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露出狂と露天風呂

「うわぁ…ちゃんと銭湯だ…」

「でしょう?我ながらこれは完成度高いと思っているのよ。」


 横を見れば全裸。気にしないほうがいいな、うん。


「そこにシャワーがあるわ。」


 まじで銭湯じゃん。


「さ、洗いあいっこしましょうか。」

「マジでするんだな…」


 裸体を見せつけないでほしい。興奮しちゃうじゃないか。


 俺は渋々シャワーチェアに座る。


「よいしょっと。」

「は?」


 俺がこの反応になるのも仕方がないだろう。この女、あろうことか俺の上に座ってきたのだ、しかも向かい合うようにして。

 これが座位かあ。感慨深いなあ。


「じゃなくて!なんでここに座るんだよ。まだ空いてるだろ。」

「は?ここにちょうどいい椅子があるからに決まってるじゃない。」


 決まってませーん。ハイ論破。

 俺の中のひろ〇きを封じ込め、ついでに俺の息子も鎮めこむ。


「チッ、なんで勃たないのよ…」

「やっぱお前痴女だろ、ビッチだろ、ほら、お前軽いし、尻が。」


 そうしてリーシャの尻をつかみ、持ち上げる。


「ひゃうっ!」

「あ、やべ。」


 ノリと勢いでやってしまったがよく考えればこれ性犯罪だな。いや、あっち(リーシャ)も誘惑してきてるし仕方ないな、うん。

 ホテルまでノリノリで来たのに強姦を訴えるのは頭おかしいもんな。


「ちょ、ちょっと大胆すぎやしないかしら?私にも心の準備ってものがあるのよ?それにお風呂でスるのは危険だと聞いたことがあるわ、この後ならいくらでも時間があるのだからその時にお願いするわ。」

「あ、うん。ああ…」


 こいつはなんでここまでノリノリなんだ。俺なんかやったかな。


「ホント?今うなずいたわよね?言質とったわよ。取り消したいって言っても無駄よ、もう魔法で録音しちゃったから。」

「えぇ…」


 ホントにこの人怖い…

 もう興奮できねえよ、したらなんか終わりそうだし。


「さ、気を取り直して、洗ってくれるかしら。」


 リーシャは自身の胸の部分を指さす。


「は?こういうのって相場背中を流すんじゃないのか?」

「なに?嫌だって言うの?引きちぎられたいのかしら。」

「喜んで洗わせていただきます!」


 どこを引きちぎるんだろう。大体わかるよ、わかっちまうのが怖いよ、温かいはずなのに鳥肌止まんないもんね。


「早く洗いなさい。」

「はい!只今!」


 俺は心を無にして石鹸で泡を立てる。石鹸あるんだなー、すごいなー。

 続いて目をつむり、なるべく裸体を見ないようにしてリーシャの体につけていく。

 時々ぷにぷにと感触がするが、気にしたら負け。


「は?なんで目を瞑るのかしら。そんなに私の裸が見たくないの?ほかの女の裸は嬉々として見る癖に?許せないわね…やはり引きち「もうガン見させていただきますよ、ガン見!目に焼き付けないとなー!」それでいいのよ。」


 健全な少年には刺激が強いが、何とか堪えるしかない。

 ええい!ままよ!とにかく何が何でも終わらせてやるぜ!


 奮闘すること十分弱、途中で後ろも洗ってほしいだの大事なところも洗ってほしいだの言われたが、それも何とかこなし、後は流すだけとなった。


「よし、じゃあ流すぞ。」

「待ちなさいよ、私まだ洗ってないわよ。」

「ん?俺が洗っただろ?」

「言ったじゃない、洗いあいっこって。貴方は私の隅々まで洗ってくれたのだから、私も貴方の隅々まで洗ってあげないと不公平じゃない?」


 全然不公平じゃないです。ハイ。むしろ余計っていうか、まあとにかくやめてほしいです。


「いいから洗わせなさい!」

「無理だって!流石に!あってばっかの人間にそこまでさせれねえよ!」

「…ふーん。束縛(バインド)


 リーシャが厨二臭いセリフを言うと、俺の体が何かに縛られたかのようにして動かなくなる。


「ぐっ!なんだこれ!?」

「何も知らない貴方にこんなことするのは少々胸が痛むのだけれど…仕方ないわよね。じゃあ早速洗わせてもらうわ♪」


 結局三十分ほど拘束は解けなかった。

 三十分間耐えた俺をほめてほしい、ホントに生殺しで辛かったよ。


「風呂は露天なんだな。」

「そうね、ここら辺は特に夜景が綺麗だから、露天にしたのよ。」


 キチンとこだわって作ってたんだな、てっきりただのキチかと思ってたよ。


「うおぉぉ。熱いけどめっちゃ気持ちいなこれ。」

「でしょう?ここの源泉は全部聖水なのよ。」


 聖水かぁ…道理でとってもオーラを感じるわけだ。すごいなー、気にしちゃだめなんだろうなー。


「へー、すごいな。」

「ふふん♪」


 上機嫌そうに胸を張るリーシャ、決して小さくはないその胸が揺れる。刺激が強いな、ホントに。


「さて、本題に入るけど。貴方の境遇を教えてくれないかしら。」

「どういうことだ?」

「そのまんまの意味よ、貴方、ここの人間じゃないんでしょ?」

「…なかなかに鋭いな。じゃあ説明するわ、俺は日本ってところから─」

「そこは知ってるから言わなくていいわよ、なんなら貴方が十月四日の午後七時半にトウキョウトってところで生まれてサイタマの学校に通っていたのも知っているわ。っていうか貴方の個人情報や生体情報はすべて把握済みよ、八歳までベッドで粗相をすることがあったことも知っているし、過去に二十三回異性から愛を告げられているのも知っているわ、あら、同性にも五回ほど告げられているのね。」


 リアルタイムで掘り出されていく俺の記憶。ゾクッと鳥肌が立つ、いやな汗も止まらない。

 っていうか俺が午後七時半に生まれたのも知らなかったんだけど。俺でさえ知りえない情報をコイツは持っているのか…


 改めてリーシャに恐怖心を抱いた俺だった。

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