モチーフを選ぼう
実は、200文字小説を書くにあたって一番難しいのはモチーフの選定です。
どういうことか。
小説のモチーフというのは、ある程度長さが約束づけられています。ざっくばらんにいうと、長編向きのモチーフは長編にしか用いることはできないし、短編向きのモチーフには短編にしか用いることができない、という程度の意味だと思ってください。モチーフにはそれを物語る際の「適切な長さ」が存在するのですね。もちろん、上手い人だと「適切な長さ」をものともしない小説を書くこともできますが、これ、200文字小説となるとかなり高度なテクニックになってしまいます。なにせ、200文字小説は暴れることのできる空間が恐ろしく狭いのです。
では、200文字小説に合致するモチーフとはなんなのでしょう。
ずばり言います。「一瞬」です。
出始めの頃、200文字小説を指して「俳句のようだ」と述べた小説家さんがいらっしゃいました。それもそのはず、俳句もまた、文字数が圧倒的に少ない文芸なので方法論が似通ってくるのですね。
例を出しましょう。名句として知られる、
「古池や 蛙飛び込む 水の音」
なんてどうでしょう。これ、蛙が池の中に飛び込んだ一瞬を切り取った句になってます。
と、こういった形で、小説世界の「一瞬」を切り取るようにするといいのです。
ただ、ちょっと注意が必要なのが、そうやって切り取ったものが小説になっているかどうか、という問題です。
そこは次のページに譲ります。




