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異世界終末旅行 ~救世主として召喚されたわけだが、一足遅く異世界は滅んでおりました~  作者: 夜狩仁志
第2章 塩街道で塩対応

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第23話 海と砂浜

 クマに襲われた(性的な意味で)俺は、明け方、無事エリスに救出された。


「なんで早く助けてくれなかったんだよ」


「少し興味がありましたので」

「なにに?」


「クマの交尾に」

「ふざけんな!!」


 いろいろとあったが……

 少し遠回りになったものの、無事に午前中には海までたどり着けそうな距離までやって来ることが出来た。


「そろそろ、海が見えると思います」

「本当か!?」


「あの林を抜ければ、海岸だと思われます」

「よし、もう少しだ!!」


 そう言われ、距離が進むにつれ、胸が高鳴ってくる!


 南国に見られるヤシの木のような林に入り、木々をかいくぐりながら進む。


 風が吹くたび、木々の匂いに混じって潮の香りが微かにやって来る。

 同時に、葉が擦れる音に合わせ、波が押し引きする音が聞こえ、いよいよ俺の興奮はマックスに!


 そして……

 林を抜けた光の先には……


「海だ―――!!」


 真っ白い砂浜!!

 海は透き通り、エメラルドグリーンの輝きを放つ!!

 遠くの沖は鮮やかな深い青色で揺れ、地平線は青い空と絡み合って、見分けがつかないほど大きく広がる!!

 押したり引いたりする波は、白いビーズのように散らばりながら砂浜に消えていく!!


 こんな綺麗な海、見たことない!!

 もしかしたら、俺がいた地球上では見られない光景なのかもしれない。


 見渡せば、三日月状に湾曲した海岸には、人もいないし物も落ちてない。

 俺たちだけの貸し切り状態の、プライベートビーチ。


 ああ、太陽がまぶしい!!

 海は反射して、真珠のように白くきらめく!!


 むこうの三日月の先端にある岬には、海鳥が群れをなして飛んでいるのが見える。

 それ以外には海岸付近には怪しげな動物は確認できない。


「海だ! 海だよ! エリス!! うみ!!」

「見ればわかります」


 なにする?

 泳ぐ?

 浜を散策する?

 魚、釣る?


「早く行こう! 海! 海!!」

「慌てないでください。準備が先です」


 こんな綺麗な海を目の前にして、冷静さを失わないエリス。

 木陰となっている林の中で、海が見渡せる場所に荷物を下ろす。


「ここを拠点とし、今夜はここで野営しましょう」

「おう!」


「その前に……」

「その前に?」


「準備をします」

「準備って?」


「海に来たのですから、もちろん着替えるんです」

「き、着替える!?」


 そ、そうか、そうだよね。着替えなくちゃなぁ。こんな服着てたら、邪魔だよな。


 海っていったら、あれだよね。水着だよね?


 ……もしかして今から水着になるの??


 ちょっと、この展開はドキドキするな。

 エリスが水着に着替えるんだろ?

 いつも仏頂面してるけど、体の方は……

 やっぱり年頃の女の子の体してるし……

 その……


 ヤバいな―― どう反応すればいいんだ?

 なんたって、女の子と二人っきりで海なんて来たことねえし。


 やっぱ、その……褒めるべきなんか?

 水着姿のエリスを?

 綺麗だねとか。似合ってるねとか?

 着やせするタイプ?

 安産型?

 きれいな肌だねとか?


 なんて言えばいいんだ?


「カズヤ様のもありますよ」

「え? 俺のも?」


「当然です。海に来たのですから」


 マジか――

 俺のもあるのか――

 異世界って、どんな水着なんだ?


 ムダ毛処理してないし。

 腹筋とか割れてないけど。

 大丈夫?

 俺のモヤシみたいな裸、見て幻滅しない?


「じ、じゃあ、どこで着替えればいい?」

「ここで構わないじゃないですか」


「こ、ここで!!」

「そうです。ちょうど日陰になってますので」


 周りに誰もいないっていっても、白昼堂々、太陽の下で着替えるってのも……


「じゃあ、エリスはどこで?」

「ここでですが、なにか?」


 !!!


「ここ、ここで? お、俺の目の前で?」

「はい。それがどうかしましたか?」


「い、いや、その、なんでもない」


 男女が同じ場所で着替えるの?

 異世界の海水浴って、これが普通なの?


「あ、あの俺、よく分かんねーから、先に着替えてくれる?」

「そうですか? では……」


 そう言うとエリスは、荷物をほどき中から布を取り出す。


 ほ、本気でここで着替えるの!?


 ……


 …………って、


 ……それ、水着?


 なんか、長くない?


 しかもそれを……


 着た!?


 服の上から?


 それって、ローブじゃね?


 フード付きの長い袖と、裾も足首が隠れるくらいのもの。まるで魔法使いが着ているような白いローブ。

 それを今着ている服の上から羽織った?


 フードの中に、金色の長い髪を全て納める。

 そして同じく白い布で口元を覆い、さらに白い手袋をはめる。


 結局、目だけを残し、全てを布で覆い尽くした。


「さあ、準備ができました」


 えええええええ!??

 これが、そうなの?


「エリス、その格好って……」


「これですか? 日光対策です」

「…………」


「照り返しもきつくて、肌が痛みますので」

「…………」


「潮風もよくありません。あと防塵対策も」

「…………」


「どうされたんですか? 楽しみにしていた海に着いたのですよ?」

「…………そう、だね」


 露出が皆無!!

 目しか見えない!!

 全然、海っぽくないっ!!


「エリスは海に入らないの?」

「はあ? 入りません。なんで入らないといけないんですか?」


「い、いや、そうなんだけど……」

「私はここで海水を煮詰めて塩を取り出しますので、カズヤ様は海水を汲んできてください」


「……お、おう」


 ……なんだよ、準備だとか、着替えるだとか。変な期待させておいて。

 がっかりだよ。


 ……別にエリスの水着姿が見たくて、海に来たわけじゃないけど。


 なんだか、せっかく海に来たっていうのに、つまんねーな。

 まあ、本来の目的は塩を取りに来ることだったから、間違ってはいないんだが。

 それにしたってさ――


「あとカズヤ様も海に行く前にちゃんと装備を整えてください」

「え? ああ、俺も、だっけ?」


「そうです」

「俺だけ水着になっても嬉しくないんだけど」


「さあ、これを身に着けてください」

「こ、これを!!?」


 ……


 …………


 エリスがわざわざ持ってきた装備品を、2人がかりで装備すること十数分……


「さあ、完了です。行ってきてください」


 ……


 ……なにこの、


 銀色に輝く、


 西洋甲冑?


 プレートアーマー、フル装備は??


「あの、すんごく重いんですけど?」

「どんなモンスターが潜んでいるか分からないのです。気をつけてください」


「いや、だからってさぁ――」

「いいですか、カズヤ様。ちょっとした傷でしたら魔法で回復できますが、切断や部位欠損、致命傷は治せないんですよ?」


「そうは言うけどさあ……」


 暑いし、重いし、動きにくいし。

 フルフェイスの兜が邪魔過ぎて、視界も悪い。

 こんなもん装備させられ、全然、楽しくもなんともない!!


「では、早く海水を汲んできてください」

「はいはい」


「あと、剣も忘れずに」

「……」


 右手に剣。左手に桶。

 全身フル装備。


 重くてしょうがねえ!!


 仕方ないので、この格好で海へ近づくことに。

 せっかくの美しい海、綺麗な砂浜が台無しだ。


 イライラしながらも、俺は真っ白な砂浜に足を踏み入れる。

 その度に重みで、ジャリジャリっと砂が鳴き声を上げる。

 そして遮るものがない海岸では、直射日光が容赦なく照り付け身体を焼く。


 暑いなあぁ……

 こんなもん着てるから暑くなるんだけど。


 しかし、エリスも心配性なんだよ。

 そんな危険なモンスターなんて、ざっと見渡したって見当たらないっていうのに。


 はあぁ……

 これじゃあ、本当に塩を取りに来ただけじゃないか。


 それにしても……


 暑いなあ……


 鎧なんか着てるから、風も当たらないし、中に熱もこもって……


 暑い……


 暑い……っていうか……?


 熱い!!?


 熱っつ――!!


 直射日光で金属の鎧がフライパンみたく熱をもって!!


 熱い!!!


 熱っ熱っ!!


 皮膚が焼ける!!


 ダメだ引き返そう。


 ……えっ?


 戻ろうとして体を捻ったときに、なにかに足を取られ、つまずいてしまった?

 いや、つまずいたというより……

 砂に足が埋まってる!?

 あまりの重量のために、足が砂に埋まってしまってる!


 ちょっ、ああ、ダメだ。

 両足、埋まっちゃって動かない。

 しかも、砂浜についた両手も沈んでいく?


 う、動けない!?

 あ、熱い熱い熱いって――!!

 背中が――

 焼けるように熱い!!!


「エリス、エリス――! ちょっと助けて――!」


 だ、ダメだ!

 兜が邪魔で、声がとどかない!!


「焼け死ぬってば、エリス! ちょっと――!」


 サウナ地獄状態の俺!!

 こ、このまま死んでしまうのか――!!?

 念願の海に辿り着き、そのまま焼け死んでしまうのかぁ!?



 ――数十分後。


 ようやく気付いてくれたエリスに救出される。


 鎧のサウナで蒸し焼き状態になった俺は、身体を冷ましに川まで引きずられていく……


「だから言ったではないですか! 海は危険ですと!」

「いや、それ以前に、この装備が悪いんだよ……」


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