生徒会への挑戦状
「うーん、名付けるとすれば“ダイエット大作戦”ってことで!」
生徒会長のくせに適当なことを言うーー俺は思いっきり軽蔑した目で彼を睨み付けた
「なんだよー。不満か?作戦名まで授けたのに」
「そりゃ呆れますよ。わずか十数センチ開いた状態で固まった、この生徒会室の扉を開けるのに“通れるぐらい痩せて中から開けろ”ってバカですか!固まってるんだから、中からだろーと外からだろーと開かないものは開かないんですよ!」
「やってみなきゃ分からないだろ?それに最悪開かなくてもいいんだ。生徒会室に隠しているヤバイやつが回収できれば、業者に直してもらう。期限は一週間。それまでに痩せて、なんとか入ってみてくれ」
確かに生徒会室には、主に会長が持ち込んだ漫画やらゲーム機やら、教師にも一般の生徒にも見られたらまずいものが多数収納されている
証拠隠滅が目的か……ーーがっくり肩を落とした俺の横で、生徒会の頭脳である会計が口を開いた
「これ、向こう側に音声認識装置がついてますね」
「は?」
会計の指差す方を見ると、確かに集音機能のありそうなマイクのような機械が取り付けられている
「何か合言葉を言えば開いたりして」
「そんなバカな……」
しかしすっかり乗り気な生徒会長は、目を輝かせて思案している
「俺たち生徒会に関わる言葉だろうな……
会長天才!
会長イケメン!
会長大好き!」
廊下に会長の声がむなしく響く。
いじけてしゃがみこんでしまった会長は放っておいて、会計と俺はさらに言葉を挙げてみた
「部費よこせ!
部屋を私物化するな!
不正選挙!」
「案外オーソドックスな言葉だったりして……」
言われて、俺は適当に呟いた
「開けごま!」
カチッと音がして、目の前のドアが静かに開いた