爾重乙(にじゅういち) ~欠片たち~
二人が呑み込まれた蒼の空間、時空の中の奈落には・・
かつて存在した、主人公と同様のこころを持ったものたちが。
異形の神話のなかに秘められた感情は次々と解き放たれる。
「・・誰ですか? 僕(=ひよみ=)を呼ぶあなたは・・」
「・・だあれ? 臣さま(わたし)を呼ぶの・・だあれ?」
私と=ひよみ=の問いが一つに成って広がる・・=蒼=の空間に。
=其れ=は・・更に微笑むが如き
静謐で暖かな響きで私たちに応じた。
~僕かい?・・ああ、僕は・・其の・・
生きている時は東京帝大に奉職の・・
いや、そんなことは、もうどうでも良いことか・・・
ああ、此処で起きた事だけから言うならば・・僕は・・
君のまえの=おにぃえさま=のまた前の・・
君が居た、そう、あの=にえどこ=で、
此の子の曾祖母を愛した・・=にぃえ=の=・・
此の=よみぢ(黄泉路)=の=ならく=に残ってしまった・・
=みたま=の一片・・その記憶の残り香とでも。~
「じゃあ・・=ひよみ=ちゃんの・・ひいおじいさん?」
「え、・・=ひよみ=の・・ひい・・お・・じい・・ちゃま・・?」
私たちはひとつになったまま・・魂が震えるほど驚愕し、そして、沈黙する。
~臣くん、と言ったね・・君は・・
何か絵描きのような仕事を・・しているのかな。
いや、此の、果てしない流れの脇に、
ほんのちょっと接した小さな袋のような世界?
いや、時空間の籠のような場所が、
此処まで視覚化されることが在るとは・・
少なくとも此の子の父の・・時までは、無かったのでね
其の要素を持っているのは君・・と言うことに・・
いや、まあ、蛇足に過ぎること・・かな?~
何処か知性をひけらかすようなニュアンスもある反応と
先程漏れ聞いた東京帝大と言う言葉から私は
此の=蒼=の翳の生前を想像し、其の生きた時代を思う。
たぶん、明治期の高等遊民のような学者さん・・かな?
じゃあ、まだ=動く映像=の概念さえ・・無かったのか。
考えれば文章でさえ、漸く
口語体が広まり始める頃・・だよなあ。
私は、彼にテレビと言う概念を説明することを
わりとあっけなく放棄する・・そんなことよりも・・
ああ、何よりも・・まず・・わたしは・・
私は聴きたかった・・
=此処が何か=・・
そして=何処か=。
無論、其れは=ひよみ=もまったく同じだったろう。
ただ、目に見えぬ相手と語るという行為は
私も=ひよみ=もおそらく経験外のことで・・
其の問いを何処に投げてよいのか躊躇して・・
=蒼=の空間に戸惑い漂っていたのだが・・・
其の、悪戯っぽさ、微妙な若さを残した理知的な声なき声が・・
私の思いに応えるかのように徐々に形を現し始める。
其処に現れたのは何処か書生っぽい背広の着方をした、
わりと長身細面の銀縁の眼鏡を掛けた、
如何にも絵に描いたインテリと言う雰囲気の若い男。
半透明の=蒼=で形造られた其れは、
私たちをふっと見つめると其れこそ慈父のように、
先達のように、老師の様に静謐に笑った。
~・・此の子(=ひよみ=)の・・ひいおじいさん・・?~
かろうじてシンクロしながら其の問いを繰り返す
=ひよみ=と私の・・魂。
気が付けば私と=ひよみ=も
ぴったり抱き合ったままの姿で
其れとまったく同様の
=蒼=の集合体造形物として復元され
=彼=と向き合うかのように其処に漂っていた。
ただ、こちらはお互いの心音
体温さえも依然として共有しつつ。
~僕が、=にぃえ=に堕ちた理由は
・・今さら述べるに及ばぬよね?
僕は、君同様、あの神楽を見ている時、
無理やり拉致され、あの=贄床=で
何十代目かの=ひよみ=と会った。
そして・・溺れてしまった・・=ひよみ=の全てに。~
幾分恥じらうかのように語りつつも、其れは
其の口調に後悔の色を微塵も感じさせなかった・・
其れどころか其の声は暖かさに満ちていた。
私は、何故か大学時代の温厚で
何処か飄々としていた恩師を思い浮かべる。
此の=おにぃえさま=だった青年の口調や風貌に
何処か学究の徒と呼ぶに相応しい品格と
象牙の塔の住人に在りがちな浮世離れした優しさが
隠せず漂っていたから、知れない。
~だが、僕に悔いはない・・
其れは今、此処に在る・・ほかの・・
ああ、営々と、この=ひよみ=の
血の呪縛を支えてきた男たち。
=にぃえ=の男の
皆の、偽らざる気持ちだと・・思うのだよ~
私は、無意識に頷いていた・・理由も何もない・・感覚で。
ああ、あの場所で・・=贄=になった男たちは
決して獣欲に狂い、妖絶に熟れた女体を、
獣の如く無残に陵辱する・・交わり、犯すだけのために
己のすべてを捨て、あそこに留まった・・
欲望のみのために=贄=に堕ちた訳では・・
決して・・無かったのではないか・・と、言うことに。
其れは・・何故か、はっきりと・・理由は判らぬまでも
厳然とした事実・真理のように・・すんなり頷けた。
何故なら此処に現れた=蒼=の声・・其の声は
あまりに理知的で澱みがなく・・穢れを覚えぬものだったし
周囲に漂っている無数の気配のようなものからさえ
少しも其の獣欲や無残な感情の欠片も感じられなかったからだ。
たぶん、此処にいる=にぃえ(贄)=たちは・・
各々の=ひよみ=を僅かの時、刹那の出会いとは言え
心底、偽りなく=愛した=のだろう・・そして・・
ある意味最大の至福と感激の中、此処に堕ちた。
多分、永劫の幸福と安寧に包まれて。
だから此の=世界=は・・此処まで平穏で静かなのだ。
だが・・私は?・・わたしの=ひよみ=と・・?
肌を合わせ、唇を求めあい、異様な経験を共にはしたが
未だ肉体的な意味での性に溺れあった訳じゃない・・
私が何故=ひよみ=誘惑に耐えられたか?
其れは恐らくこの・・=わたし=の=ひよみ=が
完全な=おんな=として目覚めきって居ないうちに
あてがわれた=贄=だったからなのだろうが・・。
なら、何故・・私が此処に?・・
幸運か偶然か運命かは知らず、ただ結果的に。
私は、=ひよみ=と此処に居るという事なのか?
ちょっとした混乱と困惑に包まれ、沈黙する私・・・
が、其の瞬間、私と交じり合っていた=ひよみ=のこころが・・
あっ、と小さい驚愕の響きを、私の中に、自分のなかに放つ。
私は自己の意識の眼差しを其の=ひよみ=の曽祖父にあたる
=贄=の幻影のような姿に向け続けたまま
全く何の違和感も無く、=ひよみ=のこころに映ったものを
同時に=見た=・・いや、=意識=した。
ああ、遠く近く瞬いていた此の空間の=蒼=よりまだ蒼い
星屑のような欠片が・・次々と具現化して行く・・次々と。
幾多の時代、幾多の場所、幾多の身分職能、
そんなものを問わず・・様々な姿かたちの=男=の似姿が
=蒼=の色彩の渦で作られ
静謐で暖かい此の=蒼=の空間の中に
漂いはじめる=奇跡=のような光景。
=ひよみ=の穢れ無い澄んだこころの眼差しは
其れを驚きを以って捉え、=わたし=は其れを共有した。
恐らく具象化されはじめた其の姿かたち、いでたちは、
私の記憶の中に残されている歴史的衣装や時代の装束知識が具現した
ステロタイプのもの・・・なのだろう・・実際とは異なる・・
そして=ひよみ=と私のこころは、分け隔てのないほどに=ひとつになる=ことで
私の意識下まで含めた記憶を共有しているのだろう。
そして・・何処か漫画チックだが存在感に溢れた
時代絵幕ファッションショーが、唐突に、此の静謐で穏やかな
=蒼=の時空間で幕を開けた。
在るものは神代の神衣を纏い、在るものは緋縅の甲冑姿だ。
古渡り唐桟の帯を鯔背に締めた着流し大島の婀娜な髷姿は
ああ、元禄時代の遊野郎か、旅回りの立て役者か。
実直な表情と頑健な躰を質素で清潔な木綿着に包んだ若い農夫
鞣した野獣の皮を纏った鋭い目の日焼けした若者。
情熱的な目をした売り物と思しき荷を担いだ旅姿の青年。
中には日本刀を腰に差した、幾分年配の剣客の如き姿も在る。
軍人と思しき鋭く凛々しい目の青年と思しきものも居れば、
功成り名遂げた風情の豊かな表情を持った壮年に間近い背広の男
明らかに何処かの神職のような衣装の少年に近い男まで・・
この国の歴史、時代を生きた数多の雄たちが其処に具現化していく。
ああ、この連中なのか・・
さっきまで私と=ひよみ=を加護していた
あの=よもくぐつ=の・・
生ある時の姿って・・此の・・
私は・・其のさまざまな姿の=蒼=い男たちに
奇妙な親近感と自分に似た匂いのようなものを何故か感じていた。
そして、目の前の=ひよみ=の曽祖父だと名乗った此の・・
何処か書生じみた学究の徒の如き蒼い影にも其れは色濃く感じられた。
~臣くんと言ったね・・君は・・
奈落という言葉を聴いたことは・・あるかね~
静かに続く其の=蒼=の学究の徒の影が放つ
こころに響く声なき声は、其の雰囲気に相応しい
大學の講義のような音調を帯び始める。
~ならく?・・=ひよみ=・・わかんない・・でも・・~
~奈落・・舞台の地下部分・・地獄の俗称・・ですか・・~
出来の良い生徒とあまり出来の芳しくない生徒二人に
柔らかに教え諭すように其の=蒼の=影は語る。
いや、この際だ・・=蒼の教授=とでも呼ばせて貰おう。
・・・そう、私が思った瞬間、対面している蒼い影は
どこか含羞の面持ちで微妙に微笑んだ。
~其れは光栄だね・・私はまだ・・ああ、
此処に来たとき教授では無かったが・・
=奈落=とは本来、大きなものにぶら下げられた
閉鎖空間のようなものを古い印度の梵語、
サンスクリットで表した一種の哲学用語だ。
此処は文字通り・・其の・・
=奈落=そのものだと言っても良いのだよ。~
私は一体化した=ひよみ=のこころ表層に
ひらがなの=ならく=という
可愛いげな文字テロップが
大きな=?=マーク付きで
ほんわりと浮かび上がるのを感じ、
微妙な可笑しみでこころを震わせる。
如何に私の記憶や構造概念、
映像的な知識を共有しているとはいえ
其の本質が何かなど知る由もない=ひよみ=にとって、
彼の言葉は、全く理解不能な音節にしか
恐らくは聴こえて居ないのだから当然と言えば当然だが・・・
其の純粋にあどけない困惑が
ものの見事に漫画のような文字と=?=で
此の純粋な精神世界で具現化されたのは・・
恐らくは=ひよみ=が共有した記憶の媒体である私自身が
テレビなぞと言う微妙な表現世界で生きてきた故の
ある意味ステロタイプの映像概念と表現方法を
無意識に使うような男だったからと言う理由だろうが・・
其の妙な場違い感が微妙な苦笑となって私の中に広がったから。
と、同時に=ひよみ=が、其の私の苦笑に対して
ちょいと可愛く拗ねたのも判る。
ああ、本当に・・一緒になっちゃったんだな・・=ひよみ=。
私は、何故かとても幸福な気持ちになる・・
其の気分を鋭敏に感じとったのか
=ひよみ=の可愛い拗ねは、あっさりと収まって行く。
私は=ひよみ=に判るように、=奈落=を単純な図解的に想像した。
テレビで言う図解フリップの図案を思い浮かべるようにして。
=ひよみ=の大好きな、あのササン朝の紺瑠璃の瓶、
其処に、小さな空洞を内包した突起が付いている。
が、其の中には=おみず=其のものは流れ込むことはできない。
目に見えぬような穴が在って、
香りだけは其処に入って留まり残る・・其の突起が=ならく=
まあ、簡単に言えばそんなような景色の=図解=を思い描く
=ひよみ=のために・・出来る限り判りやすく。
其の=光景=を認識したのか・・=ひよみ=が・・
頷くように微笑むように、ふわり、と私の中で動いた。
其処には明らかに理解を示す肯定の感触が・・。
~ふむ、君は・・教師の才能も充分在りそうだ・・~
=蒼の教授=は莞爾として、私たちを改めて優しく見つめた。
~そう、君の思い描いたものはかなり正鵠を射ている。
此処は、時間の流れと空間の領域の近縁に作られた
精神の、いや、記憶の貯蔵庫のようなものだ、と思えば良い。
そして、此処には、今、君たちも感じているだろう?
今までの=贄=の全ての男たちの記憶や精神
此処で言う=みたま=の一部が封じられていたことを。~
私は、教授の講義に疑問を挟む学生のように其れに即応した。
~でも、・=ひよみ=は・・
すべての=おにぃえさま=の・・
なにもかもを喰い尽して・・
はじめて・・身篭るって・・言って・・
躰だけじゃなくこころもことばも・・確かそんなふうに・・~
~ああ、肉体的な意味ではそれほど間違っていないと思う。
もっとも其れも此れもある意味、僕の推測に過ぎないが・・
ただ、少なくともこの空間と時間軸の中においては
肉体の要素と精神の構成要素は意外と簡単に乖離するらしい。
=ひよみ=が=にぃえ=を喰らう、という事・・
其れは性的交合の中で其の相手と精神まで共感し
己の歓び、精神的肉体的快感の全てを相手に同時に与える・・
恐らくはそういう事を示しているのではないかな?
性としての=おんな=の快感は=おとこ=の比ではないそうだ。
其れも、=ひよみ=・・古代の神、まあ、我々のような=ひと=以上の
何者かの、しかも最大級の=快感=を直接精神で共有させられることで
大概の=おとこ=の自我や存在は・・崩壊してしまうのでは?
私は此の精神だけの状態に堕ちてからそんな風に想像しているんだ。
君も感じただろう?あの快美と興奮・・・ああ接吻だけだったのか。
私たちは其れ以上の性の快楽を七日七夜与えられたのだよ。
其れほどの凄まじい交接のなかの快楽・・
其れによりこころの一部、快楽と一番遠いもの
知性とか理性と言う領域に属する記憶のようなものが
私たちの全てが=喰われる=・・つまり・・
=ひよみ=と一体になってしまう際に異物として弾かれて
肉体を離れて此処に来た・・と言う事かな。
だが、其の理性の残り香は肉体の残余物に幾許かは宿り
肉体の記憶は理性そのものにも何らかの影響を残す。
だから=よもくぐつ=?と言うのかね?
僕たちの肉体の残滓のようなあれには
各々の愛した=ひよみ=を・・慈しみ守らんと言う意思が残り
此処に封じられたわたしたちの=こころ=は
かつての肉体の残像を記憶していた・・
それが君の記憶と経験により想像される=絵=として
再現されていま、現れた、と、は言えんかな?~
=蒼の教授=は、此の=奈落=と彼が呼ぶ異空間が
何故此処にあり、此の事態にどう関わっているかを
私と=ひよみ=に説き聞かそうと試みてくれているらしい。
ただ、其の生前の職業的な癖なのかどうかはわからないが
完全に其の声なき声の口調は大学の講義そのものだった。
で、私も、つい、学徒の如き心境と口調で彼に尋ねる・・。
~確かに・・其れ、筋は通ります・・なら・・
何故・・こんな物理法則やあらゆる常識を無視した空間が
此処にあるか、と、いう事については如何思われ・・~
私の問いの途中ではあったが・・
=蒼の教授=の幻影は悪戯っぽく肩をすくめ
・・お手上げ・・という表情をした。
~ああ、其処から先のことは、私も・・この・・
この・・無垢な=ひよみ=ちゃんと同様だ。
此処の存在の根源的理由は・・
私の浅薄な知識や想像では及びもつかぬ・・
其れは・・ああ、・・何と言うか~
一瞬口篭った=蒼の教授=の声を引き継ぐかのように
ちょっと向こうのほうから若く鍛え上げた感じの=無音の声=
~其れこそ・・=知る、能わず=、と。
・・其れも善智と言うもので御座いましょう。~
応えたのは妙に幼さも残した此れも幾分以上に理知的な響き。
其処には・・ある意味この中で一番場違いとも言えそうな
若い得度したばかりと思しき墨染めの衣の青年の姿が・・・。
彼は=蒼の教授=と私たちに何処となく優しい眼差しを向け
如何にも修行を積んだと思しき姿勢ですらりと立ったまま
此の奇妙に静謐な空間に浮くように存在していた。
何処か暖かく深い=蒼=の世界の中に静謐その者の姿で。
こ、こんな・・善知識みたいな人でも・・あの=いわつぼ=で・・
何時の時代かの=ひよみ=と交合ったんだろうか。
まあ、ちょっと凛々しいと言うか・・
美青年、いや、美僧ではあるけど・・
しかしなあ・・宗教ってのも・・無力かなあ・・あれの前じゃ。
そりゃあやっぱり、敬虔な宗教者、でも・・なあ。
勝てなかった・・んだろうなあ・・=ひよみ=の=誘惑=。
なにせ此の子だし・・いや、此の子よりもっと
成熟して妖艶な=ひよみ=に出会ったら・・まあ。
思わずこころの中で納得し無意識に頷く私。
・・其れに気づいたかの如く、
其の=蒼の僧侶=は器用に蒼い頬を幾分赤面させたが、
今度は其のこと自体を再度恥じたかのように首を振り
・・妙に饒舌に幾分興奮したような口調で言葉を続けた。
~私のような若輩、悟りの何たるかも知らぬゆえに
御仏の道から外れた=外道=に御座います故
ああ、善知識などというお言葉はご勘弁下され。
拙僧はかの菩薩の如き女性に見え
全ての修行も菩提心も捨てて外道に落ち申した。
されど、此処において何も悔いることも無き、と言うのは
其処のお方と同様で御座います・・悔いもありませぬ。
あの女性への憧れのみが未だ・・
ああ、其れは悟りなぞという魔境よりも暖かく此処に御座います。
ゆえに・・此処が何たるかも何故在るかも
知る必要が無いのでは、・・と・・
ああ、口幅ったいことを申しました。
お許し下され、善哉、善哉・・
色相を再び得て凡愚に戻りましたか・・~
そう声なき声で最後は呟くように語ると
=彼=は微笑して再び沈黙に戻った。
~ああ、彼は何時の時代か・・僧侶だったようだ・・
其れも、あの風情からすると・・
学僧(仏経典を専門に学ぶ僧)かね。
ある意味此の場所は神話的環境なのだろうねえ・・
僕のような学問に凝り固まった人間の理屈よりしっくり来る。
灘島くん、君もそうは思わんかね・・
ああ、その=ひよみ=ちゃんも・・
知る 能わず・・か・・ああ・・そうか・・
真理とはそういうもの・・かも知れないねえ・・~
微笑してそう締めくくったのを最後に
=蒼の教授=の声もふうっと消えて
=蒼=の世界を再び沈黙が支配する・・
聴こえるのは私と=ひよみ=の魂の心音
甘く静かで緩やかな・・
分かちがたい=生=と=愛=の・・鼓動。




