族同士で揉めた事もある。

 同じ村出身と言うことで、似たような事にならないか不安であった。

 そういう人間を解雇する事も出来る。

 それをしたら、村にいる家族にどんなとばっちりが行くかも分からない。

 対処の仕方はかなり面倒であった。

(まあ、成り行きを見て対処するしかないけど)

 最悪の場合の対処方も考えてはいる。

 だが、それもまた負担の大きな方法である。

 出来ればそうならないでいてもらいたい所だった。



(何にしても、来年の事だけど)

 もう年の瀬も迫っている。

 年内にどうこうという話にはならない。

 だからこそ、年内に片付けられる事は片付けておきたかった。

(トモノリ様にも、お願いしておくか)

 最悪の事態になった場合の手段について、相談をしておこうと思った。

 こういった根回しが、後々何かの役に立つ事もある。

 ちょっとした手間はかかるが、それが保険になるなら安いものである。

 用いる事にならないのが一番であるが。

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