第8話 討伐キモータ!
「では、冒険者ユエ様シンジ様! クエストにいってらしゃいませ!」
俺達は新たな街に着いたので、さっそくクエストを見つけ賞金稼ぎに出かけた。
「シンジーなんでいきなりクエストなんですか? 私ちょっと疲れてるっていうか……ダルいっていうか……」
歩きながら体を小学生男児みたいにくねくねとさせるユエ。
……昔やったな、先生に向かって。
やったら、ゲンコツ喰らったけど。
「嫌なら休んでていいぞ、ユエはお子様だしな。疲れたなら仕方ないギルドで待っててもいいぞ」
そう笑顔で言ってやった。
「だーれがお子様ですか! ここに美しき優雅なレディが見えないんですかバカシンジ! いいですよ、クエストやったりますよ!」
顔をふくらませて怒る美しき天使(笑)。
うんうん、やる気になってくれて俺は嬉しいぞ。
「ところで、仕事とは?」
「あー、『緊急クエストキモータを倒せ』ってやつ。難易度は女子ならSランク男子ならEランクって書いてたから選んだ」
「ちょっとぉ! 私女子なんですけど!?」
「大丈夫大丈夫、このモンスター女子が好きらしいけど小さい子には紳士的な優しさを持って接するって書いてるから」
「だぁれがロリガキですって! もー許しません!シンジ!」
「そこまで言ってないだろ!」
ギャーギャー騒ぎまくる俺達。
騒いで歩いてたらいつの間にか大きな原っぱに来ていた。
「ねぇ、焼肉食中毒患者こんなとこまで来ていいんですかね」
「大丈夫だ、天然ロリっ子小学男児天使。この辺に出るって話だ」
俺達は真面目な顔をして敵を警戒する。
罵倒し合いながらもなんだかんだ言って場は弁える。
だって襲われるの怖いし。
「出てきたら優しくなるビームだ。いいな」
「はい、そしたらシンジ操って川にドボンで」
互いに顔見合せ頷く。
その瞬間そのモンスターは現れた。
白いぬめぬめした大きなミミズな様なモンスター。
そいつはくねくね体を動かしてやってきた。
……うっわ、気色悪っ!
通りで女子の適正ランクが高いわけだ。
こんなのに襲われたらショックで寝込むわ。
「喰らえ! キモータ! 優しくなるビーム!」
ユエは手を前に持ってきてビームを撃つ。
ビームを撃たれたキモータからはハートが出ている。
「シンジ! キモイので早く川に沈めちゃって!」
「任せろ!」
糸を出してモンスターに刺す。
主導権を手に入れた俺は彼を川の方へと歩かす。
そして川に突っ込み溺死させた。
ぷかぷかと流れていくキモータ。
それに対して手を合わせる。
南無南無、俺の経験値になってくれてありがとさん。
「ナイスシンジ! やっぱ私達は最高のコンビですね!」
さっきまで罵倒しあってたのによく言うよ……。
まぁでも悪い気はしない。
「おう!……そうだこいつの賞金見てなかったな。えーなになに? 一体につき10万……10万テッサだって!?」
難易度が簡単なやつを選んだから安いと思ってたら凄い美味しい仕事たった。
まじかよ、こんな楽勝に勝って10万とか最高かよ!
「シンジ、もう一体いっちゃいます?」
「あぁ勿論だろ! ユエ次の作戦はこうだ! お前が囮になって……」
そう言いかけたら彼女の拳が飛んできた。
そして、俺の頭蓋骨が吹っ飛んだ。
「バカシンジ! 何言っちゃってんですか! そんなことしたら可愛いユエさんが大変な目に会いますよ!」
「いや、大変な目にあってるの俺だから……ごめんなさい。顔を拾って下さいユエ様」