雪湯気
朝、カーテン越しでも雪が積もっていることはわかった。白い輝く一面の景色がカーテンのその先にあるのは確実で、でもそれは今日通学するときの楽しみにしておこうと思った。冬の朝は夏よりも良い。なんせ冷たい空気はどことなく透き通った感覚がするし、あと雪という神秘的なものが、外にあることがワクワク感を出している。早く、学校に行って、学校から見た雪景色も見てみたいものだ。空に太陽が出ているわけでもないのに、輝いていると感じる雪景色は、何度見ても美しい。
ただ通学がバスに強制されるのはどうしても嫌なのだ。田舎だから、雪が降れば皆バスで移動するし、バスも一時間に一本だから混雑する。学生は同じ時間に乗るから人が多い。しかもバスの中は滑りやすくてとても安定したもんじゃない。一時間遅れなどざらで、バスを待っていたら、二つもバスが来たこともある。一本先のバスが追い付いてしまうのだ。そんなバスに揺らされて、学校近くの停留所に着く。朝の通学用なのか、そこに停まるのは朝だけだ。
学校はたいしてあったかくなってはいない。冷暖房は担任の権利のもと動くのだが、その担任がはるか遠くから通勤するため、僕らが学校に着くころは、担任は雪に頭を抱えているだろう。どれだけ早く家を出てもそうなのだから、まぁしょうがない。生徒で勝手に暖房をつける。
冬の学校は最高だ。なんせ体育が楽だ。だいたい寒いから屋内スポーツになる。まぁバスケとかバレーは好きじゃないけれど。特に最高なのは持久走だ。他のチーム戦とは違って誰にも迷惑をかけない、たった一人の責任。走るだけで時間が過ぎていくという素晴らしい種目だ。だからと言って、脚が早いわけではないけれど。
冬の放課後はさらに最高だ。コンビニでおでんを買って友達とつつく。雪と湯気が混ざり合った空間で、おでんの味が体のどこまでも染みて、寒さすら心地よくなる放課後。暗くなった時のバスは人が少ない。なんせ怖いのだ。なぜこの時間帯に緑の電気でバスの中を照らすのか理解はできなかった。
帰宅するとありえないぐらい暖かい空間が待っている。ご飯もあるし、猫もいる。こたつもあるし、おじいちゃんはずっとミカンを食べている。テレビでは冬の体を張ったバラエティをやっている。こんな幸せな空間が許されていいだろうか。
そして冬のお風呂。これがもう最高だ。熱い空間でシャワーを浴びる。湯船に浸かったときが至高の扉。ガッと窓をあけて、冷たい風がいっぱい入ってきて、露天風呂みたいな気分になる。雪がちらちら入ってきて、風呂の湯気と混ざる。田舎だから許される至高の造語、「雪湯気」。
この言葉がとても好きだ。特に語呂が。




