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そして ハジマル 物語  作者: vlinder-蝶-
第一章 ~始まりの日~
3/12

過去編 ~始まりの合図 2 ~

 “ガラガラ”と、教室の扉が開く。


「うぃーッス」

 教室の扉を開けてすぐに挨拶をする。これが朝一、桐生きりゅうの教室への入り方だ。


「あ、やっと来た。ほらこれ!」

 桐生きりゅうが自分の席に座ると同時に声を掛けられ、“ドサッ!”と桐生きりゅうの机には沢山の教科書とプリントが置かれた。

「な、なんだよこれ……」

桐生きりゅうさんが机の中に置いていった教科書とプリント達ですよ?先生に捨てられそうになったていたところを止めて、回収しておいたのです」

「お、おう……。サンキュな……」


 今、桐生きりゅうと話している相手は、桐生きりゅうが居るクラスのクラス委員である。名は“新城乃亜しんじょうのあ”だ。この子も、桐生きりゅう達の友人の一人である。


「あ、おはよー! 新城しんじょう!」

「おはようございます。月影つきかげさん」


「あぁ、そうだ月影つきかげ神崎かんざきはもう教室に行ったか?」

「うん。行ったよ~」

「そうか……、話したい事あったんだよな」

(俺が昨日見た“夢”だ、しかも凄くリアルな。これから何かあるのかもしれないから話しておきたかったんだが……。)

「まぁ、いいか……」

「ん? なにが?」

「いや、なんでもない」

 桐生きりゅう月影つきかげ新城しんじょうはローゼン学校の3年3組だ。しかし、唯一、神崎かんざきだけが3年2組だった。その為、神崎かんざきだけは昼食の時間でしか集まれなかったのだ。



 桐生きりゅう達は午前の授業を終え、学校は昼食の時間となった。


「やべぇな……、なんでだ。数学が全然わかんなかった」

桐生きりゅうは全然勉強してないからでしょ。新城しんじょうさんを見習いなさいよ」

「いえ、そんな。私よりも月影つきかげさんの方が勉強できますよ!」

「僕もそんなにできませんよ……」

そんな会話をしながら、四人は学校屋上で楽しく食事をしていた。ここには他に人は誰も来ない。この四人はいつも昼食になると、屋上に集まって食事をしていた。


 月影つきかげ新城しんじょうは高校に入ってから仲良くなったが、桐生きりゅう神崎かんざきにとって、今となっては親友とも呼べる存在だ。


「それにしても……、こうして改めて見ると変な関係よね」

「と、言いますと……?」

新城しんじょうが不思議そうに返事をした。


「あたしと桐生きりゅうは幼馴染だから仲が良いのは別に変な事じゃないけど……、新城しんじょうさんや月影つきかげ桐生きりゅうみたいな不良と違ってクラス委員だったり、生徒会役員だったり……。接点が全く無い様な組み合わせよね」

 そんな言葉に新城しんじょう月影つきかげは呟いた。


「私は小さい頃、車にかれそうになったところを桐生きりゅうさんに助けて頂いたので……」

「僕は、桐生きりゅうが居なきゃ僕は今ここに居ないと思う」

二人は少し思い詰めた様に言った。そんな二人の姿を見ていた桐生きりゅうは居心地の悪さを覚え、口を開く。


「あんま変に考えるなよ? 俺はたんに人助けをしただけだ。でも、まぁこうして仲間も増えたから俺としては楽しいけどな!」

そう言うと桐生きりゅうは、再び手元にある弁当を食べ始めた。


「何だかんだ言って桐生きりゅうは結構優しいものね。幼馴染のあたしが言うのだから間違いないわ」

「うっせぇーよ……、照れるじゃねぇか」

そんな桐生きりゅうの発言に一同は笑った。



 そんな話をしていながら食べていると、昼食の時間の終わりを告げようとチャイムが鳴った。桐生きりゅう達は急いで弁当を片付け、自分達のクラスに戻った。

「じゃあ、また放課後ね! 神崎かんざきさん!」

「またね! 新城しんじょうさん!」

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