レベル157-2 次を見据えているけど、まだ見てるだけに止まってます
貴族達との話をもとに考えていく。
対応するにしてもやはり人数が足りない。
派遣するにしても受け入れて訓練を施すにしても、限りが出てくる。
それは以前から分かっていた事であるが、こうしてあらためて事情を聞いてそれがよりはっきりと分かってくる。
やはり、兵士見習いを受け入れる事を優先するしかなさそうだった。
村への派遣は、周旋屋を通して行ってもらい、そこから依頼という形で処理をしていく事にする。
そもそもとして、やり方を伝えていくのが目的ではない。
村で余ってるであろう人員を引き込むきっかけにするためである。
損害が出ないやり方を教える事で、懸念をおさえ自信を与える事で。
そうする事で希望者を増やし、自分達に引き込むことを目指している。
訓練に引っ張り回されるだけになるわけにはいかない。
そのため、周旋屋を通す事にした。
間に入れる事で余計な圧力を緩和するために。
直接取引は利益も大きいが、よほどしっかりしてないと足下を見られる事になりかねない。
交渉や契約で不利になる可能性も大きい。
そこはプロに任せてしまおうという意図があった。
どこで何がどれほど求められてるかを分かりやすくしようというのもある。
散発的に依頼がやってきてしまうと、その処理に時間と手間をとられてしまう。
トオルにそんな余裕は無い。
それならば、周旋屋に依頼をするという形にしてもらった方が良い。
周旋屋を通す事で手数料が発生してしまうが、必要になる事務処理などを肩代わりしてもらう費用と割り切る。
こういった手間をけちると、後で大きな損害や負担になりかねない。
かけるべき所には金も手間暇もかけねばならない。
何より、周旋屋を通さずに仕事を受けるのは契約違反になりかねない。
かなり大きくなったとはいえ、トオルが周旋屋と契約状態にあるのは変わらない。
かなり融通はきくが、取り決めは守らねばならない。
足かせのように思える事もあるが、先に述べた事務処理などの利点もある。
守らねばならない取り決めは、受け取れる恩恵と表裏一体だ。
疎かにするわけにはいかない。
いずれ独自に行動できるようになる日も来るかもしれない。
そうなったらトオルは自分で独自に行動し始める事になるだろう。
だが、今ではない。
やがてそうなるにしても、その時までは良い関係を続けていく方が得策である。
トオルもまずは自分達を守る事を考えねばならなかった。
それはモンスターを相手にするときと同じである。
自分達に損が出ないようにする。
その上で最大限の成果が出るようにしなくてはならない。
その為に使えるのは何かと考えていくと、やれる事は少ない。
開拓開墾を進めてる地域におけるモンスター退治は継続しなくてはならない。
ここには最低でも一組は配置する必要がある。
妖ネズミ相手であればそれほど人数は必要ないが、それでも戦闘・解体で合計十人は必要になる。
兵士見習いの訓練にも同じくらいの人数が必要になる。
そうなると、外に出せるのは二十人ほど。
まともに活動させるとしたら、十人ずつ分けて二組として運用するしかない。
使える(というのも無味乾燥に過ぎるが)のはたったこれだけしかない。
これをあちこちの村に派遣しても高が知れている。
としたらどうするかを考えていかねばならない。
(当面は村への派遣は一組だけにしておくか)
外に出す者達はそうするしかない。
(残り一つを町において。
こっちは冒険者の新人教育だな)
希望者がどれだけいるか分からないが、興味のある者達にやり方を教えてもらう事にする。
また、村に派遣した者達が連れ帰るかもしれない冒険者志望者を引き受けてもらう事になるだろう。
ここで教育をしてもらい、あらためて依頼を出した村への派遣人員を作っていく。
あるいは、トモノリの領地への追加人員としていく事にしたかった。
事前にある程度分かってる者が来てくれるならその方が良い。
トモノリの領地の方も、空いてる場所に人を入れていく事にはする。
六月から建造がはじまる予定の小屋に二十人は入れられる。
二十人が外に出ることで生まれる余裕もある。
最大で四十人ほど受け入れられるようにはなる。
その収容能力は十分に活用したい。
(やっぱりこうするしかないか)
トモノリの領地に十人一組の部隊を二つ。
一つは教育のために、もう一つは開拓開墾地に。
残り二組のうち一つは各村への派遣に。
もう一つは町を拠点にしたモンスター退治と新人の受け入れを。
割り振りとしてはこういう形になるだろう。
ただ、これらを上手く統制出来るかどうかは分からない。
もとよりまとめ上げられるとは思ってもいない。
人がそれぞれ自分の意志や考えを持ってる以上、まとめようとしても無理がある。
統制は、ある程度は出来ても完全には出来ない。
するべきでもない。
ただ、仕事に関わる部分で、守るべき所を守り、やってはいけない事には触れない・踏み込まない。
これを守り、利益を出せるよう努力してくれるなら良しと思わねばならない。
それをさせるのだけでも大変であるし、どうやってそうすれば良いのか見当もつかないが。
(やっちゃいけない事を規則として禁止にして。
あとは大雑把な方針を示していくしかないか)
これから各地に分散するとなると、取り決めが必要になってくる。
どれだけ離れていても、守らねばならない共通の理念や方向性、規制があればある程度行動を一致させられるだろう。
各地に向かう者達に守る気があればだが。
(言う事を聞いてくれる奴を頭に据えるしかないか)
そんな都合の良い人間がいるかどうか。
悩みはまだまだ尽きない。
続きを明日の7:00に投稿予定




