贈り物
「婚約指輪って地味にもったいないと思わない?」
「ん?どういうこと?」
「さっきの番組でやってたプロポーズのやつ観てて思ったんだけど…婚姻したら結婚指輪するし、高価なのに出番少なくない?最近は2連着けする人もいるけどさ。私たぶん仕舞い込んじゃう。」
「大事な物は仕舞っておきたいタイプだもんね。でも、プロポーズ指輪をパカッてされるの嬉しいものじゃないの?」
「嬉しいとは思うけど、期間の割に高価かなと。」
「そうか…となると花束の方がいいの?記念に残せないけど。」
「そうしたら、ドライフラワーにして飾っておく。」
「保管するもの増えちゃうね。間違って捨てたら怒られそう。」
「鬼怒りするかもしれない。」
「ははは。君にプロポーズする時の参考にしておくよ。心配だから花束はやめておこうかな。」
――
「僕と結婚してくれませんか。」
… パカッ
「…!っふふ、ふふふ。はい、よろしくお願いします。」
――
「確かに随分前、婚約指輪がもったいないって言ったのは私だけど… さすがに、プロポーズでパカッとするのは印鑑じゃないと思うよ?」
「色々考えたんだけど、贈るならコレしかないなって思って。嫌だった?」
「嫌じゃないし、嬉しかった。けど、私じゃ無かったら怒ってるかもよ?」
「君の為だけに考えたからね。君に喜んでもらえるなら、一般的じゃなくてもパカッてするよ。この苗字の実印なら、まだ持ってないだろうし、指輪より実用的で、花束より保管しやすくて、記念にするにもちょうど良いかなって思って。あまりかっこ良くないし、ジョークだと思われないか心配だっだけど。」
「ちゃんと考えてくれてたんだね。ありがとう。」
「婚約指輪を買おうと思って貯めてたから、いっそ差額で結婚指輪のグレードアップしちゃおうか。」
似た者同士なのか、似てきた二人なのか。
※ご注意※
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