拝啓、三年前に死んだ婚約者へ
三年前死んだ婚約者に向けて手紙を書きました。彼に対する思いや死んだ当時の気持ちを綴っています。創作の参考にも使えるかもしれません笑。
いろいろ思うことはあるかもしれませんが、メンタルが豆腐なので、どうか批判的な感想はご遠慮いただけますと幸いです。なにか感じられるものがありましたら、スクロール最後↓の☆やいいねなどでもいただけると嬉しいです。
拝啓、三年前に死んだ婚約者へ
元気ですか。私は元気です、いえ、元気ではありません笑。
なぜ今更筆を手に取ったかというと、たまたま貴方の夢を見たからですね。葬儀場の夢でした。
なぜか貴方の死体がいまさら私の家にあって、普通にむき出しで置いてありました笑。(死体は綺麗です) そのうえ、「死んだ人の血はジュースみたいに美味しい」と言われていて、指に切れ込みをいれて、そこから血を流し、その血をコップに入れていました笑。やばすぎる笑。さすがに血を飲むことはしてません。
そのあとお葬式をしました。
火葬場に送る前に、なぜか火葬場がサービスでくれるオマケの無料キーホルダーとか、そういう謎なものばかり一緒に入れてました。
そのあとショッピングモールのいちばん上にいくと、火葬されたあとの貴方と出会えるということでした。
それまで奇想天外で意味不明な夢でしたが、死んだ貴方の骸骨を見て、泣いていました。実際の葬儀では、私は貴方の骨は見てません。ああ、顔も見れなかったですよね。見たかったのに貴方の親が"変わって"いすぎて、ダメでしたね。
骸骨が、実際の火葬のあとどこまで骸骨として残るかはわかりませんが、私の夢では、まあまあ骸骨としてわかりやすい形をしていました。
それで、実際の葬儀で顔の横に置いてもらったはずの私→貴方への手紙を、その時読みました。
その時の手紙には、私が今まであなたにできなかったこと、後悔していること、謝りたいことが書いてあって、でもそれもテンションがおかしかった笑。めちゃくちゃふざけていて、笑っていて、ギャグみたいな、楽しそうに書いてありました。
実際の手紙になんて書いたかは覚えてません。
これで夢は終わりです。
三年も経ったのが、許せないし、信じられないなと思う。あなたに対して許せないわけじゃない。なんだろう、世界かな。
私も貴方もずっとあの三年前から変わっていなくて、取り残されているのに、世界が三年も過ぎていることに許せないと思うのかもしれない。
死んで一ヶ月なら、まだいいんです。三ヶ月でも、半年でも、まだ大丈夫。でも一年経って、二年経つと、そして三年経つと、「まだそこにいるの?」と誰かが言う。
私はいつまで悲しんでいていいんでしょうか。いつまで止まっていていいんでしょうか。でも、世界はずっと時間が流れていて、自分も歳をとっていて。わたしは変われないし、止まっているのに、世界はずっと過ぎていく。貴方もずっと、最後に撮った写真のまま、26歳のまま止まっている。
三年前に恋人がいなかった子が結婚していて、三年前に結婚したばかりの子が子供ができていて、三年前に卒業した子が社会人になっている。
でもわたしはずっと留まっている。
もしかしたらもう既に〝貴方〟のせいではないのかもしれません。ただの私の心の弱さのせいなんでしょう。
だけど少なくとも、貴方が生きていたら、その数ヵ月後には結婚していて、新しい生活を一緒に頑張っていたはずだった。何かトラブルや乗り越えなきゃいけない壁があったとしても、ふたりで相談しながら踏みしめていくはずだった。
今のように、世間が目まぐるしく変わっていくのを、「取り残されている」と感じながら生きることは、なかったはずですよね。
一番時の流れを感じたのは、ポケモンのアニメ最終話が出たことですかね。サトシがついにポケモンマスターになる最終話です。
貴方はポケモンが大好きで、ゲームも沢山持ってて、私と一緒にめっちゃたくさん遊びましたよね。付き合う前にも、ゲーム機を貸してソフトも貸してくれたんじゃなかったっけ。それが私が初めて"そういう"ゲームをプレイした瞬間だったと思う。
一緒に厳選したり、ランクマッチで共同作業したり、ほんとに楽しかった。攻略動画を見るのも。わたしが「厨ポケは使いたくない!」とか「かわいいポケモンがいい!」とか「この子イケメンだからこの子使って欲しい!」とかずっとわがままを言っていたのに、一緒にどんな努力値振りにするか考えて、厳選して、頑張ったよね。
モンストも貴方に教わって始めたよね。貴方と一度付き合ったあと、別の人と付き合って、その人ともモンストをしたことがありました。でも、私から別れたのに、貴方とモンストしてるときのほうが楽しかった。
貴方ともう一度付き合い始めたときは、モンストもっと上手くなってましたね。それで一緒に禁忌やったよね。楽しかったな。私はプレイスキルもないし、キャラクターもそんなに持ってなかったから、いつも全部貴方に頼ってたよね。でもあの時間がすごく好きだった。
ゲームの楽しさは全部貴方に教わった気がします。私は幼い頃からゲームをほとんどできなかったから、下手くそだったし、ちゃんとできたこともなかったけど、ソシャゲから家庭内ゲーム機まで、いっぱい一緒にやりました。
貴方が死んでからゲームができなくなりました。ゲーム機がないからです笑。
貴方のゲーム機は、貴方の弟がもらっていました。多分弟は二台目になると思うんだけど、まぁ仕方ないね。
ハリポタのホグワーツレガシーがどうしてもやりたくて、人生で初めてゲーム機を買いました。プレステ5です。そのあと、兄にオススメのゲームを教わって、ウィッチャー3をやりました。
どっちもある程度遊んだけど、貴方と一緒だったらもっと楽しかったと思います。ひとりでやっても、私はゲームは楽しくありません。何万も出してプレステ5を買ったのに、遊んだのはその二作だけです。
モンストも、貴方が死んでからはやってません。運極に魅力は感じないから。禁忌に勝とうとは思えないから。貴方が一緒にいたから運極作りも楽しかったし、禁忌も楽しかったけど、ひとりではもう楽しくない。
ポケモンマスターになったサトシのアニメを見た時、「貴方はこれを見れないんだな」と思いました。「見ずに死んだのか」と思いました。「こんなに感動的で話題を呼んで、すごくいいアニメだったのに、見れないんだな」と思いました。
でも同時に、「見れなくてもいいと思うほど、死にたかったんだな」と思いました。
私はこの三年間、極力貴方を思い出さないようにしました。たぶんすごく大事で大好きで、最高の彼氏だった人を亡くした人の中で、いちばん泣かなかった女の子なんじゃないかな。
貴方の写真を見返したことはないし、貴方との思い出を振り返ったことはないし、今まで貴方からもらった手紙を見たこともないし、貴方とのLINEも見返していないし、貴方からもらったぬいぐるみを抱きしめたこともありません。
貴方のことは思い出したくなかった。
死んで最初の二週間は泣いてたよ。知ってると思うけど。
毎日神様に怒ってた。泣いてたというか、"泣き叫んでいた"が正しい。胸が"苦しい"ではなく、"引き裂かれる"が正しい。別に比喩でもなんでもない。本気で引き裂かれるかと思ったから。
貴方は知らないと思うけど、大事な人が死ぬと、胸が引き裂かれるらしいよ。喉がちぎれるくらい痛いし、頭痛は酷いし、声は枯れるし、でもまだ神様に言い足りないことが無限にあるし、でも泣けば泣くほど心が痛くて仕方なかった。心かな、心臓なのかな。
最初の日は、唐突に自殺されたことに、何も信じられなくてしばらく呆然とした。とりあえず布団に入って寝ました。寝て起きたら、「ああこれは夢だ」と覚めると思ったから。
実際その死んだことがわかる前、朝目が覚めた時に、貴方がいなくなる夢を見ていたんだよね。それで急に不安になってあなたに電話をかけたら、貴方の父親が出た。そして「息子は死にました」と言われました。
たまたま前日に地震があったので、「え…? 地震ですか?」と聞きました。「自殺です」と言われました。それで「あとで葬式の話とかはしますね」みたいなことを簡単に言われて、電話が切れた。
だからその日は一日、とりあえずこれも夢なんじゃね?と思いました。なので布団に入って寝て、起きたら夢から覚めてますようにと本気で願いました。これほど夢を願ったことはなかった。
でも、起きても夢じゃなかった。
次の日も夢だと願って寝ました。それはもう、神様に懇願しました。時間を戻してくれ、これは夢であってくれ、夢にしてくれ、自分の部屋で土下座して神様に叫んでました。ガチで笑。
こんくらい叫べば伝わるだろうというところで、寝ました。
でも夢ではありませんでした。
三日目か四日目で、お願いしても時間を戻してくれないことを知りました。
アニメであんなに見た展開なのに、本であんなに読んだシチュエーションなのに、私には起こらなかった。時間は戻らないし、夢オチという結果もくれないんだなって。
最初は、貴方が死んで、いろんなことを後悔したと思います。あの時LINEの返事をしていれば、あの日会っていたら、あの日誘ってきてくれたゲームにのっていたら、貴方は死ななかったんじゃないかと。
でも、なにを後悔しても無駄だと、二週間後くらいには悟りました。なぜなら、いくら何度、どんなに神様に願っても、時間を戻してくれなかったから。時間は戻らなかったから。
何億回願っても、どんな強く願っても時間は戻らないんだから、後悔してもしょうがないです。
それに、私があの日LINEを返していても、あの日電話しても、貴方は死を選んだかもしれない。だから意味が無いと思いました。ただ死ぬ日を延期するだけで、死なない未来はないと思いました。
私が、貴方が死にたがっていたことを知っていたら、話は変わっていたかもしれない。でも、今まで一切そんな素振りは見せなかった。……いや、貴方なりにはわずかに見せていたのかもしれないね。でも私は気づかなかったし、貴方も強く伝えようとはしなかった。
時間を戻しても、貴方が死にたがっていることを私は気づけない。貴方の話を聞けない以上、いずれ貴方は死ぬ。だから後悔してもどうしようも無いと結論づけました。
思い出を振り返ったり、あなたの事を恋しく思ったりする時間は全て無駄だと思いました。なぜなら死んだので。死んでいない人に思いを馳せる時間は無駄だと思いました。
それに、思い出して泣くのがなにより嫌だった。最初の二週間後が地獄みたいに辛かったから。泣けば泣くほど胸が痛くて苦しくて仕方なかったから。一切泣きたくなかった。
貴方のことを思い出そうとする度に、別のことで頭をいっぱいにして締め出しました。それでもたまにどうしても思い出してしまって、泣くことはあったけど、基本的には無理やり仕舞いました。
ちなみに私は一ヶ月か三ヶ月以内にマッチングアプリを始めたよ。知ってるよね笑。年齢も年齢なので、早く恋人を見つけなきゃいけないな〜と思ったからです。ちなみにプロフィールには婚約者が死んだと書いておきました笑。
でもまあ、上手く行きませんでした。
別に貴方のせいではない気はするし、貴方が死んだからでもない気はする。いや、真相はわからん。
あれから何度もマッチングアプリには挑戦してるけど、結局一人と一度カフェに行ったくらいで、あとはメッセージのやり取りがあっただけ。恋人はずっとできてません。
改めて、貴方以上の彼氏はもうできないだろうなと思ってる。今私が探しているのは、恋人でも、好きになれる人でもなく、限りなくあなたに近い誰かです。なぜなら貴方とだけはすごくお付き合いが上手くいって、毎日が楽しかったから。
これまでずっと、付き合ってきた人に、「なんで死にたいの? 俺と一緒にいるのに死にたいの?」と言われました。そのたびに「たかだか1〜2年付き合っただけのくせに、これまでの私の苦しみがお前ごときで解消されると思うな」と心の中でキレてました。性格悪笑。
でも、貴方がそう言うことはなかったね。そしてそう言われなかったし、貴方といて初めて、「死ななくていいや。このまま貴方と一緒にいられるなら、別にずっとおばあちゃんになるまで生きててもいいや」と思えました。
その貴方が自殺しました笑。
私じゃなくて笑。
私は昔希死念慮を持っていたし、精神的に不安定気味だったから、余計に何も言えなかったんだよね。まぁわかるよ。貴方と付き合ってた時はかなり落ち着いてたけど、それでも、何事においても頼っていたのは私ばかりだった。貴方はいつも私に優しくしてくれて、ずっとたくさん尽くしてくれて、なんでも相談にのってくれて、いつも楽しませてくれて、笑わせてくれて、そういう貴方だから、私に相談できなかったんだよね。
私が頼るばかりで、貴方が頼ってもいい空気を、私は一切作らなかった。だからあなたは自殺した。
私のせいで自殺したとは一切思ってません。実際違うでしょ。なんとなーく思い当たる事件(私と関係ない)があるし、何より、そのタイミングで実家暮らしをしていたせいだろうなと思ってる。
一人暮らしをしていたときは、よく私が貴方の家に行ってたもんね。でも実家暮らしを余儀なくされて、すごく苦手で居心地の悪い家族と一緒にいる羽目になったんだよね。私は葬式の時、貴方の家族からすごく冷たい目で見られたけど、私こそ言ってやりたかった。「お前らのせいで死んだんだろ。お前らの家で死んだんだぞ、わかってんのか。私が一緒に暮らしてたら、絶対死なせなかったからな」と。
貴方は私のことが大好きだったし、ずっとたくさん尽くしてくれて、ずっとずっと好きでいてくれて、いっぱい愛してくれて。おそらく「もう死にたい、死のう」と決めていたにも関わらず、律儀にもホワイトデーのお返しを私の家にわざわざ届けに来て、「家から出たくないから代わりに買いにいってほしい」と頼んでくるくそ彼女の、A4の缶も届けに来てくれました。
死ぬ前々日くらいは、「ねぇ、『愛殺』の結末ってどうなるの? ネタバレ知りたい」と、私の小説の『愛殺』を読み返してましたよね。
あれ、今思うと本当にムカつくんだよね。死ぬ気だったから最後に大好きな彼女の本を読んで、そのあと死ぬ気だから、最後までネタバレが聞きたかったんでしょ?
私は「ネタバレもったいないからしないよ〜!笑」と返したけど、教えなくてよかったなと今も思います。だってせこい。
だから貴方は最後まで私が大好きだったと思います。なぜか私にだけ遺書がなくて、そこは死ぬほどムカついたし、めちゃくちゃショックだったけど、まぁ……仕方ないね。
そもそも貴方の遺書、ガチで「遺書のテンプレネットから拾ってきたよ!」ってくらい、感情なかったじゃん。今まで迷惑かけてごめんなさい、こうやって死ぬこともごめんなさい、みたいな。しかも短い。なんやねんやばすぎる。
何にも伝わってこなかったよ、うん。何も理由はわからなかったしね。
兄弟はともかく、家族とは上手くいってなかったもんね。家族にも自分の気持ちを伝える気がなかったんだろうね。もちろん兄弟にも。
私には本当の気持ちを言いたいけど、やっぱり言えないから、何も書けなかったのかな。わからん。
そもそも、貴方のほうから私を好きになって、一度別れてもずっと私を好きで、それくらい私が好きだったから、私から離れてほしくなくて弱みをみせたくなかったのかもね。手紙を書いてお別れしたくもないし(彼氏のままでいたい)、勝手に死ぬことで私に合わせる顔がないし、どう謝ればいいのかもわからないしで、逃げたんですか?笑
私が最後にあげたバースデーカードが傍においてあったと教えられたので、まぁ、それでよしとします。とりあえず死ぬ前も私が好きだったことはそれでわかったので。
私は三年間できる限り泣かないようにして、思い出さないようにして過ごしました。
でもそのせいなのか、結局あれから何も進められてないよ。あれから一歩も進んでない。ずっと同じ場所に留まってる。
半年くらい前からやっとカウンセリングに通い始めました。その時に「思い出す意味が無い。怒っても泣いても彼は帰ってこないし、その気持ちをぶつけることも出来ない。だから無駄だと思ってます」と言い放った私に対して、カウンセリングの先生が、「思い出に変えていくために、少しずつ思い出さなきゃいけないんだよ。今の貴方の思いは、冷凍保存されていて、何かあるとすぐ鮮度ばっちりの状態で戻ってきてしまう。そうじゃなくて、だんだん風化させて、思い出にしなきゃいけないんだ」と言いました。
なるほどと思いました。
納得したので、できればまぁ「あまり思い出さないようにしよう」という心がけをやめることにしました。
今もたぶんその一貫で、手紙を書くことにしました。
私はあなたに怒ってません。
これもカウンセリングの人に、「どうして怒りがないんだろうね」と言われました。普通は怒るみたいです。
私が怒ってない理由は、まずは死ぬ理由がわかるからかな。死にたい気持ちがわかるから。死ぬほど苦しかったなら死ぬしかないし、むしろ死ねてよかったねとすら思う。しいていうなら、死ぬ気なら誘ってくれたら一緒に死んだんですけど?という感じかな。
もうひとつは、自分のせいだとも思ってるからかな。私のせいというか、「止められるなら私しかいなかった」よね。私が、貴方が私に頼ってもいい空気を作らなかった。私たちの間に、私が貴方を頼れる空気はあっても、貴方が頼っていい空気感がたぶんなかった。だからほとんど相談できなかったんだよね。
もちろん、あの時一人暮らしをしていて、私があなたの家によく遊びに行っていたら、貴方は死ななかったのかなとすごく思う。一緒にいるときは楽しかったし、寂しくなかったし、ましてや、私が隣に寝ているそばで首は吊らないでしょ笑。てか、私眠り浅いからゴソゴソやってたら気づくよ笑。
だから貴方を責める気持ちはありません。
死んだ理由が、なんとなく思い当たるものはあっても、漠然としていてよくわからないせいで、責める相手もいません。
だからどこに怒りをぶつけていいのかわかりません。
しいていうなら神様か…? まぁ、貴方の家族にも少し怒ってたけど、今もずっと恨みを持ち続けるほどじゃない。
「なんで死んだの」と問いかけたくても、「死ぬほど辛かったから」「その辛い気持ちを私が聞いてあげられると、その空気を作れていなかったから」と、すぐ答えが返ってくる。答えはもうわかってる。
だからこの問答に意味はない。「なんで死んだの」を責める相手もいなければ、答えのある問いを続ける意味も、最初からないんですよね。
私は貴方が死んでから、自分の愛がなんだったのかを調べました。愛の中には、イメージ的には「家族愛」「尊敬愛」「友情愛」「恋愛感情的愛」とか呼ばれるものがあるらしいんですけど、そのうち、私→貴方の場合、「尊敬愛、家族愛、友情愛」がものすごく高くて、「恋愛感情的愛」が少なかった。
貴方→私は、たぶん恋愛感情的愛が多そうだね。でもまぁ、家族愛や友情愛もあったと思う。たぶん尊敬はされてない笑。
そして貴方はたぶん、私に恋愛感情的愛を求めてたような気がする。でも私は、ここにはそんなに応えられてなかったかもしれない。それも、貴方が私を頼れなかった理由の一つなのかな。
この話をカウンセリングの方にして、「私はそんなに彼が好きじゃなかったみたいです。友情とか家族として愛していただけだったみたいです」と伝えたら、「それほど愛していたということじゃないですか」と返ってきました。その瞬間、何故か涙が止まらなくなりました。ちなみに今もです笑。
私はあなたに対して、貴方が求めていたような愛は抱けなかった……抱けなかったは嘘にしても、たぶん、求められているほどの量は返せなかったかもしれない。
でも、あなたが凄く大事でした。
今まで一緒にいて、初めて死ななくていいと思えた。
アニメや映画、ゲームをするのに、貴方と一緒にやるのが一番楽しかった。
貴方と一緒にいると不安になることがほとんどなくて、辛い思いをする瞬間がすごく少なかった。
貴方はいつでも私の相談にのってくれて、どんなことでも必ず返事をくれて、私が長文を送れば長文を返してくれた。三年付き合ってもなお、ずっとそうだった。
私は貴方のことを信頼していたし、一番大事だったし、ずっと一緒にいたかったし、一番楽しかった。
私は母親や妹のことをちゃんと大事に思っていますが(一応父親も)、正直、彼らが死んだほうがマシだと思ってます。なぜなら、家族が死んでも、もちろんすごく悲しいし絶望するし、今回と同じように泣き叫ぶと思うけど、"あなたがいるから"。
あなたがいたら、乗り越えられたと思います。
でも、今はあなたがいない。
あなたがいなくなって、一番辛い時期に、あなたはいません。なので乗り越えられません。
私は貴方を愛していたらしいです。
自分でもよくわかりません。
それに、エゴだったんじゃないかともよく思う。貴方には「安心して頼れる場所」を与えてあげられなかったのに、私だけは貴方を頼っていたから。貴方が好きな理由が、「私に居場所をくれたから、あなたが私をずっと支えてくれるから、ずっと好きでいてくれるから」ばかりで、あなた自身が好きなわけではないような気がしたから。
貴方からもらったものはたくさんあるけど、私があげたものはほとんどない気がする。貴方はこんなワガママ彼女と付き合ってて幸せだったんですか? なんでこんなに尽くしてくれてたのか、好きでいてくれてたのか、わかりません。
今マッチングアプリで同じように彼氏を探そうとしても、考えれば考えるほど私のステータスがゴミすぎて、勝負になりません。
なのになんで貴方は私をそんなに大事にしてくれてたんですかね。まぁ、死んだので、それも全部パーですけど。
私は墓参りに興味がなく、死んだ日にも興味がありません。
今も貴方が死んだ日は覚えてません。三月の下旬なことだけはわかります。ホワイトデーのあとですね。死ぬ直前にわざわざ律儀にも返してきたのでね。
墓参りは、"そこにあなたはいない"ので、行く意味ないと思ってます。貴方を思うとすれば、上のほうを見るので別に墓はいりません。
あと、「亡くなった」と説明するのが嫌いです。「自死」と説明するのも嫌いですね。もちろん誰かがそう表記してくれること自体は、私を気遣ってるのがわかるだけなので、なんとも思わないのですが、私自身は貴方のことを"死んだ"と言います。
なんでかな。「亡くなった」は他人行儀な書き方だからかな。自死よりも自殺のほうが個人的には距離感が近いからかな。
「亡くなった」と自分で説明して、「死んだ」という残酷な現実から目を逸らそうとしてる感が嫌なんだと思う。(他人がそうしてると言いたいのではなく、私が使うとそう自分で捉えてしまうという意)
別に彼氏は尊敬する相手じゃない。もちろん尊敬してるところもたくさんあったけど、亡くなったとは言いたくなかった。
貴方はただ死んだんですよね。
死んで私の前からいなくなった。
あなたに怒ってることがあるとすれば、「死んで私を悲しませたこと」ですかね。これは文字通りの意味ではなく、「自殺した時に残された者がどれだけ辛くて苦しいのか、それを分からせたこと」です。
自殺は、たしかキリスト教だと地獄行きだった気がします。
地獄行きと言われる理由も正直わかる。だって交通事故で全身車に轢かれたくらい痛かったから。轢かれたことないけど。
貴方の両親はクソだったかもしれないけど、多分私と同じように、全身轢かれたくらい痛かったんじゃないかな。
だから、もし私が自殺したら、私の母親や父親、妹は、これと同じ苦しみを味わうんだなと思いました。なので、そう簡単に自殺できなくなりました。「死にたい」とすら、言いづらくなりました。なぜなら死ねないし、死ぬ気も起こせなくなってしまったからです。
それに、私は、自殺したら地獄に行くと信じることにしました。そうすれば死なないから。親を私と同じ目に遭わせなくてすむから。
少なくとも死んだあとくらい、私は天国に行きたい。天国に行って、自分が理想だと思う、幸せだと思う世界で生きていきたい。
だから死ねないし、死ねないようにしようと決めました。
貴方が自殺しなかったら、私は貴方が自殺した苦しみで自殺していたかもしれません。
でも、貴方は自殺したので、私は死ねなくなりました。
選択肢がひとつなくなり、私は生きて前に進むしかなくなったので、これはちょっと恨んでます。そしてなにより、「なら誘えや」がめちゃくちゃあります。
まじでなら誘えや。
言えば一緒に死んだわ。
今まで死にたいって言うのは私だったし、私は誘われたら絶対一緒に死んだぞ。
なんで誘わなかったんや。
まぁこれも、言っても意味ないですね。貴方は死んでるんで。
ちなみに、貴方が生き返った夢も何度か見たよ。でもあのシステムはゴミだよね。
なぜなら、生き返ったと思って普通に暮らしていたり、喜んだり、泣いて一緒に話したりしてたのに、夢から覚めたら死んでる現実があるんだもん。いや上げて落とすなよという。
なら死んだことに泣いてる夢でいいわ。
もしくは、生き返った夢を永遠に見せつづけてほしいね。
この手紙で何を書きたかったのか、今も分かりません。
私はあれから、結局ずっと貴方を引きずっていて、新しい恋人もできなければ、新しい環境に身を置くこともできずにいます。
カウンセリングに通い始めて、ようやく心をなんとか整理しようとしていますが、まだあんまり進歩してない気がします。
三年経って、貴方を思い出さないようにするやり方は身についたけど、この傷が癒えているのかは正直わかりません。無理やり上から絆創膏で蓋をしたみたいな傷の手当をした気がします。
貴方は今何を思ってるんですかね。まぁ、天国に行ってて私が見えてれば、ですけど。
後悔はしてるんですか?
しなくていいと思いますよ、だって死にたかったんだから。
私をこんなに悲しませるとは思わなかったですか?
もしかしたら、私はあなたの事がそんなに好きではないはずだと、貴方は思っていたかもですね。だから、別に死んでも大丈夫だと思ってたのかな。
あなたは優しいので、「俺のために悲しんでくれてる! 嬉しい!」とは思ってないと思います。もちろん心のどこかでちらっと思うことはあっても、どちらかと言うと「ごめんね…」なんだろうなと思います。
まぁでも、自殺したいくらい辛くて、私が居場所を作ってあげられなかったので、別にいいですよ。
引き止めることはできなくても、「それほど愛していたんだ」と伝えられたら、よかったかもしれませんね。
別に恋愛感情的愛のほうが劣っているとも、家族愛のほうが優れているとも思ってないけど、私はむしろ恋愛感情的愛が少ないことを申し訳なく思っていたから、
でもそうじゃなくて、それくらい貴方が大切で、私が支える気がなかったとしても、私は貴方を必要としていて、大事で、ずっと一緒にいたいと思ってたことは、伝えられたら良かったですね。
貴方のことなので、仮に私が貴方を支えられる器を持っていなくても、「私はあなたのことがちゃんと大好きだった」って伝えていたら、踏みとどまったかもしれないですもんね。「そんなに愛してくれてるなら、頑張ろう」みたいな。
精神的サポートはできなくても、物理的に、「こういう事態に直面しても、私が○○できるから大丈夫だよ」とは言えたかもしれません。
まぁでもどうでもいいです。
私はこれからも、まだしばらく貴方のことを引きずると思うけど、とりあえずここでずっと留まっていようと思います。
ばいばい。
敬具
追記
なぜわざわざこれを表に出して、ささくれだった思いを誰にでも読めるようにしたんだろう、と考えました。たぶん、世界に取り残されたような気がしても、「私と貴方はここにいるよ。貴方はここにいたんだ」と、存在を確かめたかったのかもしれません。
なので、こうしていいねや☆評価などの反応をいただき、「今気づいてくれた人がいるんだな」「この数十分間、一緒に思いを馳せてくれた方がいるんだな」と、少し心が報われました。
長い手紙をここまで読んでくださり、ありがとうございました。