第七話 刀華の心情
─出会いがあればすなわち別れもある。それを理解しておくことだ─
お兄ちゃんと別れたあと、いろいろな方法で調べてようやくお兄ちゃんの家を見つけた。ちゃんと鍵してあったけど、私にかかればこんなの余裕だ。と思いつつ軽くピッキングして家の中に入った。
「うわぁ…」
家の中は一人暮らしをとは言えないほど綺麗で…嬉しくなって私はこの家の至るところを見て回る。全体的に見て回ったあとに私はお兄ちゃんのために料理を作ってあげようと鼻歌まじりにキッチンへ向かった。
もう少しで完成だというときに鍵が開く音がした。
鉄と鉄が当たる音を出しながら扉が開き何かが家に入ってくる。
「ただいま」
その声を聞いてお兄ちゃんだ!と思い少し悪戯心を込めて私は返した
「おかえりー!」
それから少し立って慌ててくる音が聞こえる。その後、背後に気配を感じたけどお兄ちゃんだとわかってるので
「おかえり。お兄ちゃん」
私がそういうとお兄ちゃんは信じられないものを見ているような目でこちらを見てきた。むっー。
私が内心膨れているとお兄ちゃんは復帰したみたいで
「なんでここにいるの?」
と聞いてきた。私は少しキョトンとして
「いやただお兄ちゃんの家に住むことになるからだよ?」
と言う。すると少し理解できなかったみたいでお兄ちゃんが
「え?ここに住むの?」
と言ってきた。当たり前でしょ?みたいな顔をして私が
「そうだよ?」
と返すとお兄ちゃんがまた固まった。それを見て面白くてすこしクスッと笑ってしまった。その後もしかしてと思いお兄ちゃんに
「奇跡的に会えたんだし、家族なんだから一緒に住もうと思って…もしかして嫌だった?」
と私は聞いた。するとお兄ちゃんはすごい速さで首を振って
「いやいや!そんなことないよ!」
それを聞いて私は安心して少しホッとした顔でため息を少し吐く
「そっか。良かった。いきなり来てしまったからダメだって言われるかと思ちゃった」
そう言ったあとお兄ちゃんが少し視線を変えたので追ってみると私が作っていた料理を見ていた。それを見てから思い出して
「あっ!そうそう、私料理作ったんだ。一緒に食べよう?お兄ちゃん」
「う、うん」
私がそういうとお兄ちゃんも少し困惑しながらだけど頷いてくれた。それを見てから少し嬉しくて早くしようと料理を必死に机の上に持っていく。
全部机の上に移動させたあとお兄ちゃんの腕を掴んで椅子にお兄ちゃんを座らせる。
その後お兄ちゃんが並んでいるもの全部を見渡したので私は箸で肉じゃがを取ってお兄ちゃんの前に出す。
「はいどうぞお兄ちゃん!あーん」
私がさらにズイっと出せば
「あーん」
と言いながら私の肉じゃがを食べてくれた。
「どう?」
「うん。すごく美味しい」
どう?と聞いたら美味しいって言ってくれたのでお兄ちゃんが困っている顔も知らずに私は目の前の料理をお兄ちゃんに向けてたくさん食べさせた。
そのあとはお兄ちゃんがお風呂に入ってるのに突入しようとしたけどギリギリで防がれちゃったり、お風呂から出てきたお兄ちゃんと少しおしゃべりしたりした。
今はベッドの上で寝転んでいるお兄ちゃんの背中に体を摺り寄せる。こうしていると目の前のお兄ちゃんが明日いなくなっているような気がして心配になってお兄ちゃんに聞いた。
「ねぇお兄ちゃん。私がここにいてもいいのかな?」
そう言うとお兄ちゃんが安心させるような声で
「うん…大丈夫だよ」
と言ってくれた。その言葉に嬉しくてお兄ちゃんの背中にさらに擦り寄った。
私が小声でお兄ちゃんに
「おやすみ。お兄ちゃん」
と言うとお兄ちゃんもおやすみと返してくれた。私はお兄ちゃんに引っ付きながら目をつぶる。
─大好きだよ。お兄ちゃん。
─私がずっとお兄ちゃんのそばにいてあげる。
─私がお兄ちゃんの盾になってあげる。お兄ちゃんの剣になってあげる。
─だからお兄ちゃんは私だけを見て、私のそばにいて、私だけを愛して…
私の大好きなお兄ちゃん
なぜこんな風になったの…それに関しては、反省している。後悔はしていない。