第7話 腹話術はネクロマンサーの得意分野！？
「いたいた！ マコトちゃん！ 大丈夫かい！？」
「ええ、大丈夫よ。それより彼らは怪しい人ではなかったわ」
「本当かい！？ ……それにしてもマコトちゃん。なんか白目むいてない？」
ザワザワし始める村人達。
……やばいやばい、そもそも無茶な話なんだって！
生きてた人間を操るなんてさぁ！
「どーすんだよユエ！ お前何してくれてんのぉ！」
「えっとーははっ！ このまま逃げましょうか！」
倒れてるマコトさんをおいて走り出そうとするユエの手を掴む。
逃げるなんて卑怯だぞ！
それに逃げた方がやばいだろうが！
「じゃあどうするんですかもう！ このままだと私達犯罪者ですよ犯罪者！」
「とりあえずマコトさんを起こそう！ ユエなんかないか！」
「エンジェルキッスとか……でも嫌です！ 私のファーストキスをこの人にあげるなんて！」
エンジェルキッスってなんだと聞くと。
天使の愛の力で回復するスキルですと答えられた。
……つかえよ！
「お前のキスで戻るならそれでいいじゃねえか！」
「いやー！ 天使の愛って貴重なものなのにー！ というかスキルならシンジが使えばいいじゃないですか！」
彼女は俺に指をさしながら言ってきた。
おいおい、ちょっと待て。
それってまさか、俺にこいつを操れって言ってるのか！？
いや、そもそも、こいつ死んでないよな。
試しに糸を刺して動かしてみる。
するとなんか動き始めた。
「シンジ！ これしかありません！ 声の方は私が腹話術で何とかします！」
そんなわけで俺は彼女動かしている。
「あのーマコトちゃん本当に大丈夫？」
「黙らっしゃい！ 私が大丈夫といったら大丈夫なの！」
白目むいたまま、パクパクと口をさせる彼女。
ごめんなさい、ごめんなさい！ ほんとすいません！
「本当にこの人達普通の人なんかねぇ……骨だし」
「お黙りババア！」
ユエお前なんで変な口調なんだよ！
なんでそんな真剣な顔で変な口調で喋ってんだよ！
マコトさんは絶対そんなこと言わないって！
ちょっと、村人の視線が冷たくなってるって！
「私、嘘はいわない、この二人良い人、私達追わないおけい？」
なんでカタコトになってんだよ！
ちらりとユエを見てみると、やばい表情をしていた。
焦ってカタコトになってんのかよ！
やばいぞ、このままじゃバレる何とかしないと。
「私、なんだか、苦しくなっちゃったァ、お兄さん私を運んで下さらない？」
苦し紛れにくねくね体を動かして、エロい声で言ってやった。
ユエにすごい目で見られてる。
目を見開いて俺を凝視している。
『えっ、馬鹿じゃないんですか、変態なんですか、死ねばいいのに』と言う感想を顔で伝えてきてる。
やめろ、俺だってやっちまったって思ってんだよ。
「おっ、そうか！ なら俺が運んでやるよ！」
よっしゃー！
馬鹿が釣れたぞ！
男はやっぱエロに弱いんだよなあ！
ユエの視線も馬鹿な男に行ったし万々歳だ！
彼女の体を彼に預け俺達はぺこりとお辞儀してその村を後にした。
もちろん、ダッシュで。
「ひゃー！ 危なかった！ 男が馬鹿で助かったぜ！」
「最低不潔！ キモすぎ！ 私にしばらく話しかけないで！」
罵倒される俺。
……今回は仕方ない、子供には刺激が強すぎたからな。
しかし参ったなぁ、男女って。
こんなくだらないことでチームワークが壊れるなんてこの先どうすりゃいいんだよ……。
「ごめんって、そうだ次の街はどこなんだ？ 頼りになるユエさんがいないと俺何も出来ないなー」
少しご機嫌を取りながら俺は彼女に話しかけた。
そしたら彼女はさっきのことなどケロッと忘れ
にこやかな笑顔でこう言ってきた。
「仕方ないですねぇ～私が案内してあげますよ！ シンジは私がいないと駄目駄目なんですねぇ～」
……本当チョロいなこの天使！
まぁ、機嫌を直してよかった。
俺への評価が上がったところで俺達は次の町へと向かうのであった。
