レベル152-2 当然の反応ではあるかと思います
「つまり、俺らの村でやった事とかをあちこちでやるって事でしょ」
サトシは言いたい事をそう解釈した。
「まあ、そうだな」
間違ってはいない。
「ついでに、町でもやると」
「そういう事」
トオル達の人数が増えたから出来る事である。
レベルの高い者を何人かまとめてあちこちの村に送り込む。
現地の者達から手伝いを募り、一緒に作業をする。
実際にやってもらう事で、作業がそれほど難しくはない事を知ってもらう。
開拓開墾の方にも人を割かねばならないから全員というわけにはいかない。
それでも、三つ四つの村に人を送る事は出来る。
教える側は戦闘にしろ解体にしろ二人ずつ居ればどうにかなる。
そこにそれぞれ数人をつければ作業はどうにかなる。
妖ネズミあたりまでしか相手に出来ないが、普通の村ならそれで十分である。
そうして送り出した分だけトモノリの領地の方には余裕が生まれる。
こちらの方にも希望者を呼び作業をしていく。
受け入れ人数の制限をこれである程度は緩和出来る。
根本的な解決にはならないが、多少は状況の改善は出来る。
また、町の方でも同じ事をやるつもりであった
興味はあっても危険を考えて尻込みしてる者もいる。
そういった者達にやってる事を見せておきたかった。
話は聞くだけではどうしても分からない事がある。
目で見るという事はそこを超える事が出来る。
聞いたり読んだりというのは、一回見るだけにすら及ばない事もある。
それで希望者が増えればと期待をしたかった。
危険はある。
やり方が拡散する事になるから、トオルの所に来ないで自分達でやろうと思う者も出て来るだろう。
こればかりは防ぎようが無い。
真似する所が出て来るなら、それは仕方ないと諦めるしかなかった。
それでも、見よう見まねでは分からない部分も出て来る。
長く続けて行ってきた中で培ったものもある。
見るという事で伝わるものは確かに大きいが、それで全てが分かるわけでもない。
やり方というのは、決して見よう見まねだけで伝わりきるものではない。
やっていくうちに気づくであろうが、その部分でまだ有利であると思いたかった。
稼ぎがまた落ちる事も問題ではある。
折角、妖犬に手が出せるようになったのに、またしばらくは妖ネズミに戻る事になるだろう。
人を出す以上これはやむを得ない。
新たな者達がレベル4を超えるまで、一年余り踏ん張れば良いことであるが。
その一年が長い。
最終的にはレベルの高い者達を多く揃える事が出来るようになるから巻き返せるが。
そこまで人を繋ぎ止められるかどうかというのも問題だった。
長くやってれば独立を考える者も出てくるだろう。
そうなったら止められない。
出来れば一緒にやっていってもらいたいが、望むなら独立を認めてやらねばならないだろう。
下手に引き留めても良い結果になるとは思えない。
そうやって留まっても、何かしらくすぶり、火種になりかねない。
そういう人間を何人も前世で見てた。
トオルもそういう事もあった。
人の気持ちはどうにもならないから、したいようにさせるしかない。
それが悪事でないかぎりは。
その先で失敗したとしても、手助けは出来ないが。
また、全体を統括するのも難しくなる。
離れて活動というのは、今もやってるが同じ領地の中での事である。
まだしも連絡が取れるくらいの距離での事だ。
これが遠く離れた所に赴くとなると、それとは違った統括方法が必要になるだろう。
そこをどうすれば良いのかがまだ見えてこない。
当面は試験的に対象の村を一つに絞って様子を見ようとは思っている。
初めての試みだ。
どうやった所で問題が噴出するだろう。
その都度対処していくしかない。
これまで通りに。
「まあ、問題はあるけど、やってこう」
ひとしきり考えを述べていった後で、トオルはそう締めくくった。
どのみちやっていくしかない。
組織を大きくしていくなら、いずれ突き当たる問題だ。
この先の事を考えれば、逃げるわけにはいかなかった。
それがこの時期にやってきたというだけである。
「皆も協力頼む」
居合わせた一団の者達は、誰が欠ける事もなく頷いた。
「それよりも兄貴」
「結婚の方をもっと考えてよね」
「…………はい、すんません」
最後にそれが付け加わった。
「本当に、さいってー」
妹の容赦のない声も。
続きを明日の17:00に投稿予定




