はじまり
ごぽり。
耳にというより頭に響く水音が、絶え間なく意識を刺激している。
自分は今沈んでいる。水の中を沈んでいる。口がしょっぱいので、きっとここは海なのだ。海に沈んでいる。ゆっくりと、沈んでいる。きっともう、水面に浮かぶことはできないだろう。
ああ、自分は死ぬのだ。
ぼんやりと考えている自分は、きっとほっとしているのだと思う。
やっと、自分はいなくなれるのだ。自分は消えてなくなれるのだ。やっと、やっと、これで救われるのだ。助かるのだ。このことを全知全能の神に感謝しなければ。
水の中にであらん限りの歓喜の声を上げる。だがそれも大量の泡に包まれて、地上へ上がっていった。もしかしたら、誰かの耳に入るかもしれない。もし本当に聞こえたならば、僕の雄叫びは断末魔の叫びに聞こえただろう。
手足につけられた錘に引っ張られて沈んでいく自分と、もう見えない泡。その逆の状態と、真っ黒な水を眺めるのが不思議で、おもしろくて、自然と口角が上がる。
さようならと言うような人はもういない。言ってくれるような人もいない。だからこのままいこう。一人は悪くない。
一人は悪くないのだ。
(本当に?)
誰かがいるのは煩わしい。
(本当に?)
だから、このまま・・・。
(眠れ、眠ってしまえ)
沈め。沈め。暗く冷たい水の中へ。
目を閉じろ、何も考えるな。そんなことは意味がない。
意味がないのだ。
僕の意識は、冷たくなる身体と一緒に暗い水底に沈んでいく。
・・・はずだった。
お初にお目にかかる者です。のんびり、楽しく、ゆっくり、書いて行こうとおもいます。
このお話は19世紀頃のミステリ達を元ネタにして書いて行こうと思っており、主にE.W.ホーナング作のラッフルズシリーズを元ネタにしております。広がれ、ラッフルズの輪!
ホームズやルパンのネタも入れます。作者はにわかです。脳内は腐りかけておりますのでほんわか腐敗臭が漂うこともあるかもしれませんのでご了承ください。
お手柔らかにお願いします・・・。