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【完結】転生したけどやっぱり底辺ぽいので冒険者をやるしかなかった  作者: よぎそーと
その8 目指すべき次は、やっぱりいつも通りな感じのようだった

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レベル163-2 別の道を考え提案してみます

「それでそんな事を考えたと」

 感心し、驚き、呆れる。

 話を聞いたトモノリの反応はそういったものだった。

「自分でもそう思います」

 そこまでやる必要があるかどうかも分からない。

 あるとしても、まだ早いのではないかとも思う。

 しかし、今のうちだから手をうっておくべきかもとも考えてしまう。

「だが、そんな余裕があるのか?」

「無いです」

 しっかり、はっきり、きっぱりと答える。

「むしろ、カツカツです」

「だろうな」

 懐具合はトモノリにだって分かってる事だった。

 漏れ聞く一団の稼ぎからだいたいは想像する事が出来るだろうから。

「いずれ実現する日も来るかもしれないということで。

 その時にはトモノリ様の助力を願う事になるでしょうから、まずはお話だけでもと」

「まあ、前にもそういう話は出ていたからな。

 現実的な話として持ち出してくるのはもっと先だと思っていたが」

「自分も、そんなに現実的だとは思ってなかったですからね」

 それなのに、である。

 世の中どうなるか分からないものである。

「それが、町の近くの土地まで手に入れると言い出すとはな」

「ここの北の方しか考えてなかったんですけどね」



 いずれ出て来るであろう問題として、場所の確保が出て来るのを予想していた。

 他の冒険者がモンスター退治に乗り出せば、場所の確保は確実に問題になるはずである。

 ならば、その前に土地を購入しておこう…………と最初は考えた。

 もちろん町の近くなら値段も跳ね上がるだろう。

 領地として保有してる貴族が簡単に売ってくれるとも思えない。

 なので、購入とは少しばかり違う形を考えていた。

 借地である。



 一定の期間、ある程度の料金で土地を借り受ける。

 そこでの活動などについて優先権を得るのを目的としてるので、無理して購入する必要はない。

 町の周囲であっても遊んでる土地は幾らかある。

 モンスターの出現が比較的多い場所だと、有効利用もままならない。

 そういう土地を狙っていた。

 モンスターの存在は他の者達にとっては厄介であっても、トオルにとっては都合が良い。

 貴族からしても、土地を遊ばせておくよりは良いはずである。

 その為の口添えをトモノリに願う事にした。

 貴族への伝手は貴族を通すしかない。

 トモノリにお願いしたのはこれである。



 ただ、会話の中にも出て来たように、まだその時期ではない。

 何よりも金が無い。

 まずは打診をして、で良いのだろう。

 こちらの意志を伝え、相手に考えてもらうのは悪くはない。

 だが、約束から支払いまでの期日が長ければ相手も忘れてしまう。

 気にもとめなくなる。

 どうでもよくなる。

 あるいは、欲を抱いて条件をつり上げるかもしれない。

 別の者にその話をもっていくかもしれない。

 契約はしなくても、他の多くの誰かに話していくかもしれない。

 それでは意味が無い。

 秘密にして進めたほうが良い話もある。

 今回の考えがこれにあたるのかは分からないが、当面は秘密を保っていたかった。



 色々と悩ましい事である。

 あれこれ考えず、即断即決が良いかもしれない…………そうも考える。

 また、土地を借りるまでせずとも、該当地の貴族から免許をもらえば事足りるかもしれない。

 ただ、免許となると貴族が誰彼構わず発行する可能性もある。

 土地という限りのあるものを用いるのと違って、免許は発行部数に限界はない。

 発行する側が自分の都合で決めるものである。

 それでも制約は大小様々に発生していくだろう。

 出発点ではどうであれ、長続きすれば慣習や慣例が生まれてくるものである。

 それこそ自然発生のように。

 それらが発行自由の免許になんらかの制限を加えるかもしれない。

 しかし、出来上がってすぐには出てこないだろう。

 貴族からすれば、モンスターを駆逐してくれる者が増える方がありがたいと思うだろう。

 素材の売却で税収が増えるなら、なるべく多くの人間に参加してもらいたいと考えるかもしれない。

 そうなってしまっては、場所の確保という目的を達成出来なくなる。

 町にある収容能力を、まだトオルは必要としている。

 そこを利用する価値を確保するためにも、自分達の作業場所を確保しておきたかった。



 何が最善かは分からない。

 もっと良い手段もあるかもしれない。

 正解は結果が出てからでないと判断は出来ないから何とも言えない。

 今の時点では、何が最善かを考える事がせいぜいである。

 その中で、借地が目的を達成する妥当な手段に思っていた。



(どうせ長くはやらないだろうし)

 トモノリの領地の方で居場所が確保出来ていったなら、町にこだわる必要もない。

 周旋屋への登録する場所として、受付の入り口としては今後も機能し続けるだろうが。

 しかし、もし冒険者があふれ、周囲のモンスターを倒し続けていくなら、その価値は変わっていくだろう。

 より大きくなるか、今より小さくなるかは分からない。

 だが、町にこだわる必要が無くなる事も考えられる。

 もっと良い場所があらわれるかもしれない。

 だからこそ、土地を買うのではなく借りる事にした。



「まあ、その時は協力するつもりだ」

「助かります」

「どれだけ力になれるか分からんがな」

「いえ、相手に話を持ちかけてくれるだけでもありがたいです」

 トモノリにお願い出来るのはそこまでだろうとも思っていた。

 それ以上はかける負担が大きくなりすぎる。

 迷惑を必要以上にかけたくはなかった。

 善意からそう思うし、借りを作りすぎると返すのが大変になってしまう。

 借金に限らず、全ては自分の支払える範囲で行うのが最善だ。

 モンスター退治だけでなく、こういった方面でも慎重さをもってあたっていくつもりだった。



「しかし、結婚してから勢いが出て来た気がするな」

「そうですか?」

 意外な評価である。

「前よりももっと精力的に取り組んでるように見えるぞ」

「まあ、食わせていかなきゃならないですから」

 だからこそ、より真剣に先々の事を考え、行動をするようになったかもしれない。

「結婚して正解だったみたいだな」

「そうなんでしょうか。

 自分では実感がありませんけど」

 サツキと一緒にいるのは楽しいのは否定しない。

 だが、それほど変わったのかは分からない。

「正直、羨ましくはあるかな」

「はあ、それは…………」

 さすがになんと言って良いか分からない。

「でも、トモノリ様もお話しが進んでるのでは?」

 特に言い返すつもりもなかったのだが、思い浮かんだ事をそのまま口にしていく。

「先方とどうなってるのかは存じ上げませんが。

 縁談が上手くまとまるよう願ってます」

「ああ、まあな。

 そうだな」

 言われてトモノリが挙動不審になる。

 見た感じ照れてるように思えるのは、トオルの願望であるかもしれない。

(本当、上手くいくといいけど)

 余計なお世話と思いつつ真剣にそう願った。


 続きを明日の7:00に投稿予定

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