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【完結】転生したけどやっぱり底辺ぽいので冒険者をやるしかなかった  作者: よぎそーと
その4 上に立つ者になっちゃったかもしれない気がする日々
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レベル63 今更ですか、と思わなくもない

 問題は発生していくが、新人の受け入れは止まらない。

 領主の膝元にある村からの希望者を受け入れ終わった。

 今度は、別の村からの人間を吸収していく。

 トモノリの統治する領地の中に、村は三つ。

 そのいずれもが、モンスター退治を希望している。

 だからそれらの村に、モンスター退治のやり方を伝えるために、一度希望者を集める必要があった。

 既に出来上がってるやり方を実際に見てもらうために。

 既にやり方を身につけてる者達に混じって、体でおぼえてもらうために。

 出来れば、ある程度安全なこの状態の中でレベルアップまでいけるように。

 その為の第一陣を受け入れていく。



 今回は四人を受け入れていった。

 トオルの方の人数に余裕があるから、これくらいはどうにかなる。

 村からの希望者は総数八人なので、これで半分を一気に受け入れる事ができた。

 それだけ来ても人数に余裕があるから吸収する事が出来る。

 既に最初に受け入れていた、領主の村の者達は目を離しても大丈夫なくらいには慣れている。

 それらに手がかからなくなってる分だけ、新人に割く余力が生まれていた。

 所帯が大きい事の利点である。

 維持費はかかるが、何かが起こってもどうにかする余裕がある。

 収入は相変わらず上がらないが、こればかりはレベルが上がるまでどうにもならない。

 トオルやサトシと言った高レベルの者もいるが、全体の収益をあげる程ではない。

 人数が増えた分、一人当たりの出来高がどれだけ上昇しても成果に反映されにくい。

 だが、稼ぎの少ない新人が増えても、それほど収入が落ち込んでもいないと言える。

 これで新人達のレベルが上がれば、更なる収入上昇が見込める。

 それだけモンスターを集める事が出来れば。

 実際には、そこまで多くのモンスターを呼び込む事は難しい。

 なので、どうしても収入の上限が出来てしまう。

 レベルが上がっても、稼ぎが増大しない理由がここにあった。

 それでも、レベルが上がればモンスターを倒しやすくなる。

 それは作業の手間や、必要になる時間や労力を減少させる。

 同じだけの成果をあげるために必要な作業量が減る。

 決して無駄になるわけではない。



 新人達の受け入れももう慣れたもので、トオルが何を言わなくてもどうにかなっていく。

 二週間後には第二陣となる残りの四人を受け入れ、訓練を開始していく。

 それらも程なく終わり本番に。

 戦闘に向かう者はサトシ、レン、アツシの三人と一緒に。

 解体に入った者達は、マサルとコウジ達と共に。

 それぞれ作業に入っていく。

 最初の戸惑いも一週間もあれば落ち着く。

 それが終われば後はどうにかなる。

 やるべき作業はほぼ同じで、必要になる技術や知識はそれほど多くはない。

 あとは確実にこなせるようになっていけば良い。

 レベルが上がらなくても、ある程度はどうにかなる。

 心配なのは教える方に回るサトシ達がちゃんと出来るかどうかだった。

 それも新人を受け入れてからの期間でどうにか様になってきていた。

 何か起こったら簡単に破綻するだろうが、いつも通りに事を進めるならそれほど苦労もしない。

 これから暫く留守にしても大丈夫と思えるようにはなっていた。



「調度良いというか……」

 全体の流れを見ながら呟く。

 送られてきた通知というか通達というか。

 それによって強制的に埋められた予定に間に合うかどうか不安があった。

 だが、今の状態を見るに、特別心配をしなくても済みそうではあった。

(これなら、何とかなるか)

 心置きなく、とまではいかないが、後を任せる事はできる。

 この二週間ほどは特に口を出す事もなく、自分抜きでどう動けるか見てもいた。

 その結果としての判断である。

(今日の仕事が終わったら、説明しておくか)

 とりあえずサトシ達には、終わった後に話をしておこうと思った。



「貴族法院から、ようやく出頭しろって話が来たよ」

 食事中であったが、周りにいた者達は口と手を止めた。

「そんなわけなんで、暫くこっちを留守にする事になった。

 一ヶ月くらいはかかるかもしれない」

「そうか、すっかり忘れてた」

「あったな、そんな事も」

「あれ、まだ終わってなかったんだ」

 そんな事もあったな、という調子の声が上がっていく。

 奥方と坊ちゃん達が連れられていってから半年ほどになろうとしている。

 その間、裁判についての話しがほとんど出てなかったから、記憶から薄れているのだろう。

「でも、その間どうすんの?

 モンスター退治は?」

「無理をしないでいてくれるなら、続けててもらいたい」

 サトシの声にそう答える。

「いない間はお屋敷の手伝いでも、って思ってたけど。

 奉公の人も大分戻ってきてるし。

 俺達が手伝いに入っても邪魔になるだけだ」

 実際、トオル達だけでも十人。

 二つの村から来てる新人が十六人。

 あわせて二十六人もモンスター退治に従事している。

 トオルが抜けても二十五人もいるし、これだけの人間が必要なほど館は忙しいわけではない。

 この時期、館の手伝いに来ていた周旋屋からの作業員も完全に撤収していた。

 それでも奉公人が六人ほど入っているので、館内は賄えている。

 手伝いに何人か臨時で必要な時もあるだろうが、さすがに二十五人もいらない。

「そんなもんだから、モンスター退治しかやる事がない。

 無理して数を稼ごうとしないで、怪我しないように注意してやっててくれりゃいいから」

「そう上手くいけばいいけど」

「上手くいくでしょうか」

 レンとサツキは不安そうである。

 慣れてきたとはいえ、大半が素人だ。

 トオルが抜ける事で大きな穴が空くし、それを補えるかは不安なのだろう。

「そこは分からないけど。

 でも、無理をしなければなんとかなるだろ。

 今までの事を思い出して上手くやってくれ。

 俺がいない場合にどうするかっていう練習にもなる」

 それは実際に確かめておきたい事でもあった。

 トオルがいなくてどうなるか、どのようになるのか。

 それを確かめる機会でもある。

(でも、モンスター相手ならどうにかなりそうではあるけど)

 そちらの方も心配ではある。

 だが、一番の問題は、自分がいない間に人間関係の方がどうなるかだった。

 何せ十代の少年少女がほとんどである。

 これがまとまりを保っていられるのかどうか。

 そちらの心配の方が大きい。

 二日三日ならどうにかなるだろうが、一ヶ月も間を空けるとかなり問題が飛び出すのではないかと思った。

 その時、ここにいる者達がどうなるか。

(どうすっかな)

 自分がもう一人いれば、と思った。

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