「ありえない」
「ありえない」
思い通りにならない出来事に
ふいにぼやいた
在り得なくなんてなかった
だって、もう起きてしまったのだから
どうしてこんなに自由にならない?
見つめているのは私の瞳
ああ、視界は一切遮られていないのに
眼に映る空はほんの一部で……
今や物質は細かく刻まれ
そこに在るとすら言えないらしい
不思議な話だ
肌を伝う雨には確かさがあるのに
この感覚は幻想だろうか?
あの暗い灰色から覗く白さも
その上に広がる鮮やかな青さも
無いと言うにはあまりに眼に焼き付いて
文脈を間違え
すっかり整理のつかなくなった言葉
それは予報を裏切った嵐の様に
描かれたラインを大きく外れる
ほんの一瞬広がる晴れ間
私が先か世界が先か
悩んでいる暇が今はない
そう、今日は傘を忘れたんだ
駈け出す身体が熱を帯びる
訳なんてまだわからないまま
今、この瞬間も私は生きている
ああ、なんて……
「在り難い」
ここまでお読み下さった方々、ありえ……、いえ、ありがとうございました!