第2話 異世界転生しました
「ぎゃあああああああ!!?」
……起きた感覚がある。
良かった!
俺生きてる!
いやー、死んだかと思った。
うん、夢でよかったよかった。
あんな死に方最悪最低だよ、それに俺の最高の人生をまだ送ってないんだぞあそこで死んでたまるかってんだ!
「ようやく起きましたね! ヤマガミシンジさん!」
目の前に白いワンピースをきたウェーブのかかった白髪のロリっ子がいる。
そして、俺の名前を元気な声で呼んでいる。
……誰?
なんで俺の部屋に?
……そういや、ここ俺の部屋じゃなくね?
もしかして、俺死後の世界に来たんじゃ……
いや、まだ死んだと決まった訳じゃない。
だって生きてるし、そうか俺寝ぼけて外で寝ちゃったんだ!
そうだ、そうに違いない!
「現実逃避をしている所申し訳ありません。貴方は死にましたそれも焼肉屋のトイレで、死因は食中毒。ダメですよ鶏肉半生で食べたら」
うわあああ! 夢じゃなかったあああ!
本当にあれが俺の死因なのかよ!
恥ずかしすぎだろ!
いやまて、死んだならおれの生きてる感触はなんだ?
「私はユエ、可哀想に死んだ人を異世界転生する優しい天使です。私たち天使は死因が可哀想な人を転生させ幸せな生活を送らせるのが役目なのです!」
えっへんと、腰に手を当てそういうロリ天使。
異世界? なにそれ、俺知らないんだけど。
でも、生き返ったってことでいいんだよな。
サンキュー神様、やっぱお前のこと信じてたぜ。
……でもまてよ、何かおかしくないか?
なんか俺の肌白くね?
……もしや透けてる!?
いや違う!
透けてる透けてないの概念じゃない! 俺の皮膚がない!
「おい! なんだよこの体! 骨じゃねえか! 説明してくれよ天使様!」
慌てふためく俺を見て、天使の彼女は先程まで笑顔だった顔を曇らせた。
どういうことだよ、まさか失敗したから沈黙を貫いてるわけじゃねえだろうな。
「おい! 説明しろよ! 俺はなんで骨なんだよ! なぁ! おい!」
俺は天使に詰め寄ってクレーマーの様に声をあららげる。
すると沈黙を貫いてる天使はボソリと呟いた。
「……ふざけんじゃないですよ」
えっ?
この天使、俺に暴言吐いた?
「なーにが!? ふざけんじゃない? こっちのセリフだわ! このロリっ子!」
その言葉を聞くと彼女は悲しそうな顔を怒りの顔に変えて叫び始めた。
「あー! 黙って聞いてりゃ好き放題いいやがって! 何ですかもう! 大体ですね、貴方がこんな姿になったのは貴方のせいです! 現実世界に未練タラタラで死んだから転生する際に呪いにかかったんですよ!」
俺の胸に指を突き刺して、唾がかかりそうな勢いで彼女は喋る。
「くそう! あんな世界に未練なんて持たないでくださいよ!」
「なんでだよ! 俺はなぁ自慢じゃないけど、あの世界で幸せに暮らしてたんだよ! 一流企業に内定も貰って彼女候補も友達もいる! 未練くらいあって当然だろ!」
そう言うと半笑いで彼女はこう言ってきた。
「なーにが未練ですか! その未練断ち切ってあげましょうか!? 貴方が入るはずだった会社は今日株が暴落して大変な目にあってましたよ! 貴方は焼肉食っててそのニュース見てませんでしたけどね!」
「んなっ!? 嘘だろ!?」
「さらに言うと、貴方の彼女候補、ライブ行ってましたよね、それ男と行ってます。彼女貴方の他にもう一人キープがいたんです、そして貴方の友達はキープ男と彼女をくっつけようと一緒にライブにいったんですよおぉ!!」
あくどい笑顔で俺に残酷にその事を告げる天使。
……嘘、だろ?
ははは、あいつらがそんなことするわけ……
「うわあああああ! 聞きたくない! なんでそんなこと言うんだ! 俺が悪いのか!?」
「そうですよ! 転生させて幸せな生活を送らせてあげようと思ったのにこれじゃあ無理じゃないですか! あー!私も元の世界に帰れないし!」
天使は俺にあろう事か逆ギレしてきた。
「おい! お前が帰れないのと、俺が骨なのは関係ないだろ!」
そう言うと、彼女は涙目になってまた騒ぎ始める。
「お、お、あ、り、なんですよぉぉぉぉ!」
「なんだなんだ、どういうことなんだよ! 説明してくれ! 落ち着け落ち着け、深呼吸だ。俺が悪かったよだから泣くな!」
ひぐっひぐっと涙を抑えながら彼女は話し始めた。
「……私は、天界でかなり有能な天使でした。神様から嫉妬されるくらいに、いつか神の座を奪ってやろうと思ってました。……そのせいで、神様に難癖つけられて追放されたのです」
うわっ、可哀想。
俺の死因も悲しいけど、彼女もかなり可哀想。
人の嫉妬ほど醜いものは無い、よく俺も嫉妬されたよ……
俺は努力して手に入れたのに、努力もしないで遊んでばかりの人間に嫉妬されて……あっ、悲しくなってきた。
「いや、私も悪いんです。神様が人間界に降りて買ったミスドを私が食べてしまったんです。それで神は怒って私をこの世界に追放したのです、可哀想な人間を幸せにするという任務を持たせて。そのせいで私はその人がこの世界で幸せになるまで元の世界に帰れないのです」
神様器ちっさ!
つか、神様ミスド食うのかよ!
うっわー最低だ、最低すぎるよ神様。
俺を殺したのも神様の仕業なんじゃないかって思えてきたよ。
だってミスド食ったくらいで部下を左遷させる神だぜ?
人も嫉妬で殺しそうだろ。
「……いいですか、シンジ。貴方はこの世界で幸せをつかまなければいけません」
「事情はわかった、けど俺この姿で幸せなんてとても無理だぜ?」
それを言うと天使は笑顔で言ってきた。
「いいえ、無理じゃありません。貴方が元に戻る方法は一つだけあります」
「本当か!? 教えてくれよ!」
「貴方が元に戻る方法は、それは……」
それは……?
「魔王を倒すことです!」
……顔が固まった。
何この人、なんで馬鹿みたいな事言ってるの?
「馬鹿みたいって思ったでしょう。でもこれが一番確実なの。この世界の魔王には呪いがかかってるの、『倒されたら自分の持ってる魔力全てを使って倒した人間の願いを叶えなければならない』という呪いがね!」
なっ、なんだって!
それはいいアイディアだ!
……いや、そうなるかああああ!
「無理だろ! 大体俺戦ったことねぇし!」
「いいんですか、その体で一生過ごすんですか? 骨だから病気になったりして死にませんが、殴られて木っ端微塵にされたら死にますよ。あと見た目で気味悪がられますよ……そんなんで幸せになれますか?」
……無理だろ、そんなの魔王を倒すより無理だ。
人間の心は見た目に左右されるんだ、それは俺自身がよく知っている。
陰キャのフツメンよりイケメンのチャラ男の方が女は寄ってくる。
よく知ってるじゃないか!
「……貴方の選択肢は二つ、骨の姿で幸せになるか、大変な方法だけど魔王を倒して元の姿を取り戻して幸せになるか。さぁ、どちらにします? 私の可哀想な勇者様」
小悪魔ボイスで俺にそう言ったユエ。
天使なのに小悪魔とはこれいかに。
……どちらにしますって、そんなの答えは一つしかないじゃないか。
「決まってるだろ! 俺は魔王を倒す! それがどんなに辛く険しい道でも俺は元の体を取り戻すため絶対に倒す!」
俺の答えを聞くと彼女は俺に手を差し伸べ笑顔で言った。
「改めまして、私はユエ! 若き有能天使です!貴方を幸せにして私は天界に帰る! その時までどうぞよろしく!」
「あぁ! 俺は山上慎二! この世界で魔王を倒して幸せになる男だ!」
俺達は強く握手をして、約束を誓い合った。
早くこの世界の魔王を倒して俺達は幸せを掴むんだ!




