第7回 ロシア孤立の中で、日本の課題と最悪のシナリオ
100という切のいい数字に対して、日本のマスコミは他のニュースをメインにしている。日本の外交や経済対策など大きく誤った政策を適切に分析出来ないからだ。いわゆる国際協調路線で、日本の外交が如何に不甲斐なかったか。そして経済制裁や円安で如何に国内産業や国民生活が如何に苦しくなってきているかなどという記事がない。コロナも実態評価を先送りして、先を捉えた記事が全く書けていないところだ。結論からいうと日本はこうあるべきといった考えに掘り下げるどころか、政府の風見鶏と参院選の駆け引きを狙うような、くだらない政治論の記事にすり替えようとしている。首相のNATO会議出席のシナリオづくりに、いつものヒゲ顔が出たのは人気取りの茶番そのものだ。
簡単に言うと、次の3点が全く見えていない。
①今後の対ロシア政策をどうするか
北方領土問題やLNG等の政策を見直すのか否か
②極東の軍事バランスをどうするか
ロシアや北朝鮮、中国との軍事バランスを見直すか否か。米軍の有事の際の日本支援とは具体的に何なのか。
③経済制裁とコロナによる経済影響をどう立て直すのか
経済制裁の目的や成果を明確にせず、我慢や税負担を強いている状況に、国民目線でその中身を説明する役割をマスコミは放棄している。政府に聞くこともしない。詐欺が横行する給付金の実態にも踏み込む力がない。
この状況は、政府も政府ならマスコミもマスコミで、臭いものに蓋をして、人気取りに励む実態を露骨にあらわしている。そして野党の極端過ぎる平和主義思想は、現実から逃げるが勝ちという、風向きによってイザとなったら役に立たないといった今の状況を証明しているようなものだ。
そこで、ロシアのウクライナ侵攻100日にあたり、また何人かのメンバーに集まっていただき、日本の軍事バランスにフォーカスして話をしてもらうことにした。僕もこの点は持論がある。今の実戦経験の無い自衛隊員は、ゲリラ部隊の攻撃で何倍もの被害を被る。避難を知らない日本の民間人が大量に犠牲になり、敵に人の盾として利用され、虐殺や性暴力に遭う。ウクライナと違って民間人で武器の使い方を習得しているものはほとんどいない。だから、金を掛けて高い武器を買うだけでは、テロリストや北朝鮮の組織的な武力にも刃が立たないと思っている。
さあ、それでは今みえている日本の課題と最悪のシナリオについて、はじめに自己紹介を兼ねて日本の課題を話してもらう。
●先ず、課題について
最初はアメリカJ.T
「やはり、僕がはじめになると思っていた。ウクライナの状況は今はブレーキを掛けられた状態だと言える。何故かと言うと、西側やそれに賛同する国がウクライナを強力に支援すると、ロシア軍が大打撃を受けることが、この100日の間に判ったからだ。でも、それは徴兵制度があったり、民兵組織がある国の場合で、日本には全く当てはまらない。おそらく今の日本は仮に北朝鮮が攻めてきても自国の自衛隊だけでは勝てないと思う。アメリカも今の本音は日本の自衛隊に戦死者が出るような地上戦は、全部任せたいし民間人との英語でのコミュニケーションが先ず課題になる」
では、韓国K.O
「アメリカJ.Tと見方は同じだ。このままウクライナが西側の支援で勝ったとしても、ロシアとの関係は悪くなる一方だし、停戦後の軍事境界線の問題が常に浮上する。実態として北朝鮮と韓国のように38度線で切れるような単純な区分は無理だ。例えば、親露と親ウクライナの混雑する地域や海域の複雑さからも無理だし、将来に火種が残ることになる。日本の場合は、調べたら今の北方領土の領域設定を軍事的に捉えていないことが判った。もし、この状態で返還されてもロシアとは頻繁にトラブルが起こるだろう。ロシアは北方領土にロシア人が残るかぎり、侵攻のカードを常に切れる状態になる。それを議論しない今の政治やマスコミは物足りないと思う」
次はNATO国のドイツM.B
「冒頭で、カズが言った日本の首相が次のスペインの全体会議に出るという話は、僕はノーマークだった。その対応にNATOの関係者が時間を避けるほど、現状は余裕はないはずだ。自衛隊や武器供与とか何かのお土産付きでもなかったら、笑い者になる。よっぽど暇だよねってね! 今の主要課題はNATOとしては二つ。一つは加盟交渉の非公開化で、特に今回のように国際規範から逸脱した脅威が相手国から与えられている場合だ。そして、難しいバランスのウクライナ支援と停戦合意についてが中心だ。そのために日本が自衛隊を東ヨーロッパに派遣すると言うなら、かなりのサプライズだが、総理が言っても、たぶん冗談だと思われるんじゃないか。もっと現実的な見方をしろってね」
では、最後にトルコE.Y
「今回のロシア侵攻100日の話はトルコでは、あまり重要視されていない。エルドアンも経済や国内情勢の悪化にウエイトを置いている。トルコでは、クルドの話は常に意識されていて、ロシアの侵攻は本音ではクルドの寝た子を起こすことになったので、そこに釘をさしたら、西側のマスコミが強く取り上げただけだ。ハッキリ言えば、トルコの経済発展にロシアの侵攻はマイナスだし、他の反対派勢力の活動を刺激するだけだが、冷静に考えれば、ロシアは先進国から取り残された旧体質の国だと言うことが今回のことで明らかになった。日本もトルコも同じく、国連も周辺諸国も、ロシアとの今後の付き合い方を再考しないといけないと理解しているはずだ。でも、日本は政治のリードが前からボトルネックになっている。国際舞台でのパフォーマンスや駆け引きは最低レベルだと思う」
●次は、日本にとっての最悪のシナリオについて
僕のシナリオは、先にみんなに送っている。いろいろ意見があると思うが、前から言っているように、要は核やミサイルで遠距離から攻撃される脅威は実態上防げない。必ず相手のスキを狙って攻撃するものだし、当然、やれば目には目を歯には歯をの対抗措置が待っている。
弱点は、日本は脅しやテロ予告、未遂の対応に不慣れで何でも穏便にという、例の平和的解決と言った被害者だけが傷付くやり方に慣れている点だ。それは、今の情勢からえぞらごとだと言えるのに、例えば…の話しもしてはいけない雰囲気を出している。マスコミは政府が回答できない質問はしてはいけないと言われているらしい。
それでは、最悪のシナリオに関してポイントを絞って意見をお願いする。
アメリカJ.T
「やはり、今は対中路線のダメージを踏まえて、日本の経済や産業の立て直しをしないと、経済的な脅威で中国に支配される危険性が高いと言える。中国は台湾より日本を支配できれば最高だと思わないか! 日本は優し過ぎるし、アメリカのように大統領令で対抗措置がタイムリーに出せないから、中国にやられっぱなしの状況なのに、誰も疑問に思わないどころか、自由経済だからなどと法規制も考えない。経済や情報という新たな侵略に無関心すぎると思う。国際ハッカー集団にいくら企業が支払っているか調べられないという、監査制度も諸外国から見たら笑われるレベルだ」
韓国K.O
「今のJ.Tの話は韓国にも言えるが、北朝鮮問題は今年は史上最悪のレベルだと言われている。農民が飢えて食料を逆に配給されて、コロナ感染が拡大し、そしてトップの暴走が激化している。ウクライナの報道は、北がこれまで核開発やミサイル開発を中心に置いた方針とかなり違うと受け止められているはずだ。旧型の戦車や火砲は無人航空機やドローンに勝てないと解って、早く核弾頭付きのミサイルを完成させろと言われて、いま試作と称して命乞いの発射実験をしている。このミサイルが間違えだと嘘をつかれて日本に飛弾したら、おそらく日本はごめんなさいを許すたろう。北は逆に国内に大成功をアピールし、拉致被害者の一部を返すと言うシナリオが最悪かな」
ドイツM.B
「じつは。NATOの加盟国を極東を含めたロシア近隣諸国に拡大する提案が前からある。どう見ても、今の国際規範の最大の脅威国はロシアなのに、一部だけの安全保障は弱いと考えられてきた。実際、極東のロシア軍がウクライナに派兵されるから、パフォーマンスでロシア海軍が極東の軍事力を見せ付けている可能性は否定できない。今の極東の対ロシア軍事力の中核は、アメリカ、カナダ、韓国、そして日本という軍事的には最強クラスになり、これに経済圏がリンクすると、中国としてはかなりの脅威だ。たぶん中国は、ロシアが日本に武力行使したら、その軍事同盟が作られないように、日本に何らかの圧力をかけるか、ロシアに待ったをかけるかというシナリオだが、ボトルネックは日本の憲法改正に時間がかかり、その間にクリミアのように占領されて、軍事的なカードにされることだ。経済面を含め、かなりの被害を覚悟する必要がある」
トルコE.Y
「知っていると思うが、トルコと日本は歴史的にも古くから友好関係にある。日本人は素晴らしい。だが、その素晴らしさは周りから見れば妬みや、あわよくば奪う理由にもなる。日本が自分たちのいいなりになってくれれば、ロシアや中国、アメリカもそれは喜ぶ。最悪のシナリオは、日本がどこかの国の脅威を少しでも受けたとき、日本を守ると言って他の国が過剰に攻撃を仕掛け、そこから第三次世界大戦が始まる可能性があるということだ。特に、ロシアと北朝鮮は、すでにイエローカードを二枚もらったと言ってもいい。日本の安全保障は世界の重要課題であり、もし日本が戦争に巻き込まれたら、経済も食料もエネルギーも世界的なダメージを受ける。間違いでは済まされないレベルの話だ。だが、日本の政治やマスコミは、日本が戦争に巻き込まれたときの世界レベルの影響をあまり考えていないと思う。その視野の狭さが、いざというときの判断ミスになることが最悪のシナリオであり、最大の課題だと言える。これは、カズと一緒の考えだね」
なるほど! 最後の〆めはいらないようだね!
みんなありがとうm(_ _)m、また宜しくたのむよ。
〜〜つづく〜〜
作者(文責)kazu.Nagasawa