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そして ハジマル 物語  作者: vlinder-蝶-
第一章 ~始まりの日~
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過去編 ~動き出すもう一つの現実 2 ~ 

「おい! ちょっと待てよ!!」

桐生きりゅうの前を走る長い髪の男に、桐生きりゅうは怒鳴った。


「・・・・」

長い髪の男は無言でまだ走る。


「おい!! 聞いてんのかよ!!」


「・・・・・」

桐生きりゅうがどんなに怒鳴ろうと、長い髪の男は走る。


(くそっ! こんな事をする為に俺はついてきたんじゃねぇのに一体どこまで走るんだこの野郎……)

桐生きりゅうは、いつしか怒鳴るのを止めていた。


 長い髪の男は急に足を止める。すると、長い髪の男は桐生きりゅうを見た。

「おい、小僧。着いたぞ」

桐生きりゅうは少し遅れて到着し、辺りを見回した。

「着いたって……」


 そこは、辺り一面に背の高いビルに囲まれた場所だった。

「ここならオメェみてぇな小僧でも奴等にバレねぇだろ」

「奴等って……、なんだよ……」

「"ターゲット"の事だ。そのくらい察しろ」


 桐生きりゅう達の目の前に急に現れ、どんな人なのかも分からない人物に偉そうにされる事に桐生きりゅうは苛立ちを覚えていた。しかし、ここで断ってしまってはのちの為にならない。桐生きりゅうは仕方がなく長い髪の男の言う事を聞いた。


「おい小僧。まずはテメェが〔L.E.W[生命体の武器]〕を使うに相応しい人材なのかを試してやる」

「なんだそれは……。"レーウ"だと?」

「百聞は一見に如かず。まずは身体で覚えな」

そう言って、長い髪の男は桐生きりゅうに白く、丸い塊を手渡しした。

「なんだよ……、これ」

「小僧。その丸いやつを軽く握ってみろ」

「こ、こうか……?」

桐生きりゅうは言われた通りに白く丸い塊を右手で軽く握った。


「おい、なんも起こんねぇぞ」

「手ェ開いてみろ」

桐生きりゅうが手を開くと、そこにはさっきまでは白かった丸い塊が、今は赤黒く変色していた。


「なんだと……?おい、小僧。その塊を俺によく見せてみろ」

そう言うと桐生きりゅうの持っている赤黒く丸い塊をまじまじと見た。

「さっきっから一体なんだよ!」

「いや、なんでもねぇよ」


(まさか、こんな奴が〔U.L.E.W【ユー・レーウ】〕なはずが……。だが、もしそうならこいつぁ面白おもしれェ……)


 しばらくして長い髪の男は桐生きりゅうを見た。

「いいだろう。オメェを立派な"L.E.W【レーウ】使い"にしてやるよ」

「なんだかよく分からないが助かるぜ。んで、次は何をすれば良いんだ?」

「次はそれを思いっきり握り潰してみろ」

「こうか?」

桐生きりゅうが赤黒く丸い塊を握り潰すと、その握り潰した手の中から赤黒い液体らしき物が右腕を徐々に飲み込んでいく。

「な、なんだこれは!?」

「良いからそのまま飲み込まれてろ。どんな武器かその後に分かる」

「本当だな……?」


 10秒程時間が経ち、右腕は赤黒い液体に飲み込まれた。すると突然、桐生きりゅうは右腕に何かが巻き付いた感覚を覚えた。それと同時に長い髪の男はニヤリと笑った。

「なんだ……? 何かが俺の右腕を……」

「よし、小僧。俺に右腕を見せてみろ」

そう言われて桐生きりゅうは右腕を長い髪の男に見せた。


「やっぱりな。良かったじゃねぇか小僧」

「良かっただと? そういや、よく見ると俺の右腕には、赤黒い縄のような物が巻き付いている……。そうか、これはつまり……」

「あぁ、お前は“ソイツ”に選ばれたって事だ」

「つまり、俺はアンタと同じ様に戦えるって事か!?」

「いや、それは分からねぇ。お前の武器がどんな形態の武器なのか、それがまだわからないからな」

「なるほどな、じゃあ早速コイツを使ってみようぜ」

「いいだろう。ならばまずは、“自分が創造する武器”を“想像”してみろ」

「自分が創造する……。武器……」


 桐生きりゅうは、さっき長い髪の男が使っていた長い刀をイメージした。すると、桐生の右手が光り輝き出した。しばらくして、輝きを失うと同時に赤黒く、長い刀を右手で持っていた。

その刀は闇に溶ける様な黒に対し、熱い情熱を秘めた様な赤が、脈のような模様をして目立っていた。

「おし、俺はアンタと同じ様な刀にしたぜ」

「ほう。俺様と同じ形態を選んだか。これで教えやすくなったな」


 そこで桐生きりゅうは、ある疑問を覚える。

「他の武器には変えられないのか?」

桐生きりゅうの質問に長い髪の男は難しそうな顔をした。


「それは多分、どうやっても不可能だろうな。ただの"L.E.W【レーウ】"には、最初にイメージした武器を記憶しちまうからな。強い威力に、隠しやすい程の大きさという使い勝手が良い代わりに、そこが痛い所だ」

「なるほどな、なら試しにやってみっか!」

「おい小僧。てめぇ人の話しをーー」

長い髪の男が言い掛けた途端。長い刀を持っていた桐生きりゅうの右手が再び輝き出した。そして、輝きを失ったと同時に、次は拳銃の形に変化をしていた。その光景に髪の長い男は驚いた。

「な……に……?」

「なんだ、出来んじゃねぇかよ」


桐生きりゅうが長い髪の男の顔を見ると、その男の顔には何か、確信にも似た顔をしていた。

「そうか、そうなのか。やはり小僧……、お前は……」

「な、なんだよ……」

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