夢花火
疑いの目を向ける切っ先に
衒った文句で誇張する
いつか朗らかな口元の目的を
あからさまに解ってしまうものと
委ねている
横目で見ている
なまめかしい上唇の輪郭に
映る手と瞳と髑髏
切り取った筈のひとひらの記憶に
華々しく舞う夢花火
忘れたものを思い出すように
綴る なぞる 溢れた血と墨を
「昨年はどうも、けぢかしと。」
残ったあどけなさに付帯する
いつも不確かな口元の宥恕に
あからさまに縋ってしまうものと
切り取られた一節を追憶に
恭しく垂れる赤着物
置いてきたものを取り返すように
辿る なぞる 毀れた刃と物言を
昨日はどうも、気を無くして、
手の平を委ねし麗容な
君に問う初春の曇天は
「とても綺麗でした」と。