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異世界終末旅行 ~救世主として召喚されたわけだが、一足遅く異世界は滅んでおりました~  作者: 夜狩仁志
第2章 塩街道で塩対応

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第21話 スライム狩り

 期待と不安の入り交じる中、俺はエリスと共に海へ向けて出発する。


 天気は晴天! 

 絶好の旅行日和!!


 ホンダさん(白馬)スズキさん(ポニー)に荷物を載せ、川沿いをゆっくりと進んでいく。


 川を目印に進んでいくことで、方角的に迷わないようにする。この川を辿れば目的地の海へと続いているので、必ずたどり着ける。

 下れば海へ。逆にはぐれたり迷子になったら、川を上れば拠点に戻れるというわけだ。


 それに容易に水が手に入るのと、食料に困ったら魚を捕まえられる利点がある。

 あと、万が一危険なモンスターが現れたら、川の中に入って逃げるという理由もあるようだ。


 スズキさんに乗りながら、ざっと周囲を見渡すも、怪しげな生物は見られない。

 ただただ、のどかな草原が一面に広がるだけだ。


 ……なのだが、

 ところどころ転がる骨やら廃墟が、どうしても目に入ってしまう。それを除けば実に素晴らしい景色なのに。


 しかも……


 荒れ果てた街道を進んでいるのだけれども、ちらほら異形の大きな骨が転がっているのを見つけると、なんだか不安になってくる。


 こんなのが襲ってくるとしたら……


「あ、あのさあー エリス?」

「なんですか?」


 先を進むエリスに、背中越しに尋ねる。


「いちおう聞いておくけど、変なの出てこないよな?」

「変なの、とは?」


「ほら、ライオンとかクマとか、ドラゴンみたいな……狂暴な生物」

「精霊や、周囲を飛び交う鳥達に尋ねてみてはおりますが、特にそのような生き物は見当たらないと」


「へ―― 便利なんだな。精霊とか鳥と会話できるなんて」

「カズヤ様は会話できないのですか?」


「…………でき……ない」

「まずはこの世界の言葉を覚えませんと。戻りましたら言語の勉強です」


 えぇ~~

 異世界に来てまで勉強すんのかよぉ~~

 嫌だなぁ~~


 まぁ、

 狂暴なモンスターはいないと聞いて安心したけど。

 逆に弱いモンスターとかいないのかな?

 ちょっとRPGゲームみたいに、レベル上げとかしないと。

 この先、生きていけないんじゃない?

 言語よりも、力と技と防御力とか優先じゃないの?

 ちょうどこの辺でスライムなんか倒して、レベル上げとかした方がいいような気がする。


 俺はエリスに横付けして、様子をうかがうようにして聞いてみる。


「ところでさーエリス? この辺にスライムとかいないの?」

「すらいむ?」


「あの、青いの? ゼリーみたいな、一番弱いモンスターで」

「……?」


「いや、だからスラ……」



「はぁああ??」



 うっわ――


 めっちゃ、変な顔された!?

 こいつ、なに変なこと言ってんの? みたいな表情で!!


「えっ、スライムだよ。いないの? 最弱のモンスター? ドロドロのブヨブヨの?」

「何ですか? それは? スライム?」

「いや、そのなんと言うか……」


 えっ、なに?

 本当にいないの? この世界には?

 もしかしてあれって、ゲームとかの世界の話なの?


 ……たしかに、アメリカやイギリスに行って、道を歩く人に「スライム、どこにいますか?」って聞いたら、今のエリスの反応みたいにドン引きした表情で返されるだろうけど。

 そういう感じなの?

 この世界って?


 うわー!!

 そう考えると、くっそ恥ずかしいんだけど!!

 確かになんなんだよ、スライムって!?

 バカじゃないの、俺!


「カズヤ様? もしかして……ナメクジのことですか?」

「えっ!? そ、そう!! ナメクジ!! 巨大ナメクジ!!」


「そういえば、最近見かけないですね」

「そーかー そうなんだなー なら、しかたないな――」


 ふぅ……

 危ないところだった。

 変なこと言って、エリスにバカにされるところだった。


「その、ナメクジがどうかしたのですか?」

「いや、ちょっとモンスターを倒して、経験値を稼いでレベル上げて、ステイタスを上げようかなって」


 そう言って自慢するように剣を取り出し、振り回して見せる。


「やめて下さい。そんな物騒なもの振り回すのは。私に当たったらどうするんですか?」

「……す、すいません」


「そもそも、経験値って何ですか? レベル?ステイタス?? 社会的地位の事ですか?」

「あ――えっと――」


 しまった。また変なことを言ってしまった!?


 ……そりゃそうだよな。

 外国に行って「経験値を稼いでステイタスを上げます」って言いながら剣を振り回してたら、すぐさま警官に逮捕されるか射殺されるかだよ。


「あの……なんというか練習?訓練? 実戦で剣の技術のレベルを上げようかと。ステイタスって、能力値の成績表みたいな感じかな?」


「訓練は結構ですが、無益な殺生は控えてください。そんな下手くそな剣技の稽古のせいで、尊い命を奪おうとしないでください」

「ぅっ……すみません」


「必要以上の戦闘は避けてください。やむを得ず、身を守るためだけに攻撃をしてください」

「…………はい」


「レベル?ステイタス?成績? それなら私が評価してあげます」

「…………はい」


「カズヤ様の現在レベルは0です。ひよっ子のヒヨコです。チキンです」

「…………」


「ステイタス? 言語0 防御力2 攻撃力3」

「…………」


「魔法も使えないんですから、魔力0 知力も0」

「…………」


「体力1 素早さ1 容姿0 貯金0 収入0 将来性……」


「もういいいよ!! ステイタスの話はもういいって!!!」


 ちくしょう!!

 好き放題、言いやがって!!


 なんだよ、収入0って!!


「しかし、ナメクジ狩りなどとは。なぜ、弱い者いじめをしようとするのですか? 救世主ともあろうお方が?」

「あ? そりゃあ……もっと強くならないと、いけないだろ?」


「…………強く?」

「強い敵が現れたら、倒されないくらいに……いざとなったらエリスを守れるくらいに……」


「そう……ですか……」


 もうちょっと俺がしっかりしてれば、いいんだろうけど。

 俺が海に行きたいなんて言い出したんだから、陸サメとか鳥サメなんかが来ても、撃退できるくらいの力がなければ……


「…………では、教えましょうか? この辺りで一番弱い生き物を」

「えっ? ああ、なんなんだよ!?」


 急に真剣な表情になって立ち止まったエリスは、俺のことをジーっと見つめながら口を開く。




「カズヤ様です」



「……はあ?」




「この広い大地に、無防備に歩き回るレベル0のチキン。カズヤ様が現状では最弱です」

「…………」


「他のモンスターにとって、格好の餌食です」

「……マジか?」


「迂闊な行動は慎んでください。モンスターの経験値にされますよ」

「うっ……」


 俺って、もしかして……

 他のモンスターから見たら、スライム的存在なの?


 ちょっと、ヤバくない?

 無事に海に行けるか不安になってきたんですけど?

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