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【完結】転生したけどやっぱり底辺ぽいので冒険者をやるしかなかった  作者: よぎそーと
その8 目指すべき次は、やっぱりいつも通りな感じのようだった

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レベル176 ようやく遭遇出来た、次の相手です

「疲れた……」

「お疲れ様」

 寝転ぶトオルにサツキのねぎらいの言葉がかかる。

「ようやくだよ」

 独り言のように呟く。

 次その言葉通り、ようやく次に行ける。

「ようやく北へ行けるよ」

 以前から考えていた事をようやく実行にうつせるようになった。



 人が増え、レベルが上がり、必要な材料なども確保してきた。

 数回ほど北の森の中に偵察を何回か出し、その向こう側の調査もした。

 森を突っ切った先には平原があり、そこにもモンスターが数多くいる。

 人里近くで見られる妖ネズミや妖犬のみならず、それ以外のモンスターの姿も確認された。

 目撃した情報から種類も特定されている。

 対応策も考えた。

 あとは、実際にやってみるしかない。



「来週から?」

「ああ。

 一週間くらい泊まり込みになる。

 その間、留守は頼む」

 離れた場所だけに、日帰りで往復というわけにはいかない。

 開拓開墾地に行くだけで、一日二日の距離である。

 そこから更に森の中を通らなくてはならない。

 少しでも多くの成果を上げるには、現地近くに張り込む必要があった。

 完全とは言えないが、その為の場所も作った。

 後には引けない。



「がんばってね。

 でも、無理はやめてよ」

 残る事になるサツキは、気遣いの言葉を漏らす。

 モンスター除けの仕事が多くなったサツキは、ここ最近は戦闘に出る事は少なくなっている。

 他の魔術師が育ってきてるのもあって、それでもさほど問題にはならなくなっていた。

 ただ、残される方の不安は大きい。

 一緒に行けば命の危険があるが、安否を危惧する心の負担も大きい。

 危険が減るような方法をとってるとはいえ、突発的な事態は起こりうる。

 今の所それはないし、一団の中にも死者が出た事もない。

 再起不能な大怪我を負った者も今までには出ていない。

 それも、今まで通りにやっていればである。

 これから行く先は今までとは違ったモンスターを相手にする事になる。

 上手くやれるかは分からない。

 サツキの心配も当然だろう。

「分かってる」

 トオルもつとめて明るい口調で言う。

「無茶はしないよ、いつも通りに」

 そう、いつも通りである。

 無理も無茶もしないように、可能な限り損害が出ないようにする。

 その為に今まで準備をととのえてきた。

 不安を払拭するために。

 それでもサツキの不安が消えない。

 軽減される事はあっても。

「ちゃんと帰ってきてね。

 お腹の子のためにも」

「なに?!」

 ここ最近で一番の驚きであった。



 出発の日、総勢五十人になる一同は開拓開墾地を通って森へと向かっていく。

 八月の日差しの下、拡張された田畑に青々と作物が茂っている。

 あと一ヶ月もすれば収穫の時期に入るだろう。

 拡張も大分進んだ田畑は確実な実りをもたらしてきている。

 それを横に見ながら、切り開いて作った道へと向かっていった。

 森の中は木こりによって大八車が余裕を持って通れるように切り開かれている。

 そこに、モンスター除けのお守りがあちこちに設置されている。

 雨風を凌ぐ為に小さな祠の中におさめられたそれらが、多少は安全性を確保してくれている。

 将来的にはここにも本格的なモンスター除けが設置される予定であるが、まだまだ先の事となっている。

 今はまだ、開拓開墾地周辺と各村の間をつなぐ道への設置が優先されていた。

 それでも、モンスターに遭遇する事なく目的地へとたどり着く。

 かつて小鬼退治の時に作ったような、木々の間に丸太を渡して作った急ごしらえの柵が出迎える。

 その中に入り、全員でテントを設置していく。

 ここが一週間ほど寝泊まりする拠点となる。

 出来ればもっとしっかりとした作りのものを用意したかったのだが、予算の都合でそれも出来ない。

 それらは今後の稼ぎ次第となる。



 荷物を下ろした一同は、しばしの休憩を取ると次の作業へと移っていった。

 ここからが本番である。

 持ち込んだ材料を使って、モンスター退治の為の陣地を作っていかねばならない。

 やる事は基本的に同じであり、堀と柵で場所を囲っていく。

 ただ、妖犬や妖ネズミとは違う相手となるので、造りが多少変わってくる。

 高さ一メートルほどの柵は中心を四角く覆ってはいるが、広さはさほどでもない。

 今回は五メートル四方程度であり、中に人が入って籠もるには小さいだろう。

 だが、その外には同じように柵が何重にも張り巡らされている。

 一つ一つの間には隙間があるが、それでも一度に大挙して押し寄せるのは難しい。

 堀はそれらの縁をなぞるように掘られている。

 いつもの妖ネズミ相手と違い、今回は深さ一メートルほどまで掘られている。

 妖犬でも、入りこんでしまったら抜け出すのは難しいだろう。

 そうやって作られた陣地は、五重に重ねられた柵によって作られた大きな四角形となっている。

 それを五十人総出で造り上げていった。

 二日ほどかけて。



 それからが本番である。

 餌となる野菜などを、造り上げた陣地の中央に放り込んでいく。

 冒険者達はその外にある隙間の空いた柵の中に待機していった。

 いつも通り、そこから相手が来るのを待つ。

 事前の調査で、餌をまけば何が出てくるのかは判明している。

 それでも、狙い通りの相手が来るかは分からない。

 全員、周囲を警戒しながらその時を待つ。

 結果はそれから三十分もする頃に出てきた。



「来たぞ」

 声が上がった。

 その声と共に示された方向を見ると、何かが勢いよく向かってくるのが見える。

 驚くほどの速度で草原を突っ切ってくるそれを見て、誰もが手にした武器を握りなおしていった。

 高さ二メートルほどのそれは、時折飛び跳ねながらトオル達の方に向かってくる。

「正面は開けろ。

 突っ込んできてからが勝負だ」

 トオルの言葉に、モンスターの正面にあたる部分にいた者達が横にそれていく。

 それで正解だった。

 正面から迎え撃てるような相手ではない。

 それは全員に徹底させてある。

 混乱してそれを忘れてないかが心配だったが、幸いな事にそうした者はいない。

 レベル7にまで成長したのは伊達ではないようだった。

 その彼らの前に、現れたモンスターが文字通りに飛び込んで来る。

 体の大きさからすれば小さな翼を拡げ、空を滑るように飛んでくる。

 飛行距離は短いが、その間手を出すことは困難になる。

 そんな連中が次々と陣地に殺到してくる。

 張り巡らした柵の中に、餌のある中央の囲いの中に降りたってきた。

「よし……」

 狙い通りである。

 少なくともここまでは。

「かかれ!」

 号令と共に控えていた者達が踊りかかっていく。

 左右から挟まれる形になったモンスターは、何事かと周囲に首を振っていく。



 高さ二メートル。

 地上を疾走する鳥、妖鳥。

 それとの戦闘が始まっていった。

 続きを明日の7:00に投稿予定

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