レベル179 求められる事が多くなってきたけど得る物もあるのでしょう
負担の増大は頭の痛い問題だったが、居場所の確保にもつながっていく。
領地や村の外れの方ではあるが、自分達の住む場所を確かに手にしていっている。
周旋屋の作業員も冒険者も、大半は宿舎暮らしである。
自分の家を持つことなど無い。
全てと言って良いほどの多くが、そうやって生きている。
それに比べれば、自分らの居場所を作る事が出来ただけでも御の字だろう。
共同使用なのはともかくとして。
また、この時期トオルは森を含めた村の北側を購入した。
数キロ四方の場所を、銀貨一百枚で。
モンスターしかいない場所なのでこの値段で落ち着いた。
土地そのものの値段というより、証明証書の発行手数料と言うべきものだった。
これが高いか安いかは分からないが、ともかくトオルはこの地域における優先権を手に入れた。
他の者達の侵入を退ける事も出来るし、住み着いても文句を言われる事は無い。
今すぐ入植というわけにはいかないが、おいおいそちらに移動してこうかと考えてはいた。
金があれば。
何にしても金である。
無ければ何も始まらない。
元手は日々の稼ぎから捻出しなければならず、それも十分とは言い難い。
今の所、一団として活動してる者達からそれなりに費用を徴収している。
妖ネズミや妖犬を相手にしてる者達は、毎月一銀貨。
妖鳥相手の者達は、毎月二銀貨。
一匹あたりの単価の違いでそうした分け方をしていた。
毎月一百銀貨を超える費用が一団のものとして入ってくる事になる。
以前に比べればかなり多くなってるが、先の展望を考えるとまだまだ足りない。
森に作った道を拡張したいし、森の中の拠点も拡大したい。
村の方で寝泊まりするための小屋も増やさねばならない。
運搬に使う大八車もそのうち馬車に切り替えたい。
馬車にすれば、それを引く馬やロバなども必要になる。
馬やロバを入れる小屋も必要だし、飼料もそろえねばならない。
素材を集めておく倉庫も必要だった。
何よりも、これらの管理をするために事務員が必要だった。
何よりも先に、これを入れた。
周旋屋に頼んで事務作業が出来る人間を呼び、一団における様々な書類の整理が始まった。
今まで一団の中で手の空いてる者達がやっていたが、それでは追いつかなくなっていた。
モンスター退治をして無いときなどに書き込まれた書類だけでは、仕事が回り切らなくなっている。
専属の事務員がどうしても必要だった。
その為に二名を雇った。
周旋屋に入れる費用も含めて毎月二十銀貨を一人に支払う事になる。
結構な出費だが、そうしなければならない程忙しくなっていた。
また、やってきた事務員達も結構な量の書類に目を丸くしていた。
書式が統一されていたのだけは幸いだっただろうか。
どんな素材を手に入れて、どれほど売却したのかなどがほぼ同一の形式で記入されている。
これが全て違っていたら、二人ではとても解決出来なかっただろう。
とりあえず、毎日届く書類を整理し、余った時間でこれまでの資料をまとめていく。
そんな調子で事務員の仕事は始まっていった。
その資金を用いて森の中の整備も進めていく。
拠点も道幅も広く。
その為に木こりを雇い、少しずつ拡大していく。
切り倒した木は、今後作る予定の柵に利用するべく加工もしていく。
それらが一段落つく頃にはレベル7が増加していた。
拡大した拠点の中に増加された物置は、彼らが採取してくる素材も格納する事が出来た。
しかし、運搬の手間は相変わらず大きく、やはり二日に一回は持ち出さないとあふれる程になっている。
道幅の拡大は済ませたとはいえ、まだ柵や堀などの防備は出来てない。
平らにならされてるわけでもなく、馬車が通るにはまだまだ問題があった。
取れる素材の増加によって収益が上がりはしたが、それらを用いて更に整備をすすめねばならなかった。
拠点の住居も早急に解決しなくてはならない問題だった。
テント暮らしはまだ続いており、居住性が良いとはいえない。
これらも早急に解決しなくてはならない問題だった。
やむを得ず、その為の資金をトモノリや行商人から借りる事になった。
まずは小屋の建築から。
総額一千銀貨を借り、これに一団の所持金を加えて小屋の建築にあてる。
まずは二つの小屋を造り、ある程度収容出来るようにしていく。
出来ればあと二つ加えて四つほど建築したかったが、そこまでの余裕は無い。
返済を考えると、これがギリギリだった。
収益が増加したといっても、やはり限界はある。
それでも、以前に比べれば格段に早く行動出来るようになっている。
年が明けてからも勢いは衰えず、ここまで進む事が出来るようになっていた。
続きを明日の7:00に投稿予定




