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異世界終末旅行 ~救世主として召喚されたわけだが、一足遅く異世界は滅んでおりました~  作者: 夜狩仁志
第3章 いこうよエルフの杜

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第39話 エルフの暇潰し

 弓矢と釣竿を手に入れた俺たちは、引き継ぎ村の探索を行う。


「カズヤ様、今度はイリーネおば様の部屋に向かいたいのですが?」

「今度はなに?」


「様々なゲームを収集、開発していた方です」

「ゲームだと!?」


 異世界に来て久しぶりに聞く単語に、俺のテンションは跳ね上がる!


「しょうがねーな~ 他にも探索しなけりゃいけねーのに。ちょっとだけ寄っていくか」

「ありがとうございます。では案内します」



 そしてやって来たイリーネおばさんの部屋。


 昔からある商店街のおもちゃ屋みたいな雰囲気の部屋で、室内ところ狭しと様々な玩具が置かれていた。


「暇な時間は、よくここに来てゲームをしたものです」

「スゲー数だな」


 長年、この世界のものを収集してきたのだろう。もちろんテレビゲームのような代物は存在しない。

 俺にとっては用途不明なものばかりだ。


「なにかやってみますか?」

「そうだな……せっかく来たんだしな」


「そうですね……では、ボードゲームなどはどうでしょう?」

「ボードゲーム?」


「自軍の駒を敵陣まで進めて、相手のキングを先に取った方が勝ちというゲームです」

「おお、それチェスとか将棋とかじゃね?」


「やってみますか?」

「おう」


 馴染みのあるゲームで、それなら俺にも出来そうだ。


「ではこちらへ」


 エリスに促され奥の部屋に案内されると、そこには一つの正方形のテーブルが置かれていた。

 それに俺たちは向かい合って座る。


 よく見ると、テーブルの上には等間隔の線が引かれ棋盤のようになってる?


「この上に駒を置きます」

「この机、全部そうなの? でかくね?」


 小箱からチェスの駒のような小さな人形を並べ始めながら、エリスが答える。


「はい。全部で縦横25マスあります」

「25……?」


「駒の種類は30種類あります」

「さ! 30!?」


「それぞれ名前と動き方がありまして……」

「ちょっと待て!! なんか多くないか?」


「なにがです?」

「いや、いろいろと、だよ!

 全てにおいて規模が大きすぎる!」


「そうですか? これが普通かと」

「歩兵だけで30もあんのかよ……」


「先ずは動き方とルールを覚えるところか……」

「無理だって、今から30種類の駒を覚えるのは!

 しかも、一回戦で何時間くらいかかるんだよ!?」


「そうですね……私が昔やりました時は、3日2晩……」

「やるか!  こんなもの!

 実際の戦でもそんなにかからんわ!」


「そうですね、確かに一からルールを覚えると、カズヤ様の知能では10日ほどかかってしまいそうですね」

「そういう問題じゃねえ!」


 迂闊だった……

 こいつはエルフで時間の感覚が人間と違うんだ。ましてや、故郷に戻ってきてから、エルフの生活様式が甦ってきてるんだ。


「では……レースゲームなどは、どうでしょうか? ルールなど難しくないので、よろしいのでは?」

「レースゲーム?」


「ダイスを転がして、出た数だけ駒を進めて、先にゴールした方が勝ちという」

「双六か? もしかしてスゴロク? それなら出来るんじゃね」


「分かりました。準備しましょう」


 たしかにスゴロクなら、難しいルールはなくて今すぐにでも出来そうだからな。


 ……で?

 エリスが持ってきてものは?

 トイレットペーパーなみの太さのある巻物?


 それをテーブルに広げる。巻物には双六のマスが蛇行しながらビッシリと描かれている。


「さあ始めましょうか?」

「なあ、エリス? その巻物みたいなの全部、そうなの?」


「はい、そうですが?」

「それ、クリアするのに、どれくらい時間かかるの?」


「2日くらいじゃないですか?」

「なげーよ」


「そうですか? ちゃんとダイスは専用の30まであるものを使いますので……」

「却下」


 双六するだけで俺の寿命が減る。

 リアル人生ゲームじゃねーか


「そうですか。残念ですね。ではカードゲームは?」


 もう何が出てきても信用できねえ。

 念のためカードというものが何か?聞いてみるか。


「カードってなに?」

「カズヤ様の世界の言葉で表現しますと……トランプと言うのでしょうか?」


「トランプ!? 4種類あって、数字が書かれてあるやつだよな?」

「そうですが」


 よかった。

 トランプは異世界でもトランプらしい。


「それならいいぞ。じゃあ、やろうぜ!」

「分かりました。準備します」


 そう言って棚から取り出してきたものは……


 なにそれ?


 マジかよ……

 百科事典みたいな、分厚いカードの束を持ってきやがった。


「で、トランプでなにやるんだ?」


「そうですね……


 100ならべ、でもしましょうか?」


「100……ならべ?」


「はい、これなら数の順番に並べるだけなので、ルールも簡単ですぐに出来ますよ」

「100……」


「50を起点として前後の数をお互い交代で並べていくのです」

「50……?」


「おい、エリス? もしかして、カードって100まであんの?」


「はい。

 トランプは火水土風の4種類、それぞれ1から100までありまして、合計で400枚。それと天使のカード4枚、悪魔のカード4枚を合わせて……」


「………多い」

「はい?」


「多すぎるんだよ、枚数が! 13枚くらいにしろよ!」

「それだとすぐにゲームが終わってしまうではないですか?」


「さっきから聞いてりゃ!

 スローライフがスローすぎるんだよ!

 エルフの暇潰しは、人間の人生に匹敵するの!

 あんたらのスローライフは、俺たちの寿命!

 エリスのスローに合わせると、俺は死ぬんだよ!!

 分かるか!? 

 エリスとゲームしてる間に、俺は死んじまうんだよ!!」


「そうですか? そんなに時間はとられないと思いますが?

 まあ、試しにやってみませんか? 先に2勝した方が勝ちということで」

「最低2回やれってことかよ? どんだけ時間かかるんだよ!?」


「今日中には終わると思います。夕飯の支度もしなくてはならないので」

「ほんとかよ……」


「勝った人が釣竿の所有権を持つということで」

「お!! ああいいよ、やってやんよ!」


 こうして、釣竿をめぐる白熱した戦いが始まり……



 長い激戦の末……



 決着がついた。



「どうやら私の勝ちのようですね」

「クソっ!!

 なんだよ、このクソゲーム!!」


 3回戦までもつれ込んで、結果エリスが勝つとか。


「89番と43番持ってんなら、早く出せよ!!

 こっちが何も出せなくなるだろが!」


「それも作戦なので。それに天使のカードを序盤で使いすぎなのですよ」


「最悪だ!!

 時間の無駄だったわ!」


 部屋を出ると、すっかり日が暮れて1日が終わろうとしていた。


「では帰りましょうか」

「あーあ!! 俺の貴重な人生の1日を、無駄に過ごしちまったよ!!」


「久しぶりに対戦しますと楽しいものですね」

「クソつまらんわ!」


 大層ご満悦なエリス

 結局、エリスが満足しただけじゃねえかよ!


「で、明日は何のゲームをしましょうか?」

「もう二度とやらねえからな!!」

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