表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/12

第三話 刀華の追憶 後編 その1

─手を血に染めし者が死す時、白き世界が待っているだろう─


 私はあれからただ復讐心にのみ狩られて行動した。

やれと言われたことはやってきたし、もうどんなに過酷なことをやっていたのかさえも覚えていない。唯一わかっていることはもう後戻りはできないということだけ。


「兄さん…」


 ふと思いついたように私は呟いた。

生きていたらって思っていても現実は変わらない、そう思ってもやっぱり悔しくて…手を強く握りしめてしまう。

感触があってその手を見てもあるのは私が恋した人の手ではなくて、あの男から貰った時の綺麗な銀色から大量の血を吸って少し黒ずんでいるナイフ。


 少し目をつぶってすぐ顔を前に戻しつつ目を開けるとそこには血だらけの男が壁に寄り添って事切れていた。間違いなく私が殺した男だ。私から大切な人を奪った奴ら…お兄ちゃんを私から奪ったやつら…


 許せなかった。前に私の親が亡くなったことも知った。だけど不思議と泣きたい気持ちを感じることができなかった。

もうこの時点で私はダメになってしまったのかも知れない。そう思っても無駄だな…そう思いつつ男の死体を一瞥して踵を返して私は帰路についた。


 仮の家であるマンションに帰り、明るい赤だったのに返り血で黒い赤になってしまったコートを脱ぎ、少し広く感じるリビングに入ろうとした時、後ろに気配を感じて私は振り返りつつ腰のナイフを抜き相手の首筋に当てる。


「誰だ」

「おぉ…怖いねぇ」


 侵入者は両手を上げて降参のポーズしつつ私に顔を見せる。

侵入者は私をこの世界に入れた男でいわゆる知り合いだったので、チッ。と舌打ちしつつナイフを懐に戻す。


「いや、あんな可愛い女の子がこんな少女になるとは」

「黙れ」


 嫌味のように言ってくる男に少しイラついた私は殺気を放ちつつ面倒くさそうに返す。


「やれやれ、殺しに関してはズブの素人なのに殺意に関してはもうプロ並みだ…まったく、表はこれほどまでの復讐心を持たせるような社会になってしまったのか…」


 悲観したように言う彼の顔は悲しそうな顔ではなく口の端を吊り上げ、笑った顔で言った。


「そんなこと言いつつ殺しを私に教えたのは誰だ?お前だろう?」

「そうだな」


 そんな彼を睨みつつ私はそう言うと彼は笑いながら肯定する。


「依頼された人物を3人、復讐する相手を2人。もう立派な殺人鬼だな」


 彼は嬉しそうに言いながら席を立つ。


「んじゃ俺は帰るわ。」


 彼はそう言ったあと玄関から出て行った。


(そうだ、私が殺したのは5人…もう5人も殺したんだ)


もうお兄ちゃんにも顔向けできないなっと思ったとき


ズキっ


と不意に嫌な感じが駆け巡った。


「…なんだ…?」


 不思議に思いそう呟くと。


「ぐぁ…!?」


 頭の中で何かが暴れているかのように激痛が走り出す。

あまりの痛みに呻きながら近くにあったのを薙ぎ飛ばしながら暴れる。


 それから少し経ちひとしきり暴れたあとに痛みがスっと消える。あまりにも不意にスっと消えた頭の痛みに困惑しつつ私は立ち上がろうとすると


─ゼンブコロシチャイナヨ


「ッ!」


 どこからか私に似たような声で言葉が聞こえた。


─キミハコノ世界ヲ憎ンデル。ダイジナモノヲ奪ウヨウナコノ世界ヲ


─ダカラ





           ゼンブ…コワシチャイナヨ




あれ?今回で刀華の追憶終わらせるはずだったのに…おかしいな…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ