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【完結】転生したけどやっぱり底辺ぽいので冒険者をやるしかなかった  作者: よぎそーと
その4 上に立つ者になっちゃったかもしれない気がする日々
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レベル54 思いついた事をやっていくしかなかったり

 悩んでいても時間は経つ。

 横になったまま寝入り、朝が来る。

 解決策も思いつかないまま今日もモンスター退治が始まる。

 それでも多少は何かを変えようと思いついた事を実行してみる事にした。

(上手くいきゃあいいけど)

 効果が出るとは思わなかったが、何かしら変化が出てもらいたかった。



「とりあえずさ、穴の中のネズミを倒し終わったら声を出して。

『こっち終わった』とかでいいから」

 まずはそこから始める事にした。

 今は言ったり言わなかったりしてるのだが、これを少しだけあらためる事にした。

 どこで何が終わってるのか分からないと指示の出しようもない。

 どれくらい事が進んでるのかが分かれば、少しは対処が変わってくるかもしれない。

 もちろん、何がどうなるというわけでもないかもしれないが、やってみなければ違いも分からない。

 そういった事も説明して、この日のモンスター退治を始めてみた。



 午前中の早い段階で効果があらわれてきた。

「こっち、終わったよ」

 その一言があるだけで、どこで何が終わったのかが分かる。

 回収を頼む事も出来るし、次にやってもらいたい穴を指定も出来る。

 粗方モンスターを倒した後なら、引き上げて回収しておいたり、餌を放り込む事を頼む事も出来る。

 たった一言だけ声をあげてもらう。

 それだけで効率が変わってきた。

 その一言で短縮出来る無駄は一分や二分程度かもしれない。

 でも、それを五回十回と繰り返せばかなり大きな違いになる。

 忙しく動き回ったりせずに、時間の余裕を得る事ができた。

 おかげで午前中に倒せたモンスターは五十匹は違ってきた。



 その成果がサトシやレンなど他の者達にも有用性を気づかせた。

『そうか、こうすればいいんだ』と思う事は大切だ。

 結果が出れば人間は納得する。

 よほど頑固か、へそ曲がり、あるいは屁理屈をこねない限り、事実というのは有効な判断材料である。

 今回、すぐに成果が出たのも大きい。

 結果はすぐに出る事ばかりではないから、これが示せたのは大きかった。

 サトシもレンも、午後からは自分の所が終わったらすぐに声をあげるようになった。



 午前中のそれを踏まえて、今度はサツキにも声を出してもらう事にする。

「まだモンスターが残ってる穴を教えて欲しいんだ。

 声で示すだけでいいから」

 魔術を使わない魔術師は、基本的に手が空いてしまう。

 前に出るわけにもいかないが、そのままというのはもったいなかった。

 すぐに魔術を使えるようにしておいては欲しい。

 だが、ちょっとした事ならばやってもらいたいと思っていた。

 なので、午後からは作業が終わってない穴を伝えてくれるようにお願いした。

 ただ、これは思ったほど上手くはいかなかった。

 サツキは精一杯やってくれたが、

「右の方の穴に残ってます」

「真ん中の左の方の穴にいます」

と言うので、実際にどの穴なのかが把握づらかった。

 何せ全部で十個掘ってある。

 それを「あっち」や「そっち」と言って示されても混乱するだけである。

 それでも、だいたいどこの穴でモンスターが残ってるのか分かる。

 午前よりも更にやりやすくなってはいた。

(あともうちょっと工夫が必要か)

 やらないよりはやった方がいいのは確実だった。

 だから、やり方を考える事にした。

(穴に番号でも割り振るか)

 何番の穴に残ってる、と言われればもう少しはっきりする。

 その割り振りと、なんなら穴にそれぞれ立て札でもつけて番号を書いておこうと思った。

 そんな大したものでなくてもかまわないので、廃品でも利用しようかと考える。



 モンスターを倒した後の事も考えてみた。

 回収は解体する者達に任せている。

 モンスターが残ってる場合はそうするしかないが、いつも任せっぱなしというのも無駄がある気がした。

 試しに、モンスターをあらかた倒してからモンスターの死骸を穴の外に放り出してみた。

 やってみるとこれが意外と回収を滑らかにしていった。

 穴から取り出す手間が省けるのだから当然だが、一工程を省く事で動きが全然違う。

 穴も空くので、餌を放り込みやすくもなる。

 それがほんの少しだが、モンスターをおびき寄せるための準備にかかる時間を短縮させる。

 穴から取り出す手間はかかるが、次に取りかかれるまでの時間を減らせるのは大きい。

 まだこれは他の者達にはやらせてはいない。

 だが、出来るならやってもらおうかと考えていく。



 やった事は本当にちょっとした事ばかりだった。

「声をかける」のと「倒したモンスターを穴から回収する」だけ。

 それだけで意外と効率がよくなった。

 今まで時折やっていた事を、意識してやり続けてみたら、これが結構効果的だった。

 モンスターをどれだけ倒せているのかが分かると、回収を呼ぶタイミングも分かるようになる。

 それが自然と解体作業をしてる者達との連携をとる事にもつながっていった。

 倒し終わったから呼ぶ、というだけなのだが、それがあるとかなり違ってくる。

(こんな事で良かったんだ)

 何か打開策はないかと思っていたが。

 大がかりな手段を用いる必要はなく、ちょっとした工夫でどうにかできた。

 これをもう少し徹底すれば、更に上手く事を運べる気もした。

 何せ初日だ。

 まだまだ荒は多い。

 改善出来る事は多い。

 今日やった事を明日もやって明後日もやる。

 続けていけば、更に何かが良くなるだろうし、悪い所も浮かび上がってくる。

 そこにほんの少し期待をしていたかった。



 この日回収できた素材は、普段より一百二十ほど多かった。

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