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第四話 刀華の追憶 後編 その2

途中に急展開に感じる場面があるかもしれません

─破滅を迎えたくないのなら心は強く持て…そうすれば悪魔の囁きを聞くことはない─


 私にすべて壊せと声は言う…すべてを殺せと声は言う…それに私は困惑しながら叫ぶ。


「お前は何なんだ!なぜそんなことを言う!」


─ナンデダロウネ?マァ、シイテ言エバ私ハアナタ。アナタハ私。コレガ答え。


 私が問いかけると頭から聞こえてくる声はそう返す。

その答えに私の頭は混乱していた。この声が私?意味がわからない。そう心の中で呟いても聞こえる声は私の声に似ていた。それがさらに私の頭を混乱させる。


─ダケドソンナコトダナンテヒドイナー。アナタガ思ッテイルコトヲ言ッタダケダヨ?


 聞こえてくる声は笑いながら言ってくる。私がすべてを壊したいと思っていると言ってくるその声に私はそんなことない!と叫びたかった。だけどそう言いたいのに私の口は動くことはない。一の漢字のようにキュッと締めているだけだった。


─ヤッパリアナタモワカッテイルンデショ?自分ガソウオモッテイルコト


 声はさらに笑いながら言ってくる。それに悔しさが沸く。それに何も言い返せない悔しさに。私はやっぱりそう思っているのかと感じたことに。

あまりに悔しくて無意識に壁を殴りつける。気づけばへこんでしまった壁と痛みと共に衝撃で赤くなってしまった私の拳があった。


─オォーコワイコワイ


 声はそうおどけたように言うと私の頭から違和感が引いた。聞こえなくなったところをみるとどこかに行ったと私は思いイライラしながらもシャワーを浴びに行った。


─私ハアナタ。アナタハ私。


 シャワーを浴びている時でもあの声が私の頭から離れることはなかった。それから無意識にどういうものか考えてしまい、答えがでないことにイライラが募る。


「なんなんだ…ホント…」


 温水を浴びながら悔し紛れに私はそう呟く。シャワーを終えて戻ってくるとすぐにベッドに入り、そのことにイライラしつつ目を閉じ意識を暗闇の中に飛ばした。


 あれから少し立ったときに偶然復讐をしなければいけない相手を見つけることができた。それを見たとき何かに突き動かされるかのように私は赤く染まってしまったコートに手に取ると、着ながら足早に部屋を出ていった。



 ひぃひぃ言いながら目の前の男は化け物に追われているかのように逃げる。男のその姿を見ても私の目には哀れみ、同情などの感情はなく、あるのは純粋な殺意と復讐心。ただただ相手にナイフを突き立てるだけのために目の前の男を追う。


「なんなんだ一体!」


 裏道に逃げ込んだ挙句袋小路に追い込まれた男は私に怯えた目を向けながら叫ぶ。まわりは無骨なコンクリートに囲まれ、日の光も微かに入る程度。その場所で私は叫んだ男を睨んで言う


「言う義務はないな」


 本当は、大事な人を殺された復讐だ!などとテレビのドラマのように叫びたかった。だけどそんなことはしない。もう大切な人はいないし叫んだところでお兄ちゃんが帰ってくることはない。今できるのは目の前のこいつの息の根を止めるだけだ。そう思いつつ男にナイフを振り上げ


「ひっ!?」


突き刺した。






─アーァ、ヤッチャッタ


聞いたことある声が頭に響いたが無視して私は目の前の事切れた男を汚物を見るかのように睨む。返り血が付いたコートを翻し、帰えろうとしたとき


「おぇ…」


声が聞こえた。驚きそっちをみると私と同じぐらいの男が立っていた。あの頭の中に響く煩わしい声にイライラしていたと言うのによく見ればその男は私のお兄ちゃんによく似ていて…そのことにすごくイラつく。

するとその男の子が何かに気づいた顔をして叫んだ。


「赤いコート…殺人鬼ッ!?」


─バレチャッタ


 おどけていう声を流しつつ私を知っているらしい目の前の男を殺すべく殺意を出してナイフを構える。


「ひっ!?」


 尻餅をついて怯える彼へ私は歩いていき彼の前にたつ。


─ホラ。ハヤクコロシチャイナヨ


 黙れ。そう頭の中に響く声にイライラしつつナイフを振り上げ、思いっきり突き刺そうとしたとき


「刀華…」


 え?と思った。なんで?あの男にも本名を教えてなどいないし誰にも教えたこともない。私の名前を知っている奴はいないはず…そう思っていると頭の中に一つの可能性がよぎる。目の前の私と近い歳に見える男…彼が私の家族…もしかしたらお兄ちゃんなのかも知れない。そう思った私は頭で答えを出すより早く口が動いて言ってしまった。


「兄…さん…?」


 そう私は言うと彼は目を見開いて


「刀華…なの?」


 それを聞いたときはもう何も考えられなかった。ただ嬉しくて、そのまま尻餅をついているお兄ちゃんに飛びかかるように抱きつく。お兄ちゃんは少し驚いたみたいだけどすぐさっきまで怯えていた顔だとは思えない微笑みを浮かべて私を抱き返してきた。

やっぱりお兄ちゃんだ。


「お兄ちゃん…」


 私をいつも助けてくれて、一緒にいてくれて、一緒に遊んでくれて、一緒に無茶して怒られて、そして、私の一番、一番大好きな人。

そのお兄ちゃんが目の前にいる。生きてくれている。そう再開することが出来た私は泣きながらお兄ちゃんに強く抱きつく。


 

 そして気づけばあのノイズのような違和感と忌々しい声はもう聞こえなくなっていた。



これで刀華の追憶は終わりです。その1その2に分けるハメになることになるとは思いませんでした…確実にまとめ不足ですね。はい。

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