新たなキズナ
人と見た目が違うから?だからなんなのさ。遊ぶのにそんなの関係ない!!
「神風はいるか?」
ある晴れた日。
豹牙(jb2823)と春都(jb2291)が積み木で遊んでいると、
鈴蘭組の雨下鄭理(ia4779)が訪ねて来た。
「あ! てーりしぇんぱいだ!! こんにちは!」
「ん。 こんにちは。 ちょっと神風を借りていいか?」
「……おれ?」
豹牙が自分を指差して聞くと、鄭理は「ああ」と頷く。
「なん、だ?」
「実は今、外でサッカーをしようとなったのだが……人数が足りなくてな。
神風、やらないか?」
豹牙は目を丸くした。
サッカーは知っている。母国ではまぁ、それなりにやっていたし。
でも、まさか自分に遊びの誘いが来るとは思っていなかった。
「うに? さっかー?」
「ああ。春都も見に来るといい。神風を応援してくれ。 絶対喜ぶから」
「なっ!?」
「ひょーがくん、よろこぶ?! じゃあ、はりゅ、おーえんすりゅ!!」
本人が答える前に決定事項のように、春都を応援に誘った鄭理。
まんまと春都が応援すると言えば、にやりと笑って豹牙を見た。
「だ、そうだぞ? 来てくれるか?」
「……わかってて、誘ったな」
「くすくす。 さて、なんのことだか」
「ひょーがくん、ひょーがくん! がんばってね!!」
「……………うん」
キラキラ輝く笑顔で応援されると、豹牙は苦笑しながら頷く。
サッカー自体にあまり興味は無いが、春都が応援してくれるならいいかと、
無理矢理納得した。
三人が中庭に出ると、真ん中で男の子たちがボールを持って待っていた。
見たことある奴もいれば、知らない奴もいた。
とりあえず言えることは……豹牙を見た瞬間に何人かは
眉をしかめたってことだ。
「おせーぞ、雨下!」
待っていたうちの一人、両目が赤く、髪を後ろで一つに束ねた男の子が
こちらに文句を言いつつ、近付いてくる。
「すまない、だがちゃんと連れてきたぞ。 桜組の神風豹牙だ」
「……よろしく」
鄭理の紹介で小さく挨拶すると、男の子はにかっと笑って手を
差し出してきた。
「俺は獅子王砕牙(jb2791)。
こいつは俺の従妹、明日奈(jb2281)だ」
「にゃはは~♪ よろしく~」
いつの間にか獅子王の足元に、黒髪の猫のような雰囲気の女の子が居た。
「さいがに、あしゅなちゃんだー!!」
「お? 春都もいたのか」
「はるちゃーん!」
俺の後ろから春都が顔を出すと、三人はどうやら面識があるらしく、
笑いあっていた。
「おーい、砕牙ー! 早くやろうぜー!」
「おー! 今行く! 行こうぜ、神風、雨下。 春都、明日奈と
向こうで応援してな」
「あ、おい……」
「うん! がんばってねー」
獅子王は春都に観客席を指差すと、豹牙の手を引いて男の子達の輪の中に
連れて行く。
「んじゃ、チーム分けしようぜ。 じゃんけんでいいか?」
「あ、あのさ砕牙……ほんとにコイツもやるのか?」
男の子達のうち一人が、豹牙の方をちらちらと見ながら砕牙に聞く。
「? あたり前だろ。 なんだよ、文句でもあるのか?」
「文句って言うか……だって、そいつ……髪も目の色も変じゃねぇか」
男の子の言葉に何人かが頷く。
豹牙は「ああ、やっぱりか」と思うのと同時に、自分の気持ちが
暗いところへ沈んでいくのが分った。
だが、沈みそうになったのを彼の声が止めた。
「変だからなんだよ」
「………………え?」
「色が違うから、変だからってなんだよ、別に問題ねえだろが。
んなこといったらワールドカップなんてどうなんだよ、ああ?
全員髪も目の色もちげぇし、話す言葉だって違うだろうが。
だが、サッカーやってるだろ? 問題なんてねぇだろ?
今の俺たちとなにが違うってんだよ」
ぐっと、砕牙が豹牙の首に腕を回して、肩を組む。
「こいつは少なくとも俺たちと話は出来るし、
サッカーも……出来る、よな?」
「あ、あぁ。出来る、知ってる。」
「じゃあ何の問題もねぇ! だろ?」
砕牙が胸を張って言い切るので、男の子たちも圧倒され、
でも、納得はしたようだ。
と、一人の男の子が近付いてきた。
「ご、ごめんな。」
気まずそうに、でも申し訳なさそうに謝ってきた。
すると、他の子も続いて謝ってきた。
……これまで色の事で謝ってきた子がいただろうか。
豹牙は戸惑ったが、嬉しくなった。
「いい。 平気。 ……一緒に、サッカーやろ」
「!! おう!!」
豹牙と男の子たちが笑いあったのを見て、鄭理と砕牙は微笑んだ。
(壁が大きな音を立てて砕けた)
(あ。 俺、獅子王と同じ。)
(ふむ。 自分は敵だな)
(げっ! 雨下が敵かよ!!)
(みんなー、がんばれー!!!)
獅子王砕牙さん、姫路明日奈さん、ありがとうございました!
そして……これ、保育園児設定間違えたかな(汗)
なんでこう、年齢が高く見えるのか……(春:作者のせいです!)