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そして ハジマル 物語  作者: vlinder-蝶-
第一章 ~始まりの日~
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過去編 ~L.E.W【レーウ】使い 2~

「ちょ、ちょっと待てよ! 何だよ急に」

いきなり月影つきかげに大きな声で怒鳴られ、桐生きりゅうはその声に圧倒される。

桐生きりゅう。君は"これ"を手にする事がどういう意味に繋がるのか、ちゃんと分かっているのかい?」

そう言いながら月影つきかげは自分のL.E.W【レーウ】を桐生きりゅうに見せる。

 白く、何物にも染まらない様な、そんな綺麗な純白のL.E.W【レーウ】だった。


「どういう意味って……。そりゃあ、俺もこれから月影つきかげ達みたいに、あんなよくわらんねぇ様な奴らと戦うって事だろ?それくらいはーー」

「分かっているならどうしてだい……?」

今の月影つきかげは冷静さを保っている様に見えるが、それぞれの月影つきかげの言葉には、怒りにも似たような感情が込められていた。

 そんな月影つきかげの言葉に対し、桐生きりゅう月影つきかげの顔の前に、自分のL.E.W【レーウ】をつき出した。


「俺は勢いだけで突っ走っちゃう様な馬鹿だけどよ。こればっかりはちゃんと俺なりに考え抜いた答えなんだぜ。それに……だ。俺の"コイツ"は何故だか知らないが、剣にも銃にもなる。こんだけ強ぇ相棒が居るなら問題無いさ」


 はぁ……。と、呆れた様な顔をする月影つきかげ

「……分かった。だけど無理はしない様にね」

「そこんところは任せろ。身体が頑丈なのが取り柄だからな!」



 騒ぎは収まったが、またいつ"ターゲット"が襲ってくるか分からない。一同はその心配があるという事で、桐生きりゅう達は一緒に帰っていた。

そんな下校の途中、月影つきかげは何かを思い付いた様に口を開いた。

「あ、そうだ」

「どうしましたか? 月影つきかげさん」

最初に気付いた新城しんじょうが、月影つきかげに声を掛ける。


「なに? 忘れ物でもしたの?」

ニヤニヤしながら、続いて月影つきかげに質問をする神崎かんざき。意外と性格が悪いのかも知れない。


「いやいや、待って。僕そこまで抜けてないよ……」

「そうなんだ……」

ちょっと残念そうに落ち込む神崎かんざき。やっぱり性格が悪いのかも知れない。


「なんでそこで落ち込むのかなぁ……。そうじゃなくて、桐生きりゅう達は今回の件で間違いなく"ターゲット"に今後狙われると思う。桐生きりゅうに至ってはL.E.W【レーウ】を使える上に、多分、さっきの“ターゲット”に覚えられただろうしね。そこで、桐生きりゅう達を"輝箱舟アーク・シャイン"に招こうと思うんだ」


 それを聞き、同行していた樹島きしまが、月影つきかげに声を掛ける。

「いいのか? 俺は構わねぇが、アイツがなんて言うか分からないぞ」

「僕がなんとか説得してみせますよ。あ、樹島きしまさんも一緒に説得します?」

そこで樹島きしまはくすりと笑う。

「馬鹿が、面倒事は嫌いだ。お前だけで何とかしてくれ」

「あはは……。ですよね……」


 そんな二人の後ろで会話を聞いていた新城しんじょうは、桐生きりゅうにこそこそと喋る。

「あの樹島きしまさんって人と月影つきかげさんは仲が悪いのでしょうか……?」

「俺に聞かれてもわかんねぇよ……」


 しばらくして、急に樹島きしまが立ち止まった。

「どうしました?」

月影つきかげ、俺はやっぱり先に帰ってる事にするわ。おりは俺の柄じゃねぇしな」

「あ、ちょっと……!」

月影つきかげ樹島きしまを止めようとするよりも先に、樹島きしまは走っていった。そんな樹島きしまの姿に、桐生きりゅうは唖然とする。


「アイツ、よくわかんねぇ奴だな」

樹島きしまさんは普段からあんな感じの人だよ。多分、桐生きりゅうと気が合うんじゃ無いかな?」

「俺が……、アイツと!?」

「そうねぇ……。桐生きりゅうとあの樹島きしまさんって人、なんか似てる気がするしピッタリで良いんじゃない?」

神崎かんざきまでそんな事を言うのか……。新城しんじょうはどう思うよ……」

「と、とてもお似合いな気がしますよ……?」

苦笑いをしながら答える新城しんじょう

「そ、そうですか……。はぁ……」

桐生きりゅうも苦笑いをしながら答えた。



 月影つきかげは歩みを止め、不安そうな顔をする。

「さて、桐生きりゅうは何とか平気そうだけど、新城しんじょう神崎かんざきさんは受け入れてくれるかなぁ……」

「そんなに厳しい人なのか?」

「厳しいというかなんというか……」

はっきりしない月影つきかげの返答に桐生きりゅうの頭に"?"が浮かぶ。

「取り合えず、言ってみなきゃ分からないかな……」

不安げにそういう月影つきかげに対し、桐生きりゅうが口を開く。

「そっか……! んじゃあ早く行こうぜ。その"輝箱舟アーク・シャイン"って所にさ!」

桐生きりゅうがそう言ったと同時に、急に走り出す神崎かんざき

「よーし、そうと決まれば走ろうよ!」


続いて新城しんじょうも後を追う様に走り出す。

「あ、急に走ると危ないですよー!」

新城しんじょう神崎かんざきに釣られて走ってるぞ……」

「そういう桐生きりゅうだって走ってるよ……。よし、ここは僕も一緒に走ろうかなっ!」



 一同は"輝箱舟アーク・シャイン"に向けて走り出す。先頭を走る神崎かんざき。その後を追い掛ける様に新城しんじょう桐生きりゅう、そして月影つきかげ

この四人の戦いはこれから始まるのであったーー。


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