15話 ぼったくり武器屋は要注意!?
「うーん、どれも高い」
俺の死体入れを買いに武器屋に入ったが、どうもどれも高い。
なんで、一個で5万するんだよ。
ユエの矢と弓なんて1000円だぞ。
この世界の価格はどうなってんだ。
なんで、こんなちっこい棺桶みたいなのが5万するんだよ。
「仕方ないよ、死体入れは死体が腐らないように特殊な加工が施されてるんだ、それも職人が一つ一つ作ってるんだ安いやつでも5万テッサはするよ」
俺の隣にひょっこり現れたシャルルが当然だといった態度で俺に言ってきた。
「シンジー! 見てください! この面白装備!」
ユエが機嫌良さそうに持ってきたのは鼻ヒゲメガネ。
それをかけてにこにこと笑っている。
「これをかければ視力が良くなって命中率があがるんですよー! 値段は5万テッサです!」
「却下、返してこい」
なんで、俺の死体入れと同じ値段なんだよこの百均アイテムが!
「そんなぁ! じゃーいいです返してきますよ」
しょぼくれたユエは不満げな様子でメガネを返しに行った。
「死体入れ見つけたんなら早くレジ行きますよ、さっさと買って次の町に行きますよ」
自分の欲しいものを買えなかったユエは早く帰りたい子供のように俺を急かす。
俺の背中をぐいぐいをして俺をレジへと運ぶ。
「すいませーん、お会計お願いします」
「はいよ、死体入れ1つ10万テッサね」
……今なんてった?
目を丸くして驚く俺達。
「おい、親父。表示価格と違うじゃないか! ぼったくるなんて酷いぞ!」
「そうですよ! せこくないですか!」
ユエとシャルルはありえない値段を出てきた親父にとっかかる。
「……何言ってんだ、ちゃんと店の看板に書いてただろう、ここは常闇の宴の傘下の武器屋。店の売上の1部をギルドに納入しないといけないから他の店より割高になってますって」
「ありえねーだろ! どこの世界に5万も釣り上げる店があるか! ふざけんなよ! 俺の世界でもそんなぼったくり見た事ねぇ!」
このハゲジジイ、馬鹿みてえな値段つけやがって。
つか、この世界の武器屋ってなんでぼったくろうとするんだよふざけんなよ。
「骸骨のお客さん、怒るのはやめてくださいよ。払えないのなら買わなきゃいいじゃないですか。それに死体なんか集めなくてもここに活きのいい死体があるじゃないですか」
クソハゲ野郎は、にやにやしながら俺を馬鹿にしてくる。
……こんちくしょう、神様、存在しているのなら絶対にこの店に天罰を与えてください。
「ごめんください、店主さん居ますか?」
俺達が、店主とレジで争っていたら見るからに金を持ってそうな美しい冒険者が現れた。
「へいらっしゃい! 買わないならお前らどっかいけ! お客様の迷惑だ!」
「何言ってんですか! 私達だってお客ですけど!?」
俺達を無視して、ハゲジジイはへこへことゴマをすりながら、彼女に近づいて行った。
「すいません、私こういうものです」
彼女は自分の手の甲を彼にみせた。
手の甲には桜の花びらの様な紋様が描かれている。
するとそれを見た店主は震え上がって俺たちに謝ってきた。
「ひいっ! すいませんお客様! 5万テッサです! 早く払って持ってって!」
彼は俺達に死体入れを押し付けて入口へと押し出した。
「あっ、お金!」
「あとでいい! それより早くどこかに行ってくれ!」
扉を閉められ鍵をかけられた。
なんなんだ、このハゲの変わりようは。
「シンジ、金なんて払わずばっくれましょ。こんな失礼な店なんですから別に罰は当たりませんて」
「おいこら、ユエ。そんな犯罪犯したら天国に行けないぞ」
「いーんですよ! 天使である私が許します! それよりあのハゲジジイに天罰を食らわせてやりますよ!」
「……ユエ、天罰は与えてやらないでくれ。彼は多分ここで死ぬ」
意気込むユエを見て、シャルルは悲しそうに店の中を覗き込む。
「どういうことですか? あの腹立つ野郎はまだ生きてそうなんですけど」
「さっき来た彼女、常闇の宴っていうギルドの冒険者だ。多分ここの店の悪い噂を聞いて粛清にきたんだ」
そんなことを話してるうちに、みるみる店内は黒い闇に染まる。
ドアの隙間から流れ出る闇の瘴気に俺らは気分を悪くする。
一体なかで何が行われてるんだ!